だいだいいろ

January 10 [Thu], 2013, 19:34
1日の仕事を終えた太陽が沈んでいく

昼間は自己の色彩を放って喧しく主張をする学舎が
黄昏時と呼ばれる一時だけは
大人しく橙色に染め上がる

そんな少し物悲しいような景色が私は好きだった。



最後まで学舎に残る理由はこの景色を見る為で
帰る場所に帰る時間を、少しでも引き伸ばす理由が欲しかったから。

些細でも理由がなければ
留まれないのだ。

なんて最低な事

仕方なく学舎を出る支度をする。

窓から見下ろす桜の樹の下には黒い影がいつも居座って
広げた白いノートに数式の羅列を書きなぐる。

…理解出来ない
時間の楽しみ方をしている

考える事は嫌いだ。
その先にあるものに吐き気がする。

終わり方の解った物語を読むのは楽しくない

過程を楽しむ方法もあるらしいけど

私にしたら
それはたまらなく
悲しくなるだけだ。


―真っ暗クロスケ


私の所からは桜の樹が遮ってどんな生き物が其処に居るのか解らない。

だから勝手に名前をつけた。

いつも桜の樹の下で

日暮れまで消えずに
伸びる黒い影


時折見える白い手がひたすらに数式を書きなぐる

だから恐らく

真っ暗クロスケは人間なんだ

後になって解った話

勝手に名付けたネーミングは
一文字違いで彼の本名だったのだ。

私が其を知るのは

もう少し

先のお話―

モヤモヤした視界

December 26 [Wed], 2012, 21:14


「どうして解らないことを解りたいなんて思うの?


其は彼の記憶に残る白銀の世界

「知った所であなたの日常には何の関わりもないわ。」

まるで一つの詩(うた)を紡ぐように彼女は語る。

「砂のようなものよ。通り過ぎて、零れ落ちてゆくのが常なの。気にする方が馬鹿なんて言われてしまうのよ」

なあ、でもさ

俺は彼女の背に語る


「君はそんなモノが気にかかるんだろ」

真っ白なコートが風をくるめて翻る

白銀が降る世界で彼女は確かに呼吸をして


あんまりに白くて
羽織ったコートごと風景に溶けそうな世界で

くるくると両手を広げて踊っていた。

彼女は名付けられた
名前そのもののような生き物で

透き通るような白く柔らかな肌と
とても冷たい手を持っていた。

何時触っても冷たいと言うと

「オバケなのかもしれない」
冗談めかして彼女は言った。

「俺が触れて、しっかり脚まであるくせに何を言う」
彼女の言葉に返すと
そうでした。
と、彼女は言って

「貴方には私が見えるのでした。」

柔らかに笑った。

彼女に関して持ってる情報はあまりなく

学舎の中に居ること。
窓際の席によく座ること。白いコートの似合うこと。
以上であった。

何処に住んでいて
家族は何人で
血液型は…知らない事は
山とあった。

しかし
彼女を見つけるには其で十分だったのだ。

時間旅行会社の話

December 03 [Mon], 2012, 9:53
はじめまして。こんちは!僕はタイムトラベル職員

時空と時間をさ迷うアナタヘ
お目にかかるのは何かのご縁でやうやうしく一礼したら旅人の音に合わせて出かけましょう

白衣が翻る彼は科学者
我等が時間旅行の開発者

汲み上げた論と記号
重ね合わせた設計図

さて、後は材料を揃え
予定通りに狂いなく
正確に組み上げれば
予定通りに動くはずだ

タイムマシン

彼の願い事は唯一つ
あの時二度と会えなくなった彼女に

「もう一度」

彼は最初のスイッチを押す
たどり着いた願った時代
広い世界で彼女を探す

完成したばかりの機械にはよくあることで

タイムマシン

誤作動があった

指定した座標からズレていた

彼は走る
何時もの時間
何時もの場所

約束のように
愛しい彼女に会える場所

後少しでたどり着く!-

彼の身体が宙に浮く

時間は己の内側に入った異物を吐き出すように
彼を自分の時の外側へと弾きだそうと動いたのだ

消えてしまう!

