春静かにの到来

November 30 [Wed], 2011, 15:37
早ばやと、わびしげに暮れていたころに比べると、2月も半ば、日脚がずいぶん伸びてきた。冬至を折り返し点として逆算すれば、10月の終わりごろの日差しを、いま浴びていることになる。
2月を「光の春」とも呼ぶそうだ。目や肌に、光の強まりが感じられる。とはいえ地表はまだ寒さの底である。光は乱舞(らんぶ)して誘うのだが、裸体の木々は用心深い。雑木林のクヌギやエノキは、堅い冬芽(とうが)をしっかりと閉じたままだ。
八ケ岳をのぞむ山梨県北杜市の「オオムラサキセンター」を、先日訪ねた。羽が鮮やかな紫に染まる、日本の国蝶(こくちょう)が育っている。観察用の雑木林には、朽ち葉が散り敷いていた。オオムラサキの越冬幼虫は、葉にもぐって、静かな眠りについている。
散り重なった葉の層の、真ん中あたりに居場所を定めるそうだ。風雪をしのぎつつ、地面の湿気も遠ざける知恵である。芽吹きのころに起き出してきて、若葉をはんで滋養をもらう。羽化(うか)して夏に舞う夢を、落ち葉の寝床で見ていることだろう。
「太陽暦の作者は雪国に親切だった」と新潟県育ちの仏文学者、堀口大学は言った。果てしなく思える2月が、短い日数で終わるから。そして「待ちに待たれた3月が来る」。思えば2月は不思議な月だ。「春」ながら冬がきわまる。だが寒さの底で、何かが兆しているモンクレール
列島への寒気の南下は、なお厳しい。日本海側は週明けまで雪の空という。されど、〈雪 イトド深シ/花 イヨヨ近シ〉柳宗悦(やなぎ·むねよし)。遠い兆しに心を澄ませば、春が半歩、近づく気もする。
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