Sunny spot... 

October 13 [Sat], 2012, 6:53

光があるから闇があり…

ヤミがあるからヒカリが生まれる…



俺が闇なら彼奴は光

光と闇は互いになくては成らない存在

だが、決して相容れないのが現実であり

それこそ本来あるべき姿なのだと…


−−

その場所は虚夜宮から少し離れていた。

月光に照らされ真っ白な砂に映えるその様…
まるで何かの焼け跡のような寂しい雰囲気を醸し出していた。

石英で建立していたそれは意外と頑丈な造りで
屋根があったであろう場所には若草色の髪を持つ一人の女が座っていた。

其の女、ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンク
No.3の数字を持つ破面...十刃である。

そして、彼女の視線は痩せ形の黒髪を持つ隻眼の男に向けられていた。
半ば呆れた顔を浮かばせながら、女は其の男の名を口に出した。

「いつまで其所にいるつもりなの…ノイトラ。」

砂上に寝転がっている隻眼の男、ノイトラ・ジルガを見下ろしながら問いかけた。

其の女の声を聴いているのか、否
隻眼の男はその問いかけなど無視し瞼を閉じるも、独り言のように答を返した。

「るっせぇなぁ…別に俺が何処にいようと俺の勝手だろうが…」

その返答を聴くと女は口元を少しだけへの字に曲げ
態度は変わらぬだろうと諦め半ば手に持つ本の文字に目を落とした。

−−

風音さえもしない…真っ白なこの空間

ただ沈黙が続く中で
先に口を開いたのは隻眼の男の方だった。

「大体、俺が此処にいたら悪ぃのかよ…」

それは自身が嫌われているのを十分知っているからこその発言であり
逆に言えば、そう思いたくないが故の発言…

思いたくはないというのもまた語弊…
単純な好意ではなく、歪み狂った想いでもあり、

そして、それは一切報われることなどは無かった。


何故なら、男と女は謂わば獣と聖女。

自分の存在意義を確かめるためにただ本能でのみ戦う獣と
何かを守るために正統な理由を持つゆえに理性を保ちながら戦う聖女。

互いに理解し得ない、超えれない壁が存在し、ただ拒み続ける…

それは嫌味であり、ただの僻み。

しかし、分かっているからこそ理解できることもあり

男は瞼を閉じつつも片方の無いはずの瞳に
其の女の光が確と見えていた。

自分には決して持ち得ない…
窓際に差し込む暖かな旭のような…一筋の真っ直ぐな光が―――


−−

本に夢中になりかけていた女は口を紡がれたことをあまり良くは思わず
ふはぁ…と大きなため息か欠伸かもわからぬ息を溢し、本にしおりを挟む。

そして男に視線を向けるなり、口を開いた。

「本当に…無神経な人ね…貴方って人は…
此処が私の一番のお気に入りの場所だと知っていてまだ居続けるのだから…」

その声色は優しくも冷たいものであり
静けさの中では全く目立たなかったが、男の耳には確と届いた。

「なんとでも言いやがれ…てか、人を上から見下ろしてんじゃねぇよ…!!」

先程とは打って変わり、隻眼の男は強気な発言を持ち出したが
女はそれどころではないと言いたげな様子で挟んだしおりを見つけては再び本を読み始めた。

「おいっ…てめぇ聞いてんのかぁ!! …ネリエル!!」

その低音の濁声は無駄に響き、女はやれやれと言った感じで男に視線を向けた。
視線からは哀れみすら感じたが、今はそれどころではなかった。

そして、その返答はすぐに返ってくることとなる…

「なら、貴方が移動したらどうなの…?」

「 なっ…!? 」

「だから…私の方が先に居たのだから…退くのは貴方の方ではなくて…?」

思いも寄らぬ答えが返ってきたもので
男は言葉を詰まらせ、そしてどのようにして返答するべきか思考を巡らせた。

しかし、どのように考えても口から言えるような代物ではなく
思考を巡らす度に、本来の“自分”ならどう言うのかと言うことだけをひたすら考えた。

「 …返答は? 」

女は急かすように問うてくるが
正直な所、男が其所に寝る理由はまず無い―――

あるとしても言えるはずもなく、
自分の中で処理され、その想いは無念に片付けられてしまう。

( 俺は… )

浮かんでくる言葉は全て事実であるが
この男、ノイトラは素直になろうとはしなかった…いや、なれなかった。

それを様子を見兼ねてか
女は先程の声色よりも少し優し音を口から溢した。

「言いたいことがあるなら…自分の口ではっきり言ったらどうなの…?」

「言いたいことだぁ…んなもん…

「口で言わないと、私でも分からないわよ。」

事実故の歯痒さを感じつつ、男は再び考え深けた。
答えは探さずとも見付かっており、それを理解しているにも拘わらず…

( 俺は… )

−−

それから数分...