科学者の彼は己の身体に起きた事態に気付く

其でも一歩でも前へと身体を動かす

そんな中で彼は見た

消えてゆく視界の中
白いコートを纏う彼女が
遠くモヤのかかる向こう
に見えた気がした

「ーーーーーー!!」

名前を呼んだと思う
その身体が伸ばせる全力で手を伸ばした

其はほんの瞬きが起こる間の出来事

誰かの目が閉じられて開くまでの間の出来事

彼の姿は其処にあったことが嘘みたいに

ー消失した-

秘伝の魔術

November 09 [Fri], 2012, 15:04


庵の中の魔術師は語った

「此こそ我が秘伝の研究成果」




山深い森の中、魔術師は魔道の研究をしておりました。

人目を避け

競争を避け

欲を避け

唯、己と世界の終着へと
知識を尽くしていったのです


魔術師は遂に
もはや、これ以上は誰もたどり着くことも敵い
という所まで魔道の道を極めました。

「やった!遂にワシはたどり着いたのじゃ!
どれ、街の人々にワシの力をお見せするかのう」

魔術師は実に数十年ぶりに庵を出ました。

えっちら おっちら

森を抜けヨボヨボの身体を街へ進ませました

やっとのことで街にたどり着くと
かつて街があった場所は
既に廃墟となって
打ち捨てられておりました。

実は数年前、街では病が流行り
街の人々の殆どは病にかかり、居なくなってしまっていたのです。

魔術師も年老いた身体を久しぶりに動かしたので
すぐに疲れて病にかかり
そのまま息を引き取りました。

魔術師がたどり着いた魔術は誰に知られることもなく、本当に秘伝の魔術となりました。

スケジュール帳を巡る問答

November 06 [Tue], 2012, 17:48



んー…


ねーまだ?


んー…もうちょい


そんなに違いがあるもんなの?


違うよー!


スケジュール帳?


スケジュール帳!


…書ければいいじゃん


うんにゃ!だって一年付き合うんだよ!
一年間開きたくなるものがいい


例えば?


まず!開いた時にカラフルなのがいい!
それで、1ヶ月の一覧みたいなのが縦書きでなくて
日ごとにメモが書き込める表タイプがいい!


ほう…


毎日の一言メモみたいなのはあっても
あたしはあんまり使わないから無くてもいい


はあ…


そんなもんより
1日1日の行動が時間割みたいに区切られて書き込めるのが良くてね!


ナニソレ、書くのもその通り行動するのも面倒じゃん?


うんにゃ!あたしの物忘れは才能だから!
こうでもしないと約束とか守れないのさ!


ふーん…


其でも忘れるけどね!(キリッ

いや、いいから自慢出来ないからね其は


だからね


ん?


コイツだって想えるのに出会えるのは
此だけ数が有るのに
とても少ないのさ
加えて、手持ちの財布事情もあるわけで
とても時間がかかるのさ


なるほど、合点
そいで、もうちょい選ぶのかね?


