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「しばらく様子見」は失敗の元――買収後の事業統合におけるゴールデンルール / 2010年06月22日(火)
 戦略面での甘さを排除し、BDD(事業精査)で買収先の真の実力値を見極めれば、買収がほぼ成功というわけではありません。買収の最終ステップであるPMI(買収後の事業統合)を成功させなければ、買収による成長を享受することできません。

 PMIでは、2社の顧客基盤、商品やサービスのラインアップ、会計処理、給与体系、評価制度等々を統合していくことが必要となります。また、買収プロセスに関与していなかった数多くの人々を巻き込む必要がありますが、多くの人々は「これからわたし自身に何が起きるのだろう」と疑い深くなっているため、非常に難しい舵取りが必要となってきます。

 今回はPMIを成功に結びつける秘訣(ひけつ)、いわゆる「PMIのゴールデンルール」について考えてみます。

●「当面は現状維持で様子をみよう」は失敗の元

 これまで日本のIT業界では、買収直後にすぐには組織統合に踏み込まないケースが数多く見受けられました。

 ある大手ベンダーの事例では、買収数年後に買収先の売上が40%下落してからやっと組織統合を決定しましたが、このような後追いの統合から、買収コストを正当化するだけの成長や効果発現を享受することは困難と言えます。

 親会社や筆頭株主を変更したにもかかわらず、買収前と組織が変わらないが故に疑心暗鬼となってしまい、将来を不安視した技術者チームが競合に転職し、顧客もそちらに流れてしまったというケースもしばしば聞かれます。

 実は「現状維持で大きな摩擦や混乱を避けよう」といった考えが、逆効果になることが非常に多いのです。我々は、買収後は迅速にPMIを進めることが必要と考えています。

●ルール1 : 組織・人事の苦渋の決断は買収後数日間で完了させる

 組織の統廃合と人員削減は、最も難しい意思決定と言えるでしょう。しかし、経営陣は、将来の絵姿の前提となるこの決断を躊躇すべきではありません。将来に向かって「皆一体となって仲良く」という雰囲気を作ることは悪いことではありません。しかし、それだけでは長続きはしません。

 PMIでの組織・人事に関する決断の遅れは、新しい経営陣に禍根を残すこともしばしばです。

 日本のシステムベンダーの買収事例でも「各部門で、買収元と買収先から1人ずつ同格のリーダーとして配置する」という二頭政治を2年間継続した例があります。結局、買収後初めて黒字化するまでに6年かかりました。

 このように組織が実質的に分裂した買収では、成果を確実に享受することは困難と言わざるを得ません。

 まず買収後数日間で全ての従業員に、将来の組織の絵姿と自分の役割を理解させることが必要となります。残ることが明らかになった従業員にとっては、将来が見えることによる落ち着きが生まれますし、新しい経営陣からの期待値が明確となるため、高いモチベーションで新たな職務に取り組むことができます。

 確かに必要とされなくなった従業員にとって、その決定は受け入れがたいものですが、転職支援や手当が十分用意されていれば、公平な処遇と理解されてくるものです。

●ルール2 : 統合1カ月以内のクイックウィン実現に妥協しない

 将来の絵姿が示された直後は、ほとんどの従業員が組織統廃合をはじめとしたPMIの取り組みの必要性や、成長することによる将来への期待を感じています。

 しかし、いったん統合の作業が始まれば「どのサービスを残すか」「顧客の担当営業はどちらが中心となるのか」「給与レベルの格差は埋まらないのか」「どちらの開発方法論に統一するか」「評価・キャリア制度は変わるのか」などの具体的な問題が出始め、すぐにモチベーションを減退させ、PMIの進行を遅らせます。

 このモチベーションの昂揚には、クイックウィン(直ぐに出る成果)が必要です。

 PMIの多くの取り組みでは、具体的な効果が出るまでに時間がかかります。例えば、IT業界でよく見受けられる顧客基盤の拡大やクロスセルで言えば、受託開発の成約に1年程度かかることもあります。このような先々の効果発現のために、買収直後から実現すべき事項がクイックウィンです。

 クロスセルの例では、1日目で顧客別案件リストを共有し、1週間で両組織のアカウント担当の再整理した上で、1カ月以内に買収先の全顧客に訪問し、統合組織を説明した上で案件を深掘りする、などを着実に成し遂げていく必要があります。

 コスト削減でも「重複したシステム資産の除却」や「重複業務の統一化」が実現するのは先であっても、その候補の資産や業務のリストは買収後1週間以内で整理できます。

 PMIでは、これらのクイックウィンの1つ1つが確実に実現されるよう管理する必要があります。またその成果を組織全体で確認することで、従業員のモチベーションの向上につなげます。

 しかし、実際にPMIを進めれば、現場から「人がいない」「相手が協力的でない」「役割分担が分からない」など、できない言い訳が山のように出てきます。ここで経営陣が妥協しては、PMIは進みません。

 経営陣がクイックウィンの実現に対して徹底的なこだわりを見せてはじめて、現場も「絶対にやらなければいけない」と本気になります。

●ルール3 : PMI全体をグリップする推進管理体制の確立

 PMIの推進を妨げるのは「できない言い訳」や「無言の抵抗」だけではありません。多数のチームが並行して検討を進めるため、検討漏れ、混乱、不整合、手戻りが発生します。同じミスや検討を繰り返さないためにも、PMIの落とし穴をしっかりと押さえておくこと、戦術のクイックウィンも含めたノウハウの共有が必要となります。

 ここでは、CEO直下に統合管理オフィス(IMO:Integration Management Office)を組成し、PMIの全ての取り組みを統制することが有効な手段となります。

 IMOは、PMIの全体計画、直近の各PMIチームの100日間の詳細なマイルストン、チーム間の調整タスク、会議体や情報共有の仕組み等々を設計し、さらにそれらの進捗と品質を管理することで、PMI全体をグリップします。また例えば「業務プロセス統合の論点整理会」「毎朝15分間のクロスセル進捗確認会」などを随時実施し、各チームのタスクに踏み込んだ個別支援を実施します

 IMOは買収元と買収先の双方の社員で構成することが必要ですし、買収・統合に関するノウハウ・知見や、出身組織に捉われない客観性を担保するためにも、経営陣は外部リソースの活用を考慮すべきです。

 ノウハウ・知見不足による失策の連続や、不公平感の蔓延により従業員のモチベーションが下がったPMIを活性化させるのはほとんど不可能であることを忘れるべきではないでしょう。

●PMIのノウハウを強みとするシステムベンダーがIT業界再編の鍵を握る

 PMIは組織全体として、多大な労力を費やすことになります。しかし、これまで述べましたように、迅速な意思決定、クイックウィンの継続的実現、思慮深いモチベーション管理を実行すれば、成功に導くことは可能です。

 もう1つ重要なこととして、一度獲得したPMIのノウハウは、その後の買収でも活用できるという点です。PMIのノウハウを蓄積することで、PMIの能力をその企業の強みにしていくことができるということです。

 IT業界に構造変化 大手ベンダーの戦略転換と大量雇用減の可能性(5/11)で見ましたように、日本のIT業界がグローバルの中で生き残るためには業界再編が避けられません。今後ますます買収や企業統合が増加してきます。

 このような日本のIT業界において、PMIの能力の保持は大きな競争優位の源泉になりえます。PMIを強みとして積極的に買収・組織統合を仕掛けるシステムベンダーが、今後のIT業界再編の中で勝ち組となるでしょう。

(ITmedia エグゼクティブ) 6月22日13時2分配信 ITmedia エンタープライズ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100622-00000019-zdn_ep-sci
 
   
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