∴∵∴ 

2007年01月14日(日) 12時38分
ある日神に見放された少女が産まれてきた。
少女は産まれた瞬間普通の赤ん坊のように産声を上げ、看護婦の手に収まった。
ただ、他の赤ん坊と違うところは、うっすらと開いている目から見える紅い瞳。
その色を例えるなら…―――、血


サクラが咲き乱れまるでそれに連れ去れてしまうと錯覚してしまうような季節。
一人の少女が氷帝学園の門をくぐった。
綺麗な腰まである黒髪、白い肌、カラーコンタクトの入った大きな瞳。
少女の名前は中川千春。  神に見放された少女だ。
ゆっくりと歩く姿は、すれ違う生徒たちを立ち止まらせてしまうほど美しかった。
そんなことは気にしない様子で千春は校内に入り昨日覚えた職員室の道のりを歩いた。
ドアを軽くノックして、中に入ると趣味が良いのか悪いのかわからない服装の榊太郎が立っていた。

「久しぶりだな」
「お久しぶりです。おじさま」




(こんなの書きたい)

君の唯一の味方のようなふりをして 

2006年11月03日(金) 20時54分
君の唯一の味方のようなふりをして

君は暗くて、典型的な虐められっ子。
毎日のように殴られ、罵倒される。
関わりたくなくて、関係ないフリをしていた。

だけど、ある日俺は彼女を助けた。
裏庭で寝ていたら、殴っている奴の声が聞こえて煩かった。
だからクラスの男子たちに"女の子一人に何人いるの?"って聞いたら、バツの悪そうな顔をして逃げてしまった。
腹を抱えて咳き込む彼女と同じ目線になるように膝を曲げてしゃがむと、長い前髪からちらちら見える涙を溜めた瞳が印象的だった。純粋に綺麗だと思った。
次に印象的だったのが真っ白で細い腕にいくつもある痣。
それが俺には芸術品に見えた。
薄い唇から出されたお礼の言葉は、掠れて上手く聞き取れなかった。
だから彼女が言った言葉がお礼の言葉だったのかもよくわからない。

だけど俺は思った。
彼女に惹かれてるのは、彼女が虐められているから。
体中の痣が、全てが敵に見えるであろうあの瞳が、綺麗だ。
だから俺は小刻みに震える君に囁いた。
"俺は君の味方だよ"
その時向けられた君の瞳に鳥肌が立った。
面白いほど純粋だったから、俺は込み上げる笑いを抑えるのに必死だった。


(信じられる人に裏切られた時の君の瞳がみたい)

お勉強会はポテチとビデオ持参で 

2006年09月23日(土) 17時03分
「日吉ー、今日勉強会しようよ」
「…お前って勉強できるんだな」
「勉強するんだな。ならともかく、できるんだな、ですか」
「お前にしてはいい質問だ」
「答えは?」
「できない、と思ってたから、する、まで考えてなかった」

日吉はいつも私をからかう(素なのかもしれない)。だけど私にとってはそれは不快なことでしかなくて、ただ単純に日吉と一緒に勉強がしたいというだけなのだ。そう、私はいわゆる日吉のお熱なのだ(言い方が古いって?)。

「じゃあ、どっちの家で勉強しようか」
「図書館って言う選択肢は無いのか?」
「ないね。ぜぇーったい無い」
「だってお前と勉強会すると毎回ビデオ見るはめになるんだけど」

日吉、私と何回か勉強会したこと覚えててくれたんだね。最初のほうで言ってた言葉で私はすっかり忘れてるのかと思ってたよ。ていうか、忘れてたらアルツハイマーだよ。漢字で書くと痴呆症。簡潔に言うとボケたというべきか。

「だって勉強ばっかりだと飽きるじゃん」
「俺は一度だってお前が勉強会に教科書、ノートが持ってきたことがないって記憶してるぞ」
「……」
「ポテトチップスが大量に入ってるけどな」
「………」

そこまで記憶してる日吉はきっとアルツハイマーじゃありません。そして私は言い返す言葉もありません。確かに私は日吉の家で勉強会をする時にかばんにノートと教科書を入れて行ったことはありません。ホラーとかサスペンスとか、ラブストーリーのビデオとポテトチップスしか入れて無かったよ。時々ジュースとか入れてたけどね…。