「わぁったよ…!! 俺が退けばいいんだろっ…」

自分の中で何かを心に決め
隻眼の男は立ち上がるなり天井に向かって吠えた。

その声を耳障りと思いつつも
女は理解してくれたのかと想い胸を撫で下ろしたのだが

それは少し早すぎた―――

「移動しろって言ったのはてめぇだぞ…ネリエル…」

「 ・・・ 」

驚きも隠せぬほどの一瞬の出来事だった...

響転と呼ばれる高速移動によって
気づくと隻眼の男は屋根であったであろう所に立っていた。

「それが貴方の答え…?」

目を見開いたものの返答に対しては慌てることはなく
あくまでも冷静さを保ちつつ女は問うた。

一方男はと言えば登った後のことなどは一切考えていなかったようで
次に返す言葉を考えるのに必死になっていた。

「 …悪ぃかよ…俺は…俺の居たい場所に居る…んだけだ…」

言葉が途切れ途切れではあったが
その辿々しい様子から女に想いは通じているかのようだった。

その返答を聞くなり、女の口元は緩み微笑すらも浮かべていた。
それから本にしおりを挟み、軽く一息吸うとまた温かな優しい言葉を溢す。

「ほんと…まだ子どもなんだから…」

「るっせぇな…大きなお世話だ…」

それは先程の嫌味とは違い、ただ単純な率直な感想…

隻眼の男は女の第一声が拒みでなかったことに安堵した。
そして、再び寝転ぶと瞼は閉じずその視線は月に向けられていた。

隣の女も緊張が解けたのか座った状態から躯を倒し、
互いに頭部を向かい合う姿勢となり、瞳には隻眼の男とほぼ同じ景色が映っていた。

真っ暗な闇に映える月…
それは本物ではないが紛れもなくこの虚圏を照らす光だった。

男は隣に居る女を其れに連想させ
気づけば言葉は自然と口から溢れていた。

「 ネリエル… 」

不意に呼ばれたものの女は動じず
ただ、疑問符だけを浮かべて言葉を吐いた。

「 何…? 」

月に向けられていたその瞳には
何時しか其の隻眼の男だけが映っていた。

視線に気づいたのか声に気づいたのか
半ばどちらに反応したかもよく分からなかったが、男はただ一言

「 なんでもねぇよ… 」

それだけ呟き、自身に失笑しつつも瞼を閉じた。

その態様に再び疑問符を浮かべつつも
何かを受け入れたかのように優しく微笑みを溢し

( ほんと…へんなの… )

と思いつつ、口にはしないものの、女はそっと言葉を呟き瞳を閉ざす…

それすらも聞こえていたのか
顔には決して出さないが、確かに喜びの色が感じられた。


男が本当はどのような想いを抱いているかも女は知らず

其所は、ただ闇を祓う月光だけが映えていた。




光があるから闇があり…

其所に光があることを知る…


ヤミがあるからヒカリが生まれ…

其所に闇が生まれて来ることを知る…


俺が闇であり続ける限り…

光の御前は存在し続けれる…


だから俺は…

月夜の夜空になりたい…
 

Sunny spot...

mean...陽溜まり

A coveted... 

October 10 [Wed], 2012, 15:08

美しい貴方だから…

誰もを狂わせ欲させる…




人の好みなど知ったことはないが
人にはそれぞれ感情や感性と言う器がある。

媒体としてそれを自ら請い受け入れたいと願う者
または受け入れ難いがため自ら遠のき拒絶する者…

いずれか二つに分かれられるだろう。

言うなれば…“僕たち”は良い例えかもしれない…



白い柱に白い壁に覆われた空間…

靴音一つでも鳴り響くような虚夜宮の構造は
あまりにも不愉快で決して居心地の良いものではなかった。

白が嫌いというわけではないのだが
膨張色である白は、狭い廊下でさへも広く感じさせた。

一人で居るには広すぎるそんな空間が…
僕は大嫌いだった。

コツ―ン…
―――コツ―ン…

自分が歩く度に鳴り響く、自身の靴音を聴く度に嫌気が差した。

「こんなことなら…出歩かなければ良かったな…」

自分を責めつつも先程あった出来事に対してだけは
思い返す度に舌打ちをしながら、その苛立ちを隠せずにはいられなかった。


−−−それは本の数時間前...


