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【オピニオン】郵政民営化は景気活性化の起爆剤 / 2010年07月04日(日)
ナオミ・フィンク(東京三菱UFJ銀行ジャパン・ストラテジスト)

 投資家は、日本の経済政策の行方を見極めようと、内閣改造を真剣に見守っている。とりわけ、前政権から継続している賛否の分かれる重要な議論に、新政権がどう対処するのかに大きな注目が集まっている。つまり、郵政改革だ。

 ゆうちょ銀行の預金残高は総額約200兆円で、日本の現金家計貯蓄の約4分の1に相当する。ゆうちょ銀行の命運は、国内外のビジネスおよび経済にとっても重要な意味を持つ。

 日本の民間金融機関は長い間、政府の金融業界への大規模な介入による圧力を受けてきた。巨額の公的仲介融資が、価格発見メカニズムの不透明化や民間金融機関の利益棄損を招いたことはほぼ間違いなく、それでいて日本全体での中小企業への貸し出し額の増加にはほとんど役立っていない。

 一方、日銀が量的緩和政策によって十分な流動性を市場に供給したにもかかわらず、それら資金が明らかに銀行内部にとどまり、「低リスク」の国債市場へと流れ、財政難に苦しむ政府がますます債務を積み増す結果となっている理由の一つは、民間金融機関の貸し出し金利の低さにある。

 タイミング良く郵政民営化に踏み切れば、日本政府にとっても、日本郵政にとっても、財政均衡化に即座に役立つ可能性がある。日本がこれまでに行った民営化、とりわけ80年代に実施された国鉄と電電公社の民営化は、政府に巨額の資金をもたらした。

 電電公社の新規株式公開(IPO)と同様の規模で、日本郵政の大部分について段階的にIPOを実施できれば(恐らく可能だろう)、日本政府はIPOのたびに700億ドル~800億ドル(約6兆2000億円~7兆円)の臨時収入を得られることになる。

 さらに、民間企業との競争にさらされることで、いずれ日本郵政が採算性の高い金融機関へと生まれ変われば、政府は日本郵政の利益だけでなく、株主の配当とキャピタルゲインに課税することで、長期にわたる新たな収入源を確保できることになる。

 民営化は、日本の株式相場の押し上げにも役立つ可能性がある。これまでの民営化は、民間セクターでの相次ぐIPOを促すきっかけとなってきた。IPOの相次ぐ成功は、新たなIPOへの意欲を高めることになり、市場全体にわたって広く相場を押し上げることになる。

 たとえ遅くとも日本郵政を民営化することによって、ゆうちょ銀行が競争力と透明性のある銀行として生まれ変わり、それに伴って民間金融機関のサービス基準が引き上げられ、民間金融機関がリスク調整と採算性の確保に注力するようになれば、金融、保険、場合によっては郵便サービス会社のIPOを加速する起爆剤となる可能性もある。市場がピークよりも底に近い今、何らかの起爆剤でもない限り民間企業にIPOに関心を持たせるのは難しいため、民営化IPOがとりわけ役に立つ。

 このほか、民営化IPOは家計や中小企業にも利益をもたらす。民営化IPOでの主な買い手は通常、一般投資家だ。特に、日本郵政のIPOが、電電公社や国鉄の民営化のときのように、広範な相場を押し上げることになれば、家計の投資所得が増加し、給与水準の停滞あるいは低下を補うことになり、それ自体がデフレ対策となる。

 また、相場が強含めば、IPOの第2の波が訪れ、現在は従来の銀行融資を利用することのできない企業に資本をもたらすことになり、これまたデフレの抑制に役立つ。民間投資家から得られた新たな資本は、競争力の高まった金融サービス業界において、生産性向上に向けた資本財と人材両方に対する投資需要を押し上げることになる。これこそ、日銀の長年の目標である「好循環」を生み出すためのレシピだ。

 これらはすべて、国内から見た郵政民営化を勧める根拠だが、国外的にも郵政民営化にはメリットがある。日本の高い貯蓄率は、海外金融機関、とりわけ金融危機が去って新たな資本を必要としている金融機関にとって、日本を魅力的な市場にしている原因の1つだ。国内最大の預金を保有するゆうちょ銀行に対して支配権を行使することで、政府が金融サービス業界に介入することは、海外の金融機関にとって、ますます不満の種となっている。

 日本郵政は、日本にとって国際通商上の障壁となりつつある。これは、日本政府が今最も必要としていないものだ。報道によると、米通商代表は、とりわけ保険業界において、政府支援の活動が圧倒的存在感を占めており、公平性が欠けているとして、日本を世界貿易機関(WTO)に提訴することを検討している。

 また、米金融機関は、日本郵政の預金限度額の引き上げに対して懸念を表明している。海外金融機関は、ゆうちょ銀行のように暗黙の政府保証がないため、預金者を引きつける上で不利になるからだ。(日本の金融機関の中核的事業である)預金引き受けと貸し出し事業に関して、海外金融機関の市場シェアはそれぞれ1%ほどしかない。

 ゆうちょ銀行とかんぽ生命の民営化は、海外金融機関に対する公平性を確保する上で非常に大きな第一歩となる。しかも、通商問題においてはめずらしく、これはもっぱら海外企業を利するだけではない。政府による介入が緩和されれば、国内の金融サービス業界全体で確実に競争が促される。

 大規模な民営化はほぼ必ずといっていいほど、政府内の厳しい反対圧力に直面する。日本郵政の場合も、例外ではない。前政権はさらなる民営化の凍結と、ゆうちょ銀行の預入限度額とかんぽ生命の保険上限額の引き上げを提案していた。これらは、少なくとも7月11日の参院選後までは保留となっている。日本政府は、郵政民営化の議論が長引いて、民営化が遅れれば遅れるほど、日本はデフレによる景気低迷から脱却する大きなチャンスを失うことになることを覚えておく必要がある。

【7月2日10時23分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100702-00000013-wsj-bus_all
 
   
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