「はっきり言えば?」
「…なんてさ」
「俺が好きだから勉強会と偽ってビデオを見たいんですって」
「……日吉はいきなりカバンの中から出てくる?」
「俺はエスパー伊藤か」
「うん?」
「聞くなよ」

聞きたくもなりますさ。まさか私の気持ちが日吉にばれてるなんて。

「で、素直になれたか?」
「…私は日吉が好きだから、…一緒にビデオ鑑賞がしたいです」
「却下」
「えっ!?」
「冗談」
「ええっ!?」
「俺も好き」
「…じゃ、お勉強会はポテチとビデオ持参でいきます」

気付いたら君依存症 

2006年08月27日(日) 18時07分


泣きたい(泣いてるじゃん)
苦しいよ(分かってるよ)
どうか、この想いが岳人に届くように(届くわけ、ないのに)
そして私が苦しまずに死ねるのをどうか祈っていて(死のうかな)
私はずっと岳人に甘えてたよね(君が優しすぎるから)
ごめんね(何度言えば…)
大好きだよ(ずっと)
今会いたいよ(我侭だよ)
岳人以外、私が死んだら、私の存在を忘れて(岳人以外の思い出なんていらない)




ねぇ 私は って ま すか?




少しだけ変わったような 

2006年08月15日(火) 14時01分



「なんかさ、私たちの恋ってなんだろうね」
「なんですかいきなり」
「日吉は私のこと好き?」
「…好きですよ?」
「そっか。私も好き」
「なんなんですか一体」

着替え終わった日吉が肩をすくめて、日誌を書いている私の横に腰掛けた。

自分でもなんでこんな唐突にこんなこと言い出したんだろうって思うけど、なんか日吉の好きと私の好きは違うような気がしてならなかった。私は毎日日吉のことを考えてしまうほど彼が大好き。じゃあ、日吉は私のどこが好き?バカで、背も小さくて、とりえなんて何もない私のどこが好き?

「日吉は、私のどこが好き?」
「バカで、背が小さくて、とりえがない自分がどうして俺に好かれてるんだろうって悩んでるところですかね」
「全部見透かされてる」
「貴方のことですからね。そのぐらい俺も貴方を愛してるんです」
「…ずるい。格好良過ぎだ。キノコ。バーカ。大好きだからね。嫌いになってあげない」
「嫌いにさせませんよ」

負けた。っていうか、いつも負けてる。日吉が格好よくて、さらっと恥ずかしいこといっちゃうところ好き。見透かされるのも嫌じゃない。日吉だから…嫌じゃない。だってそれって私のことちゃんと見てくれてるってことだもんね。

「さっ、日誌も書き終わったし帰ろっか?」
「はい」
「ね、日吉…キスしようよ」
「貴方がして欲しいなら、好きなだけ」





少しだけ変わったような

自分より彼のほうが好き 

2006年08月06日(日) 18時43分
「バカ…バカ…」
誰もいない教室。たった一人で泣いてる私。どうしたの?
あぁ。そうだったね。さっき私はフラれてしまったんだ。
ずっと大好きだった彼に。…大好きな彼にのほうが正しいかもしれない。
あんなに酷いフラれ方をしたのに私の心はまだ彼でいっぱい。
どうすればいいの?どうしたら彼を忘れられるの?
ねぇ。答えてよ。どうして私にあんな言い方したの…?雅治…。

『わしは中川のこと嫌いじゃ。笑顔も、声も、全部全部大嫌いじゃ』

全部を否定された時私の頭の中は真っ白で、ただ俯いて小声でごめんねって言うぐらいしか出来なかった。
彼の前から走って逃げようとした時に見えてしまった…。雅治のとても苦しそうな顔。
それが一番わからない。フったのは雅治、あなた自身なんだよ?
どうして雅治が傷付いた顔するのよ。死んでしまいたいのはこっちのほうなんだからね。
「やだ…雅治なんて、大嫌いよ」
彼にむけた大嫌いと言う言葉に酷い罪悪感を感じた。
大嫌いなわけないのに。大好き過ぎておかしくなりそうなんだよ。
現実…もうおかしいんだけどね。

(雅治はどうして私のことが嫌いなの?)