藍染様から承った仕事を大凡終わらせた僕は
何時にもなく珍しく外に出歩いていた。

自分の意志では殆ど出歩くことはない
謂わば異物が外界を歩いたとすれば、その異変に気づかない者は居ない。

近くを擦れ違いそうになる下級の破面は勿論十刃でさえも
僕の方を観るなり鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔を並べた。

どいつもこいつも…
そんなに僕が自宮から離れることが気になるとは…

呆れた反面外出したことに後悔すらも覚えたが
僕にとっては、ただの“気紛れ”であって“お遊び”程度のつもりだった…

しかし、その後悔は違う形で現実となるとは知らずに...


気がつけば自分の足は
兄貴が居るであろう第6宮へと運ばれていた。

それは意識してか、それとも無意識なのか…
どちらにしても実際の所、そんなことはどうでも良かった。

出歩いたこともその場所に向かうことでさえも
僕からしたら、その行動全てが“ただの暇つぶし”なのだから...


−−

静かだった廊下とは対照的に
その宮に近づくに連れて異様に騒がしさが増さした。

どうやらNo.6の
従属官の阿呆どもが騒ぎをしているようだ。

その反面穢苦しい声がする中にも若く黄色い奇声も聞こえてきた。
そして聞き覚えのある名前が何度も呼ばれていた…

「…ト様、今日もお美しいですね『ほんとお綺麗で…羨ましいですわ…

 …ォルト様今日の御予定は…『もし宜しければまた遊びにいらして下さいね…」


その現況と思われる者達とは次第に距離を縮まり
とうとう視覚として捉えられるくらいまで足音も大きくなっていた。

声を発せられる現況…大方予想はついたがやはりこの男であった。

イールフォルト・グランツ…僕の兄である破面だ。
そして、僕と顔を合わせるなりその金糸の男は馴れ馴れしく声を掛けてきた。


「よう、兄弟。やっと外に出てきてくれる気になったんだな。」

自分の言いつけを守ってくれたのだと勘違いしたのだろ…
言葉を発するなり奴は優しく笑って見せた。

それに返答しようと思い言葉を発しようとしたが
案の定それは叶わず奴の顔を見た売女達の黄色い声に吞まれた。

「イールフォルト様…笑顔も素敵『本当にお美しい…」

その容姿故か…奴は周りには数人メスの破面どもを引き連れており
見るからに第三宮の従属官だと思われるのだが…

正直なところ、本当に邪魔で鬱陶しい…

そんなことは言葉にもせずただ、僕は返答を返す。


「やぁ、兄貴…随分楽しそうじゃないか…女遊びができるほど暇なのか。」

「兄弟…」

僕が言った言葉が気にくわなかったのか、
それとも自分が置かれている場に気づいていないのか…

どちらにしても僕としては不愉快にしか感じ入れなかった。
故に思っていること以上=思っていないことまでも発してしまった。

「大体、僕が御前如きの指図を受けるとでも思ったのか…止してくれ…
そんな当たり前なことも分からないだなんて…自惚れも大概にしてくれよ…」

苛立ちだけが先走り、言うつもりもなかった言葉まで言ってしまったが…
そんなところは気にしないだろうと勝手に自己解釈をしつつ頭の中を整理した。

そんな兄貴に対する僕の言動を気に入るはずもない売女達は
視線を向けるなり言葉を吐き捨てはじめた。

「…幾ら何でも言い過ぎでありませぬこと…『十刃だからってこの言い様…

実のお兄様なのに…「調子に乗っているのですよ…『本当…信じられませんわ』

各々好き放題に言葉を吐く…

それもこれも兄貴のためだとばかりに主張しながら…
どいつもこいつも…ただただ虫唾が走る…

こんなにも苛立つ自分が居ることが一番腹立たしくはあったが
実際の所ここまで腹を立てる必要が何処にあるのかと…

自身でも半ば理解はしていたものの
それを分かりたくがないために、自問自答さえも続けていた…

そして、また余分な一言…

「五月蠅いな…そんなに兄貴に気に入られたいのか…
御前達も趣味が悪いな…こんな低脳の何処がいいんだか…底が知れないな。」

我慢できなかったのであろう…売女達はまた言葉を吐き出す。
耳障りな奇声を混ぜつつ…

「陰気な科学者なんかに言われたくはありませんわ…

『これが弟だなんて…イールフォルト様が可哀想ですわ!

