第一話 2nd 

April 13 [Thu], 2006, 20:33
「まぁ…だからこその俺の出番なんだが」
逆立ちしようとも勝てる算段のつかない戦に対し、上層部は一つの決断を下した。
真っ当な手段で勝てないのならば、真っ当でない手段で立ち向えばよい、そう言ったのは海軍統帥部の一人だったという。
その手には、かつてヨルスが海軍兵学校時代に提出した一綴りの書類が握られていた。
その表紙にはこう記されている。
「プロンテラ海軍における軍備、将来における海軍航空戦力について」
その結果が、今ヨルスの目の前に広がっている。
彼の指揮する戦力のうち、17隻の巡洋艦は全て長方形の甲板を持ち、本来砲を収めるべき舷側には、甲板を支える支柱のみが見えている
翼龍搭載型巡洋艦、略して「龍巡」もしくはドラゴンクルーザーと呼ばれる全長60メルト余りの艦こそ、アルベルタとの決戦に向け、王国がその国庫を傾けてまで整備した決戦兵器だった。
「司令、全艦異常なし、翼龍、操龍士ともに欠員はありません」
ヨルスを補佐する目的で派遣された副官が、陸軍のそれとは違うコンパクトな敬礼を行いつつ報告を行う。
「わかった。追従する全ての艦に通達、総員第二戦闘配置にて待機、決戦に備えろ」
「了解しました、しかし…」
副官が紙巻を差し出し、ヨルスが咥えると自分も一本取り出し、火をつける
「よく上層部が決断しましたね、あのような艦の建造を」
「なに、これも時代の流れだ」
たしかに、龍巡の形状は異常とも言えた。d

第一話 3rd 

April 13 [Thu], 2006, 20:33
甲板に、航行に必要な帆を張るマストを持たず、他の艦艇に引っ張ってもらうような艦など、どう考えても正気とは思えない。
その腹の中に何頭もの翼竜を抱え込んでいるとなればなおさらだ。
「時代の流れとはいえ、砲を一門も持たない艦とは…私としては、彼らがこれからの海戦の主役だと思うと。いささか寂しい気もします」
「戦艦…いや、全ての艦の数で劣っているんだ、生半可な手を使ったんじゃ勝ち目は薄い。副官、戦での必勝法はなんだと思う?」
「…簡単に言ってしまえば、一度に大量の火力を一点につぎ込む事でしょうか。どんな強力な装備を持った相手とはいえ、手の届かない距離から撃たれては手の出しようがありません」
「その通りだ。ならば、彼らに勝る手段はあるまい」
17隻の龍巡には、それぞれ20頭の翼龍が搭載されている。
ミッドガルドの平原に住む彼らは、卵から孵ったばかりの幼生時代から慣らさない限り、人間に懐く事はない。
幼生から成龍になるまでの二年間を人間と寝食を共にする事で戦力となる翼龍は、王国軍全体でもいまだ数が少ない、その数少ない翼龍を合計で340頭、これまでの常識から考えても、これは破格といえる。
無論、今回が始めての実践投入となる龍巡も様々な問題を抱えている。
船体内部の構造にかなり余裕があるとはいえ、人間と龍が同時に生活するのだ、航海の間、彼らは龍の世話に追われ、艦内は龍の排泄物の臭いが充満し、決して快適な生活空間とは言えない。
「翼龍の攻撃で先手を打ち、混乱した敵艦隊を殲滅する…伸るか反るかの大博打ですな」
「勝たなきゃならんのさ、その大博打に。全ては彼らにかかっている」
そこまで二人が話した時、風向きが変わり、龍巡からの臭いが彼らを襲った。
「うぷ…自分で計画した事とはいえ…あれじゃ中の人も大変だな…」
鼻を押さえつつ、ヨルスが呟く。
「中の人などおりません!少なくとも、戦闘を指揮する立場にある限り、彼らの事は人間ではなく、一個の戦闘単位として認識すべきです」
「まぁ…そうなんだがな」
そう答えつつ、ヨルスは思う。
この副官、鼻は大丈夫なんだろうか・・・。

