とその瞬間

January 20 [Mon], 2014, 12:15

先日、コインパーキングを利用した時の事。
用事を終えて車に戻り、自動精算機を操作した。料金は三百円だったので千円札を自動精算機に入れた。後はお釣りと領収書を受け取るだけだったnuskin。すると精算機の中から入れたはずの千円札が戻ってきた。
機械からお札が戻ってくる現象は、割とよくある事だ。要は「お札を入れ直せ」という彼(精算機)なりの主張である。千円札の折りジワでも気に入らなかったのだろう。

成熟した大人の僕はそんな事で動揺しない。精算機からクールに千円札を引き抜き、折りジワを丁寧に伸ばした。そしてもう一度千円札を挿入した。
が、彼は再び札を吐きだした。ちょっとワガママな態度である。

しかしそんな事で目くじらを立てるほど僕は小さい男ではない。彼はもしかしたら彼女なのかもしれない。ちょっとご機嫌がナナメなのだ。
そして今度は千円札を横方向に一度折り、それを元に戻した。今まで数々の精算機をこの方法で懐柔してきた。だから当然自信があった。と言うか、なぜ最初からこの方法を取らなかったのか自分を悔やんだ。

今回は僕の不手際だ。そう言う思いを持って彼女を見つめ、心を通い合わせた。傍から見れば気持ち悪いが、男女関係とは本来こういうものなのだ。だから僕は相手を信じ、微笑み合い、千円札を入れた。飲み込みの勢いが今までと違っていた。
決まったな。そう思った。後はお釣りを受け取るだけだ。

とその瞬間、あろうことか千円札が拒絶されて戻ってきた牛欄牌回收。三度目だ、三度目。たかが機械が調子に乗るな。僕はわりと温和な性質だがこの時はさすがにムッとしてしまった。

もう彼女には付き合い切れない。しかしそうは思ってもこの場を去る事ができなかった。車は彼女によってロックされている。
僕はあまり女性経験が豊富ではないのだが、悪いオンナにハマる、というのはこういう感じなのだろうか。そんなこんなしていたら駐車料金が四百円に上がってしまった。まさに泥沼である。

どうしよう。そう思い手元の千円札に目を向けた時、一つの事実に気付いた。
持っていた千円札は夏目漱石だったのだ。原因はこれだ!すぐに野口英世の札と取りかえてみた。すると彼女は機嫌よくそれを受け取り、お釣りと領収書を出してくれた。車のロックが解除され、ようやく自由を手にする事ができた。

帰りの道中、ハンドルを握りながら考えた。
夏目漱石の千円札なんてそんなに古く感じないが、今じゃもう対応していない自動精算機もあるんだな、と思った。古い男に用は無いのか、そう思うとちょっと寂しかった。

家に戻り、事の顛末を話していたら「古い千円札って、なに?」と息子が聞いてきた。
そこで野口と夏目の千円札を見せ「同じ千円なんだけど、どっちが新しいか知ってる?」と聞いてみた。すると息子はなぜか夏目の札を指さし「こっちが新しい」と言ったnuskin 如新。「もじゃもじゃの髪の毛を切ってさっぱりしたんでしょ?」と言った。これには思わず笑ってしまった。
自動精算機とのやりとりでちょっと夏目の存在が邪魔になっていたのだが、この一言でなにか急に愛着がわいてしまった。

夏目漱石と言えば文才の偉人。御守り代わりに持っていれば、良い事でも起きるのか知らん。なんて思った。
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