D.& A.ウェストレイク「アルカード城の殺人」

August 28 [Tue], 2012, 13:39
古城の城主アルカード伯爵の依頼を受けて、司書ジョゼフゴーカーは、蔵書の整理のため、トランシルヴァニアの駅に到着し、無人の馬車に乗って、深い森の先にある城に到着した。
家政婦ジェインモービッドに、鉄道のトンネル工事で来たのかと聞かれ、蔵書の整理だと答えた。
彼女は、伯爵は日暮れまで起きてこないので、それまで旅の疲れを癒やすようにと、部屋に案内してくれたが、ゴーカーが、荷物を片付けようとタンスを開けると、そこにはロマの女マリアオペンスカヤが入り込んでおり、鉄道技師のバリータルムードという男に、書類を渡そうとしたのだと言って、出て行った。
ゴーカーが晩餐に降りてくる途中、タルムードと会ったので、オペンスカヤのことを話すと、彼女が満月の夜のことを知っていると嘆きながら去って行った。
伯爵に会ったゴーカーは、彼の娘プリメヴァ、城に引き取られている病弱なリリーラングウィッシュ、リリーの主治医ロロフランケンフィールド博士と婚約者クララホワイトワージーに紹介された。
そこへ、城の雑役夫イーヨーが、地下の実験室で何かがあったらしく、博士を呼びに来て、二人で出て行った。
新婚旅行中に馬車の事故で助けを求めて来た、アメリカのスリラー作家ブリックとギディーのニューボーン夫妻が同席ししたものの、食事をしないという伯爵はリリーを連れて退席し、結婚相手プリメヴァも同様で、ホスト不在で食事が進んだ。
食後、伯爵もいないので、図書室を見ておこうと出向いたゴーカーは、何者か見張られているような気がした。
翌朝、彼の死体が、自室の床の上で発見された。
首筋に、リリーの首筋にあるのと同じような、奇妙な傷跡をつけた姿で。
1977年以来、モホンクマウンテンハウスという山上のホテルで開催されている、参加者が探偵となる、週末のミステリーイベントの演目の一つを、単行本化したもの。
7回目から、ウェストレイク夫妻が、運営を担当しており、この年は、ホラーという趣向なので、ゲストとして招かれた、ピーターストラウブが伯爵を、スティーヴンキングが狼男タルムードを演じている。
木曜夜に、ナレーション入りで、スライドまたはフィルムが上映されて、事件に至る経緯が紹介され、金土と、事件の進展、容疑者への尋問この年は、オペンスカヤによる降霊により、被害者への尋問もできたが催され、日曜朝に、参加各チームの推理が発表されて、正解チームと、最もユニークな解答を出したチームが表彰される。
表彰された二つのチームのメンバーは、翌年の予約の優先権も付与される二週開催されるが、毎度、予約開始当日の午前中でキャンセル待ちのリストもできあがるとのこと。
舞台設定、登場人物名には、ユニヴァーサル映画のクラシックホラーが好きな人間には、こたえられないパロディ要素満載で、読むほどに顔が緩んでくる。
各容疑者への尋問で明かされる、数々の裏事情が、冒頭の怪奇ムードとのギャップもあって、なかなかケッサクで、適度にうさん臭いので、真相への期待も煽っている。
実際のイベントでは、この尋問はランムに行われるわけだが、本書では、作者によって工夫された順番で、各人が犯行以外の真実を証言しており、二転三転する中段のスリルが楽しめる。
ちょっとした藪の中というところか。
真相そのものは、観客による推理競争のためなので、とんでもない発想の意外性を出すわけにはいかず、適度な謎に留まっているが、その分、明快でシンプルな推理から導き出される、犯人と動機は、十分に謎解きを堪能させてくれる。
本書では、イベントにはない、事実に関するクイズを挟んで、真相が語られ、後日談までついているが、カーテンコールにふさわしくない悲劇的なものなので、これもイベントにはなかったのではないかと思われる。
それでも、タルムードとオペンスカヤの結末は、おもしろいオチになっている。
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