第一話 

April 13 [Thu], 2006, 20:25
 プロンテラ王国海軍に籍を置く海軍中将、ヨルス=ヴァンシュタインは、陽光に輝く水平線を眺めつつこれから起こる出来事を夢想していた。
あと数刻もすれば、ミッドガルツ大陸最大の交易国家アルベルタに対し、祖国から宣戦布告がなされるだろう。
自分達が決戦海域と定めた地点、ポイント・テラまではあと一日。
万が一にも、大陸南部統一の戦争の第一撃が宣戦布告前の騙し討ちとならぬよう気を配った上層部に対するヨルスの意見は辛辣の一言だった。
「馬鹿どもめ・・・」
たしかに、戦争を始めるにあたっての初撃が騙し討ちとなれば、民衆の反感を買うだけでなく、残った諸国が反プロンテラの体制を打ち出すといった、最悪のシナリオも考えられるだろう。
だが。
「なにもご丁寧に、布告から半日以上も間を空けることもないだろう…」
長大な交易路を持つアルベルタ国は、その航路を守るための強力な海軍力を持っている。
彼らに、半日もの猶予を与えれば、危険な海の怪物達は悠々と準備を整えられる。
そんな相手に対し真っ向から立ち向えと言うのだ、どう考えても正気とは思えない。
「だがまぁ…これで俺が正しい事が証明されるんだ、悪いことばかりじゃない、か」
アルベルタ海軍が持つ大艦隊は文字通り強力の一言につきる。
戦艦13隻、巡洋艦26隻、その他大小護衛艦艇が100余隻
これに対し、ヨルスに与えられた艦は、戦艦4隻、巡洋艦17隻、護衛艦艇60隻にすぎない。
もっとも、これらの艦艇でさえ、建造には王国の軍事予算、そのうちのかなりの部分が消費され、突貫で衛星都市イズルードで建造されたのだ、贅沢を言えばそれこそバチがあたる。
この戦いにおいて勝ちを収め、アルベルタを手に入れない限り、プロンテラは戦争に勝つ前に破産し、戦う前に北の共和国に膝を屈する事になる。だが、両者の差はそれでもあまりに大きい。
戦闘において、両者の戦力比はそれぞれの二乗に比例する、この原則に従えば、海戦の主役である戦艦だけに視点を絞ってもその差は169対16、勝負にならない事は目に見えていた。
有力な陸軍を持たないアルベルタが、これまでその独立を維持していたのは、この強大な海軍力があるためだ。

第零話 

April 13 [Thu], 2006, 20:15
ミッドガルツ大陸、豊かな自然と、豊饒の大地に恵まれ、幾多の生命をその掌に抱き、かつては神と魔の千年に渡る戦が繰り広げられたとされるこの大陸に存在する二つの巨大国家。
一つは、大陸の北に位置するシュバルツバルド共和国
一つは、大陸の南に位置するルーンミッドガルツ王国
現在において、大陸を二分し、お互いを仮想敵国として発展を続ける両国だが、そのうちの一方、ルーンミッドガルツが、かつては幾多の国家に分裂し、争った事は意外にもほとんど知られていない。
当時の出来事を記した文献、また、現在では太古の叡智として記される多くの技術は、暗黒時代とされる数十年のうちにそのほとんどが失われてしまった。
現代の技術を遥かにしのぐと言われる叡智がなぜ失われてしまったのか…
それほどまでの力を持つ当時の世界を崩壊させた原因は一体なんだったのか
残念なことに、その真相が記されているとされる唯一の書物、ユグドラシルの書は、プロンテラにあるエリュシオン大聖堂の地下深くに隠されているとされる、埋蔵書庫のさらに最深部にあるとされ、しかもその噂の真意も定かになっては居ない。
しかし、残された他の文献からも、失われた叡智は、かつて確かにこの大陸に存在し、同時に、ルーンミッドガルツ統一を成し遂げた幾多の英雄も、確かに存在したのだ。
私は、一人の歴史学者として、この事実が、歴史という、永遠に降り積もる雪に覆い隠されないよう、ここに記す。

