<前回の続き>
坊主の手牌が本来よりも多い・・・、とにかく多牌しているのは誰の目にも明らかだった。
親の第一打・・・
さて、この坊主どうするつもりなんだ。
坊主がへんな動きをしないかどうかを注意深く見ていた。
(どないする気や・・・)
ぺしっ
何事も無かったかの如く、坊主は牌を放った。
でかい体に似合わず、ソフトな置き方だったように思う。
その時だった。
バラバラ・・・
ガッチャーン!!
(ん!!!!)
音は坊主の方からだ。
なんと坊主は、いきなり手牌から3枚牌を倒し、右方向に牌を滑らせた。
その晒した牌を見て私はようやく意図をつかめた。
(ほう〜!なるほど!!!!!)
私はこの瞬間、自分でも興奮していたのが分かった。
よくもまあこんなこと思いつくものだ。この発想は私には無かった。
今でこそたまに見かける光景だと認識できているが、この時の私には新鮮で、
この技を始めに思いついた人は、なんて頭が良くて、なんてせっかちな人なんだろうとも思った。
説明しよう。
坊主は配牌を1ブロック持ってくる都度牌を起こすという配牌の取り方だった。
ちなみにこれはメジャーな取り方で、もう一つ良く見かけるのが、
牌を伏せたまま横に並べて最後に立てるという取り方もある。
しかし、個人的には坊主のやった、1ブロックずつ起こす取り方の方が優れていると思っている。
何故なら、「いち早く、かつ長く自分の牌姿を確認することが出来る」からである。
後者の取り方のメリットは「牌を溢さずに済む、不器用な人でもスムーズに取れる」と言ったところ。
ということは牌を溢さずにスムーズに取れるなら前者の取り方にすべきなのである。
これはあくまでも私の見解で、実際そういう理屈かどうか分からないが、
やはり大多数の強者は、その都度起こす取り方をしていたように見受けられる。
横道に逸れてしまった。
坊主の多牌のからくり・・・
坊主が右手で1ブロック取って、牌を立てた時、北の枚数分だけ
左手で王牌から、リンシャン牌を抜いていたのである。
ブロックを取る動作のスピードが遅れることなく、寧ろすばやい動きだった。
右手で4枚の牌を起こし、北があれば、左手でも王牌から持ってくるということを続け、
今回は北が3枚だったので、本来の配牌ブロックを取りながら、別で3枚分リンシャン牌を取ってきた。
そしたら配牌を取り終える頃には、3枚分多牌する。
さらに、第1打を切った後に3枚の北を晒した。
ということだった。
一般的な動作では配牌を取り終えてから、北を晒しリンシャン牌をツモり、第一打だが、
その順序を変えただけなのだ。
つまり、「北を抜いて、リンシャン牌を取る」という時間をカットしたことになるのだ。
無論、親の時でしか使えないウルトラCである。
こんなことをして何のためになるかというと、別に勝負にはまったく何の影響もないw
寧ろ、北の枚数を数え間違えると、本当に少牌or多牌をしてしまって、笑えないくらいだ。
しかし私は、サンマ職人のせっかちな技に惚れそうだった。
「リーチ!!!」
坊主が威勢良く牌を叩き付ける。
さっきまでソフトに打っていたのはなんだったんだという強打ぶり。
リーチ以後テンションが上がり、威勢が良くなるタイプだったのだ。
こういうタイプは結構居る。
すぐに感情を表に出すので戦術的にはやりやすい場合が多い。
「ツモ」
すると、すんなり下家のインテリが安手でかわす。
(ナイス、インテリさん。よっしゃ。)
高そうな親の手が流れた安心感からか、私は口を開いてみた。
私:「いや〜その眼鏡似合ってますね」
インテリ:「あ?」
・・・
東二局
ここがまさに分岐点だった。
親で配牌を取る私。
すると、これがまた悪い手だった。
ヤオチュー牌が8種だった。
私は国士は狙わず、ヤオチュー牌から切り出した。
まだテンパイが見えない頃、10巡目くらいだっただろうか、インテリからリーチが入る。
(追いつけそうにないなぁ・・・)
この時点で私は捨て牌にヤオチュー牌しか並べておらず、流し役満の可能性は残っていた。
安牌かつ端牌を切って数巡凌ぎ、なんというか緊張感のない、まるで単調作業の如く、
手をなるべく崩さず、安牌かつ端牌を切っていた。
しかし、次の牌姿になり、一気に緊張感が押し寄せる。
ドラ












聴牌したらどうしよう。巡目とヤオチュー牌のストックを考慮しても非常に難しかった。
流し役満を完成するにはヤオチュー牌を後3,4枚引く必要があった。
しかし、狙えないことはない。祝儀を貰えることを考慮すれば十分に試す価値はあるのだ。
1索が二人に実質安牌だったので、流し役満は振り込むリスクをほぼ0にできるというメリットもある。
はぁ・・・
どうしたものか。
寧ろ聴牌となる牌を引きたくなかった。
しかし次巡、聴牌となる。













ツモ
これだけを見れば、とりあえず

を切ればそさそうだが、実際は下家が7索をカンしており、
8索も場に出ていて、すぐに聴牌する見通しは無かった。
寧ろ、西と4筒は、良い待ちでどちらも一枚ずつ山ではないかという読みもあった。
私は、本当に悩んだ。
時間にしたら4、5秒程度だと思うが、本当に苦しかった。
これは秒単位ぽっちの時間をいくら使っても答えは出ない。
ここらは感覚で決着をつけるしかないのだ。
ついに私は決断した。
私の選んだ牌は・・・
つづく
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