■2009年ベスト盤...隼
1. Animal Collective / Merriwheather Post Pavillion
「2009年」という時代の象徴。「君も恐れてるのかい?」なんて。
しなやかに自由で、インナーなんだけど陽光を得ていて、密室的にどこか不安げ。そして奇跡的にポップで奇跡的にぶっ飛んでいる。
ラスト、「Brother Sport」のラストの転調に、「Good Vibration」のブライアンウィルソンの残像、つまり終わらない夏の喪失を見て、いつも泣きそう。
2. 口ロロ / Everyday Is A Symphony
2010年代を迎える直前に、こんなものが聞けるとは。
ここでは、例えばいつかのCorneliusがやっていたように、今後10年のスタンダードになるような、未来の音楽が鳴っている。
街のざわめきとあの子の噂、センスと驚き、冗談はスパイス、つまりフィールドレコーディングとヒップホップと歌謡曲の配合!
日本に住む全ての若者に一度は聞いてほしい。
東京、このクソ醜くて美しい街にハレルヤ!
3. Idlewild / Post Electric Blues
「DIY」なんていう言葉に少しでも価値があるとしたら、こういうアルバムのためにあるのだろう。
ファンから「先払い」を募り、それを元手に録音して、手書きで梱包し、世界中に届ける。
Radioheadがやっていた「マーケティング」とは少し違う次元で何かを音楽の世界に投げかけている。
当然のように音は祝祭に溢れ、傑作しかないバンドのディスコグラフィーにはこうして傑作がまたひとつ。
ブックレットに並ぶ、15年間このバンドを愛し続けてきた多くの日本人の名前を心から誇りに思う。
4. Tyondai Braxton / Central Market
Battlesというバンドを語るとき、ロック好きの人たちには「ドラムが元Helmet」という話から入るのだけど、
中心にあるのはこの天才ギタリストの頭脳と奇妙なポップセンスなのだということがよくわかる名盤。
クラシックが好きな人にもぜひ聞いてほしい、一種のモダン・オーケストラ。横で聞いていた知人の「レッドクリフみたい」という発言が忘れられない。笑
5. Prefab Sprout / Let's Change The World With Music
1985年の「Steve McQueen」(ウルトラ名盤)のジャケットに、「青春」というものは全てパッケージされていると僕は思っているのだけど、
バディ・マクアルーンというおそらくそろそろ50代に突入したと思われるジジイ・ポップ・マエストロは、未だに青春やその無垢さに捉われて、そこで何かを書こうとしている。
神秘的で宗教的ですらある、音楽への至上の愛の数々。
「音楽で世界を変えよう」「アイ・ラブ・ミュージック」「最後の偉大なるロマンス」そして「音楽はお姫様、僕はただの少年」。
ほとんど赤面してしまいそうな、こんな最高のソウルミュージックをオヤジどもの懐古にしたら罪だ。若者たちよすぐ聞くべし。そして世界を変えるべし。
6. The Horrors / Primary Colours
風貌見ただけで150%イロモノだと思っていたのだけど、すごいバンドだった!一年中つまらなかったUKの中で、数少ない発見。
無数のマイブラフォロワーにもう何年もうんざりしてきたけど、暴力性と退廃性を一番受け継いでいるのは実は彼らなのでは?
強烈にサイケデリックだけど、とにかく不穏な音楽で、聞いていると周りのもの全て破壊したくなる。そのくせ超ポップ。真夜中がよく似合う、奇天烈盤。
7. The Cribs / Ignore The Ignorant
僕の神様ジョニー・マーがなぜか加入して、むちゃくちゃ瑞々しいギターを弾いている。
それだけでオールOKなのだけど、やっぱりCribsは曲がいい。
90年代のベスト・ブリティッシュ・ポップバンド=Supergrassの血を受け継ぐ(ということはつまりレイ・デイヴィスの血を受け継いでいる)、
今のベスト・ブリティッシュ・ポップバンドでしょう。
「Girl Afraid」や「I Don't The One I Can't Have」がフラッシュバックする「We Share The Same Sky」は今年のベストソングの1つ。
8. Yo La Tengo / Popular Songs
どこがいいのかうまく説明しにくいアルバム、しかし心地よい。
前作(傑作!)に比べると一聴すると地味、でも一つ一つが練り上げられた、職人の逸品の数々であることが、特にライブを見るとよくわかる。
苛立ちにやさしく、毎日にやさしく、人にやさしく、どこか破壊的にやさしい。
アメリカの良心、ヨラテンゴブランド。一生聞くバンドだと思う。
9. Wilco / Wilco(The Album)
まずは祝・祝・祝・来日決定!!!それだけで向こう3ヶ月生きる気力が出てくるぜ。
アルバムはというと、寄り添うようなやさしさで、疲弊した今のアメリカをどこか癒そうとしているかのよう。
「Wilco will love you baby.」こんな歌を歌えるポジションにいる人は、それこそWilcoか、マイケルスタイプくらいしか世界中にいないのでは。
(ボノとかトムヨークが歌ってたら殺したくなるはず)
初夏に出たDVDも最高だった。フリージャズとカントリーを行き来できる才人、ネルス・クラインのギターを早く生で見たい。
10.Daniel Johnston / Is And Always Was
こちらも祝・来日決定!
アルバム通して捨て曲ゼロのすさまじい完成度のポップアルバム。天才には3分どころか2分あれば事足りる。
ポールマッカートニーや初期ウィーザーが好きな人は絶対聞くべし。
11.イルリメ / メイドインジャパニーズ
二階堂諸作を引き合いに出すまでもなく、詩人としての才能は当然破格。ユーモアが先走る分、なかなかデイリーリスニングしにくかったのだけど、ようやくとっちらかっていない名盤を手に入れた印象。
12.andymori / andymori
「Everything Is My Guitar」を聴いて、「あぁこいつら年下だったらやっとバンドやめられる」と思いました。
クソミソだらけの若手「ギターロック」バンドの中で、嫉妬するほどカッコいいと思える稀有なバンド。
13.ズットズレテルズ / 第一章
インターネット世代が生み出した早熟すぎる耳年増・天才少年集団。
「17歳」という年齢が騒がれているが、その年齢よりも、バックグラウンドのチャンプルさがむしろ異常。JBの影もスチャダラの影もROVOの影もストーンズの影も。解散が惜しまれる。
14.Grizzly Bear / Veckatimest
森の住人たちの深遠なソングブック。ある意味これが2009年のチェンバー・ポップ?若いはずだがライブがバカテクだったところにこれまたUSインディーの底力を見た。
15.DJ BAKU / THE 12 JAPS
このメンツを集められるだけでもこの人のアンダーグラウンドでの存在感は滲み出る。BOSSやSHINGO2にさすがの存在感を感じつつ、BRON-Kが発見的にヤバかった。