悪酔い、二日酔いも水の工夫で予防できる

February 20 [Wed], 2013, 13:12
酒は好きだが、悪酔いはしたくない。

あるいは、酒は嫌いだが、仕事の性質上、付き合いを断れない。

しかし、飲むと翌日がつらい。

悪酔い、二日酔いしない酒はないものか。

誰もが、そう考える。

そのために、品質の悪い酒は飲まない。

悪い酒ほど、肝臓にかかる負担は大きい。

だからこそ、酒の飲み方に、いろいろと工夫をこらしている。

私は、酒の熟成現象を水の状態から研究してきたが、最も大きな変化は、水であることをつかんだ。

その結果、悪酔い、二日酔いは水の工夫で防げる、といえる。

日本には、厚生省の統計で約三百万人のアルコール依存症(俗にアルコール中毒症)がいる。

こうした人を抱えた家族は決して幸福とはいえない。

そこで、治療するために病院に入れると、確かに、一時的には回復するのだが、いったん病院を出ると、また、飲んでしまい、元の症状に戻ってしまう。

退院させても、再入院する人は80%にもなるという事実は、アルコール依存症からの脱却がいかに難しいかを物語っている。

アルコール依存症の末期は、痴呆である。

痴呆症患者の脳組織は、水分が減少して萎縮している。

人間の脳組織の75%は水である。

脳をみずみずしく保つには、悪い酒を飲まないことはもちろんだが、「健康にいい水=生命体に調和する水」を飲み続けることだ。

飲んだ水は一分以内に脳にいく。

酒の好きな人に、やめろというのは簡単だが、やめさせることは難しい。

そうであるならば、せめて、肝臓への負担を軽くする飲み方を勧めたい。

そのためには、エタノール(エチルアルコール)代謝の知識が必要になる。

ウイスキーやブランデーあるいは焼酎や琉球泡盛などの蒸留酒は、作り立ての新酒よりも熟成酒の方がまろやかで悪酔いしにくい。

これは、体内に摂取されたエタノールの分解速度に違いがあって、熟成酒の方が速いためと考えられる。

体内に入ったエタノーlルは、肝臓にあるエタノlル脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の働きで90%以上が酸化され、炭酸ガスと水になる。

残りの6%足らずが、一部は尿中に、一部は呼気中にそのまま排泄される。

エタノールの酸化を受けもつ器官は肝臓である。

肝臓の中に入ってきたエタノールは、二段階に分かれて代謝される。

酒(たとえば、アルコール分5%のビール)を飲んだ一時間後に排出された尿をH−NMR法で測定してみると、その人のアルコール分解能力が判定できる。

分解能力の低い人は、エタノールがそのまま検出されるが、分解能力の高い人は酢酸が検出される。

中程度の分解能力をもつ人の場合には、エタノールと酢酸が検出される。

エタノール分解の第一段階では、エタノールからアセトアルデヒドに酸化される。

その酸化の主役は、エタノール脱水素酵素であり、この反応には補酵素としてニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドがある。

アセトアルデヒドは、二日酔いの原因物質であり、その毒性はエタノールの250倍も高い。

第二段階は、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きで酢酸になる。

この酢酸は無害であり、他の代謝経路から生じた酢酸とともに、クエン酸回路といわれる処理機構に入り、炭酸ガスと水になる。

この処理機構でエタノールの80%は分解される。

この時の分解速度の違いは、新酒と熟成酒の状態、つまり、エタノールと水の構造に関係していると考えられる。

水分子集団の構造は不変ではなく、絶えず変化している。

これを水の動的構造という。

私たちが行った蒸留酒の熟成研究の結果では、熟成酒の方はエタノール分子を包む水分子集団(クラスター)が新酒のそれよりも小さくなり、水分子クラスターの動きがより活発になることが分かった。