陽に出ようだなんて…日陰は日陰らしくしていたらどうですの…この――!!!」

その言葉を聞くなり頭の中で何かがぷつりと切れる音がした…
僕は気がつけば罵声を浴びせていた…

「五月蠅いっ…!!売女どもが…低脳隷属風情が気安く  を語るなっ!!」

「『 なんですって…!? この――「いい加減にしないかっ…!!」

売女達がその言葉を発する直前だったか…
今まで傍観しているだけの男の口か開かれた。

その声は余りにも大きいもので僕も含め他の破面達も
一人の男の濁声に一瞬にして黙りこくった。

冷静に考えてみても無駄に響くこんな空間で目の前で騒がれていては
心地が良くなる者などはまず居ないであろう…

勿論、兄貴も例外ではなかった。

「君たち…もう少し言葉を選んだらどうなんだ…」

兄貴の声はいつもよりも低く、酷く冷たい声色をしていた。
彼女たちもそれに気づいたのか、今までとは打って変わり喉を震わせていた。

「『 …その…申し訳ございません。 』」

売女達は床に膝をつき頭を深々と下げて詫び入れをした。


冷たい視線と突き刺さるような声…

異常なまでの空気の圧迫感…殺気…

そんな空間がとても居心地が悪く…

気持ち悪かった。


−−−現在

白い柱と白い壁で覆われた空間…

一人で居ることを強調させるかのように響く靴音…


僕はあの場から逃げ出したのだ…

後の祭りの如く…後悔などしても仕方のない事であると分かっていても
やはり脳裏に浮かぶのは“後悔”の二文字だけだった。

「何でああなるかな…本当に情け無い…」

天才と言われる者でも、所詮はただの人間…
その現実を叩き付けられなお顔に生気は抜けていくばかりだった。

何よりも自分の感情に走った言動を
寄りによって兄貴に聞かれることになるとは…

そのことが一番遣り切れない事実でもあった。

コツ―ン…
―――コツ―ン…

耳障りな靴音が一人分だけ響き渡った。
ふと我に返ると目元からは思いも寄らないものが溢れそうになっていた。

コツ―ン…
―――コ、コツ―ン…

幻聴…気のせいだろうか…
一人しか居ないはずの廊下に二人分の足音が聞こえたような気がした…

そして、その足音は消えることは無く
ただ此方にだけ近づいてくるようにも聞こえた。

半ば分かりつつもその足音の主が気になりふり返ると
見覚えのある金糸の男が5、6歩先に立っていた。

期待していたわけではない…
それでも其所にいてくれたことがどれだけ嬉しく思えたか…

再度僕の瞳を見つめるなりして、金糸の男は優しく語りかけてきた。

「 兄弟… 」

その一言だけにどんな想いが詰められていたのか…

安心、不安、喜び、悲しみ…そして寂しさ…

どれとでも取れるような表情ではあったが
其所には何時もの兄が居た。

ふと僕の目から溢れてきたものを兄はすっと片手の指で掬い上げ
そのまま手を頭に被せては、子どもを慰めるかのように桃髪を掻き撫でた。

そして、一言…

「 ごめんな… 」

その時の兄の掌は
何時も以上に大きくて温かいものだった…


−−

後に彼女達の事を聞いてみると
外に出歩き擦れ違ったところを偶々お茶に誘われたとのことで

故に何の関係も縁もなく、
兄貴自身もそれ以上もそれ以下も深くは考えていなかった。

考え直してみる度可笑しくなり、失笑するものも
自身が抱いた感情を思い出すと面映ゆく感じてしまい

2、3日は兄貴と顔を合わせたくはないと思ってしまった。

その時だけは嫌いだった真っ白な空間が…
一人の空間が好きになれた。


美しい貴方だから…

見るもの全てを惹きつけ…

誰もを狂わせ欲させる…


その欲足りぬ事…

求めすぎるこの感情に…

いつか僕は素直になれるのだろうか…と



A coveted...

mean...垂涎の的 (何としてでも手に入れたいと思うほどの貴重なもの)
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  • アイコン画像 ニックネーム:白木 巴
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名前【白木 巴−shiraki tomoe】

開設日【2012.06.02】


個人的な趣味で更新されています。

腐向けな記事もありますので苦手な方はご注意下さい。

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小説更新【10.13 - Sunny spot...up】
    【10.10 - A coveted... up】
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