私達しか知らない

March 17 [Sat], 2012, 2:37
通信制の高校に通う三人の女の子。
皆、年も見た目も性格も違う。
でも、なぜか三人とも青いリストバンドをつけていた。
たまにしか話さない三人だけどリストバンドをしている理由は一緒だった。

あのとき三人は退屈な授業を同時に抜け出した。
三人は隠れてタバコを吸う場所を探してもう、使われてない体育館の裏に行った。
あそこには高いコンクリートの壁があった。
いつもは行かないあの壁の方からきついペンキの匂いがしていた。
あの壁には誰かの悪口がたくさん書いてあって嫌いな場所だった。
彼女達はなぜかその場所に足を向けた。
そこには、黒いワンピースを着た小学生くらいの子がいた。
悪口がたくさん書いてある壁にいろんな色のペンキを小さい体で一生懸命、壁にペンキを塗っていた。
高いところの壁にペンキが塗れないと言っていた。
背の高い1人が肩車をしてペンキを塗るのを手伝った。
壁の隅を見ているとなぜか山積みになったペンキがあった。
でも筆は女の子しか持ってなかった。
筆がないなあと1人が呟くと女の子は三人にお願いをした。
壁にペンキ達をぶちまけてほしいと。
三人は同時に顔を合わせて一瞬の沈黙のあと笑顔で服が汚れるにもかまわずペンキを壁にぶちまけた。
全身ペンキで汚れてった。
あんな汚い言葉達が書かれた壁を笑顔の彼女達がペンキが埋め尽くしていく。
気がついたらペンキが最後の一つになった。
4人で一つのペンキを持って壁にぶつけた。
なぜか彼女達は寂しくなった。
でも笑った。
記念に女の子を真ん中に置いてケータイで写真を撮った。
写真を見て女の子に感想を求めると、女の子はいなかった。
壁もなくなっていた。
三人は信じられなかった。
写真にはたくさんの色の壁と女の子がいるのに。
目の前には壁も女の子もない。
自分達も汚れていなかった。
ただ一つ、元の色がわからないくらい汚れたリストバンドが彼女達の腕にあった。
リストバンドを外すと三人とも数えきれないくらい傷だらけの肌があった。
その瞬間、三人は抱きあって泣いた。
色んな感情が三人の心から溢れた。

時が経った今でもあの女の子が誰かはわからない。
三人はそれぞれの道を歩き、高校を卒業してから会っていない。

ただ一つ、もう三人にはリストバンドは必要なかった。
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