                                            聖暦187年 13の月 30日

第零話 2nd 

April 13 [Thu], 2006, 20:15
 かつて、王国統一の戦端を開いたのは、現在のルーンミッドガルツ王国の首都となっているプロンテラ王国である事は間違いがない。
彼らが戦端を開くその前の年、北に位置する国家、シュバルツバルドが、周囲の国家と調停をかわし、シュバルツバルド共和国の成立を宣言した。
王国の重臣達は、これの意味する事をすぐさま悟り、突如北の地に誕生した脅威に身を震わせた。
相手は幾多の国を纏め上げた共和国、現在は国家設立の手続きのため、脅威はそれほどでもない。
だが、ひとたび国がまとまり、その技術を纏め上げたならば…。
ミョルニール山脈に阻まれているとはいえ、その力の全てを発揮した彼らの国力は計り知れない。
この危機に対処するため、急遽プロンテラ王国とその周辺国家参加の統一会議が催される。
だが、会議は決裂、その原因は定かではないが、周辺各国に対し、返ってプロンテラ王国への警戒心を強めるだけの結果となったようだ。
そして、彼らは決断する。
このままでは、ミッドガルツ大陸南部の国々は、その真の力を発揮したシュバルツバルド共和国の前に各個撃破の憂き目に会い、遠からず全てが共和国に取り込まれてしまう。
ならば、自分達の手で、シュバルツバルドに対抗しうる統一国家を作り上げるしかない・・・と。
無論、今になってしまえばいささか短絡的にすぎる思考とも思える。
しかし、結果的にいえば、この決断により現在の我々があると思えば、そう決め付けるのは早計ともいえるだろう。
南部大陸統一に突き進むプロンテラ王国が初めにその標的とした国。
それはある意味、現在の戦争においても常道といえる。
戦争を行うにおいて、まず必要な物とは何か、それは「金」である。
金を生み出す物は交易であり、交易を行う場所は常に金を生み出す。
一度に大量の交易品があつまれば、それらを効率よく運ぶ手段が必要になる。
船。
まさしく、海を制する者は、金を制するのだ。

                                              聖暦188年 1の月 5日

さてどうしようか・・・ 

January 19 [Thu], 2006, 0:47
某所にリンクとメッセの一文を張られたせいで一気にアクセスが跳ね上がってびびってるくじらですこんばんは。
最近なんかもーいそがしくてさー
まぁ、そろそろまたSS書こうかとおもってるわけですがそんなわけでアンケートを実施。

お題 どんなSSにしようかしら('ω`)

1、やっぱり白兵戦にきまってるだろ!
戦士達の雄たけびがあがり、濛々たる土煙とともに大群がぶつかり合う!
響き渡る剣と剣の音、矢と魔法が飛び交い様々な思惑の中、生と死が渦巻く混沌の舞台の幕があがる
もう一つのミッドガルドで繰り広げられる国取り物語
  

2、ごちゃごちゃ何人も登場人物なんてだすんじゃねーよ!
特定のコンビを主人公に沿え、いやおうなく周りを巻き込みながら様々な事件を解決します!
愛憎ひしめく眠らない町王都プロンテラ、毎日のように起こる事件を解決できるのはこの二人だけ!
あぶない刑事風SS

3、やっぱもびーならこれだろ!
血沸き肉踊る艦隊決戦。
未完に終った前SSから一年…再びグロス・ゲフェニアが発つ!
採鉱の村アインベフで反乱!?
飛行船がのっとられ行方不明に。再び姿を現した飛行船は飛行鋼鉄艦アイゼンクロイツとなってアインブログを襲った!
新興国家アイゼンラントの独立を叫び王都プロンテラに迫るアイゼンクロイツ!
再び碧空へと舞い上がれ、グロス・ゲフェニア!

さあ、どれがいい?

                  投票はたぶんこの辺をクリックだ!
                          ↓

ちょwwww 

January 12 [Thu], 2006, 12:30
あやうく放置一年がたつところだった…
なんかもう色々あってさ
今も色々あるもんだから
ここらでいったん全部白紙!

はい、そんなわけで次回から再びだらだら日記と
なんの脈略もなく新しいSSでもかきますはい。

第二部突入(予告) 

May 25 [Wed], 2005, 19:24
科学が産みし空の要塞ジュノー
魔術が産みし蒼き尖塔グロス・ゲフェニア
神の領域たる天空にて、二つの異形が激突する

限りなく溢れ出る魔性の者ども
無数の矢が静寂を切り裂く
英雄たちの雄たけびが開演を告げる
かくして、狂宴はの幕は上がれり

ジュノー上層部での過去の清算
国の矜持と、軍の誇りと
百年の平和は去り
戦乱の渦が神の光を覆い隠す

「総員戦闘配置、全火器使用許可(オールウェポンズフリー)!」
「役者は揃った、舞台は調った、さぁ、幕開けだ」
「地獄の底で震えてろ亡者ども!」
「義弟クン、貴方は下がってなさい」
「なぜだ、なぜその一言を言ってくれない!?」
「さぁ、俺たちの仕事を始めようか」
「最早、誰も違わない。君たちそこが近衛なのだ!」

絵がつきましたよ 

May 13 [Fri], 2005, 3:11
http://yaplog.jp/catshop/archive/64
こちらにかっこいいグリフォン様が!
あ、グリフォンの名前かんがえとかないとなぁ…

このごろのはなし 

May 07 [Sat], 2005, 23:58
どーにもテンションがあがりません
とっても無気力
やらなきゃいけない事は山ほどあるんですけどね
やる気がまったくありません
むしろでません
('ω`)
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