分かりやすくいえば、熟成酒の方がミクロの目でみた時、水分子とエタノール分子がより均一に混じり合っている、ということだ。

また、新酒に微弱な超音波(40キロヘルツ、10ミリワット)処理を二時間以上施すと、熟成酒に似たエタノールと水の動的構造に変化し、まろやかな味になることも見いだした。

これは時間が長いほどよくなる。そこで、この現象を自然熟成と区別する意味で、「疑似的熟成現象」と呼ぶことにした。

私たちは、蒸留酒の体内代謝とエタノールと水の動的構造との関係を明らかにするために、ラットに微弱な超音波処理を施した20%エタノール水溶液と未処理のエタノール水溶液を飲ませて、時間経過ごとに採血して血清にした後、H−NMR法で測定し、血液(血清)中に残留しているエタノールの濃度変化を調べてみた。

その結果、一六時間後の血清に明瞭な差が現れた。

つまり、微弱な超音波処理を施して疑似的に熟成させたエタノール水溶液の方が速く代謝されることが分かった。

これは、エタノール分子を包み込んでいる水分子クラスターが小さいほど、エタノール脱水素酵素の働きが活発になる、正しくは水分子クラスターが大きいと、酵素の働きが低下することを示唆する。

日本医科大学法医学教室の長谷場健博士らは、ラットを使ってさらに詳細に研究し、生体内でも試験管内でも、超音波処理を施した方が、エタノール脱水素酵素の働きが活発になることを確認してくれた。

マウスのような四つ足動物は、ペットとして飼育している犬・猫は別にして、絶対に腹を見せて睡眠しない。

そこで、エタノールからの酔い醒めを見るために、超音波処理を施したエタノール水溶液と無処理のエタノール水溶液とをグループ分けして飲ませて酔わせ、全部を腹を上にして寝かせた

。一定時間後に覚醒し、四つ足で立った数は、超音波処理を施したエタノーlルを飲ませたグループの方が圧倒的に多かった。

このことから、次のことがいえる。

一、揺すった酒は、水の状態が変わり、まろやかな味になり、飲んだ時にはエタノール脱水素酵素の働きがよくなる。

二、その結果として、エタノールの代謝が速くなる。ということは、毒性の強いアセトアルデヒドとして血液中に滞留する時間が短くなる。
だから、悪酔いをせず、酔い醒めがよくなる。

三、平たくいえば、エタノールの毒性を低下させるので、肝臓の負担が軽くなる。

酒を揺すると、おいしく、まろやかになり、酔い醒めがよくなることは、科学的にも生理学的にも合理性があったのである。

日常生活の中で、簡単に酒の味をまろやかにするには、飲む前に酒瓶を軽く揺することだ。

揺すってやると、水分子とエタノール分子がよく混ざるからである。

船で運ばれた酒はうまい。

昔、江戸っ子のお気に入りの酒は「富士見酒」と呼ばれた。

富士見酒は、灘(現在の神戸市)、伏見(京都市)、伊勢(伊勢市)などから樽廻船(江戸時代の大阪・江戸間の定期便船、酒樽を運送した)に揺られ、富士山を横に見ての海路を経て、江戸に着く酒のことをいう。

ヨーロッパでは、船長用の酒樽を舶先にくくり付けて航海をした。

一番うまい酒を飲むのは船長の特権だった、という言い伝えがある。

酒がうまくなったのは、波によって穏やかに揺すられたためと解釈できる。

これは、微弱な超音波と同じく、穏やかな振動が水分子とエタノール分子のクラスターを小さくして、水分子の隙聞にエタノール分子を包み込んだから、というのが私の考えたモデルである。

ヨーロッパには、わざわざ船に酒樽を積んで一度航海をしてから、酒を売り出す会社が今でもある。

現代は、酒といえども区別化の時代になった。

蔵元は、競争相手との問で鏑を削る。

醸造過程において、酒に音楽を聞かせたり、振動を与えたり、微弱な超音波で処理したりして、より品質の優れた(まろやかな、酔い醒めのよい)酒を造るところが出てきて、話題にもなっている。

http://waterserver-ranking.net/