うん。用事があるなら
先に行ってていいよ


いや、問題ない
何せこの身は今この時
暇人なのだから



小子と石鹸

November 03 [Sat], 2012, 6:23


冷たいと感じるなら
まだ生きている

苦しいと感じるなら
まだ生きている


雪原に遊ぶ小子(ここ)
が怪我をした

ソリ遊びに夢中になって

もっと高い所からなんて
身体を滑らせた

そしたらたまたま
樹の根に身体を突っ込んで

腕が掛かって抜けなくなった

痛くて不自由で

必死に身体を起こそうとしたが

変に引っ掛かった腕は
小子をうつ伏せの状態から起き上がらせてはくれなかった

腕ばかり赤く腫らして
目眩がする程暴れた時

たまたま大きな人が通りかかった

「大丈夫か?」
と声をかけ、樹の根に腕が引っ掛かってとれないと小子が説明した

大きな人は
ちょいと小子から離れると
どっかから石鹸1つ持ってきた

そして引っ掛かった腕と
樹の根の間でぶくぶくと
泡をたてはじめた

すると小子がどれだけ暴れても取れなかった腕が
ツルッと樹の根から抜けた

小子は動き回れる事実に喜んで
「ありがとう。ありがとう」と何度も跳ねた

大きな人は
「それは良かった」と
フニュッと笑った
陽射しのような顔だった

小子は山に帰っていった

大きな人にはそれ以降全く会わなかったが

小子はその後からフニュッっと笑うようになりました

HOPE

October 31 [Wed], 2012, 22:43



其は七色の輝石

言葉は…

たった1つの石なのに
色が沢山入ってるなんて
統一性がない

移り気な石だ

ルビーを見ろあの燃えるような赤

サファイアを見ろ
あの奥深く高貴な青

柔らかな手が
虹色の石を拾う

花に言葉があるように

石にも願い事がある

金剛石はその硬さに願いを込めた

「不屈であれ」

藍玉は水面の強さに願いを込めた

「勇敢であれ」


願われなかった石はなく


生まれた月に見合うよう

願い事は贈られた

七色の輝石にも
言葉があった

願い事は…



しろくろ

October 30 [Tue], 2012, 1:16




良いとこ撮りのレンズは詠う

美しいモノを


良いとこ録りのレンズは宿す

尊いモノを

良いとこ捕りのレンズは捉える

優しいモノを


良いとこ盗りのレンズは売る

勇気あるモノを


疑わず


信じた


与えられる物語


世界の隅っこ
向こう側


海のように

大空のように


3等星から4等星

水深は30m


唯そこにあったモノ

太陽の裏は影の国


優しい嘘はいつも誰かを守っていた


ソレは何?


問いかけは直ぐに答えが欲しい


其では意味がないのだよ


口癖はいつもそう



覚えていたらまた会いましょう




二蓮の舞手

October 28 [Sun], 2012, 7:47



なまぬるいだけの風
頬を撫でても気持ち悪いや

雨雲を呼ぶ風
冴えて涼喧しくあたしを揺らす

呼んだのは誰ですか

あたしは全力で駆けてしまった

足を鳴らすことに関してなら
あたしはきっと負けないぜ
鈴の音が転がった

跡だけ残して消えるようだ
あたしと同じ舞姫が袖を振って立っていた

彩風に吹き曝されて

微笑んだ笑みの向こう

揺らいでは花風があの人を連れていった

その袖に絡みつく風よ
纏っては袖を振った

鈴の音が遠くへ響く
波紋のように広がった

片手を添えて足を鳴らした
あなたのように綺麗には転がらないが

腕を伸ばす舞姫

風が吟う倒れてしまえ

戦うのはあの指先

指先まで
その爪先まで
頭のてっぺんまで

人差し舞うわ

重ねよう

始まりは不調和
織り上げる程に重なる拍子


やがて彩風を纏い
踊っていた影は一つ



迷子からの手紙

October 26 [Fri], 2012, 1:14



拝啓

お元気そうで何よりです



迷ったね


迷子だね


どうしよっか…

だからあん時適当に歩くの止めなって言ったのに

解った!棒でも倒そう!
そして向かう方向決めよう!

Σナニが解ったの!?
しかも今まさにその考え方止めなって言ったじゃん!

だって面倒だ
どうせ前にしか進まないならサッサカ歩きたい!

いやいや状況把握しなよ!



最短距離は坂道です
登れる体力ありますか?


回り道は遠回り
でも平坦です楽チンです

どっちがいい?


追伸


迷子にならない奴は
迷子になる愉しさを知らない


迷子になる奴は計画性がなっていない
無駄な時間を浪費する


どっちがいい?


拝啓
お元気そうで何よりです

さて

僕の答えは…


P R
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