その答えを知るのは彼自身。
聞く勇気がない私には一生わからないだろう答え。

(…私なんて大嫌い…)

今日私は好きな人に告白した。
酷いフラれ方をした。嫌いになろうと思った。

(だけど)

彼を嫌いになれずに自分を嫌いになった。

どこでもドアー!って出せるかァ 

2006年08月05日(土) 10時40分



△△△



「どこでもドアー!って出せるかァ!」


時々宍戸って面白いことしだすよね。とか思ったの私だけ?


「どうしたのさ宍戸」
「いや。お前がやらせたんだろ」
「そうだっけ?いきなり宍戸がドラえもん之介のマネをしだすから」
「俺はドラえもん之介とかいうまだ売れて無さげなお笑い芸人のまねをしたわけじゃねぇ」
「誰もそんなお笑い芸人のまねをしてるとはいってないでしょ。ツッコミどころ違うのよ」
「んだと?お前が毎日ボケじゃかわいそうだからたまには俺がボケてみただけだ」
「そんな優しさいらないって。有難迷惑。そしてあんたは骨折り損ね」
「俺のやってたことは無意味だと言い張るんだな」
「言い張るっていうかありのままを言っただけなんだけど」
「あーそうか。中川はそういう奴だったんだな。俺は見損なったぜ」
「今まで宍戸は私のことをどう思ってたのよ。作文用紙5枚以内にい内容まとめて私に提出しろ」
「いや。ムリだから。つうか作文用紙5枚って2000文字じゃねぇか」
「お前ならできるって。いけるいける。勝てるって。ファイト!」
「心の底からどうでもいいとか思ってるだろ。みえみえなんだよ」
「やっと私の心情を悟ったか。ていうか今日宍戸おかしい。なんかあったのモロバレ」
「…うるせぇ」
「うわー。本っっっっっっっ当に嘘吐くの下手だな」
「…………フラれた。鈴原にフラれた」
「鈴原って…あのミス氷帝の?美人でお金持ちのお嬢さんに?フラれた?」

宍戸はゆっくり頷いた

「…当たり前でしょ。あんたと鈴原さんじゃ月とバクテリアよ」
「鈴原をバクテリアとか言うな」
「いやいや。バクテリアはお前だよ。鈴原さんが月に決まってんじゃん」
「まぁ俺がバクテリアだとしても。やっぱり好きなもんは好きだったんだよ」
「お金持ちと庶民かぁ。フラれ方はきっと…」

ラムネ・ロシアン・ルーレット 

2006年07月26日(水) 19時19分



「今年も夏が来ましたー!」

夏祭り。今年も俺の恋人の千春が張り切る季節。
なにを張り切るかって?それは…

「ラムネ・ロシアン・ルーレット!!」
「もうやめようぜ…」
「まだ振ってもないよ?」
「いや、毎年はずれるの俺だし」
「へぇ?」

俺の話を聞いてなかったみてぇだ。
シャカシャカラムネ振ってるからな。
やる気満々だ。それに比べて俺は、やらない気満々だ。
(いや、きっと俺には拒否権っつー言葉はないんだ)
どうせ今年も千春のペースに呑まれてこのラムネ・ロシアン・ルーレットをするはめになるんだろう。
だけどな…俺は思うんだ。
お前は何でまいとし、毎年わざわざ夏祭りでやるんだよ。
毎年恥をかいてる俺のみにもなれ。

「りょーう!どっちがいい?」
「…左」
「はい、左ー!」
「…」
「いっせーのせだよ!」
「あぁ」
「じゃあいくよ!いっせーの…せ!」

プシュ、シュワワワワワワワワ

「きゃー!今年は私!?」
「しゃー!俺当たったの初めてだぜ」
「ベタベタだぁ!」
「千春ラムネだな」
「あはは、なにそれー」
「俺だけのラムネだけど?」
「…ぶは!激ダサだね」
「うっせー!」

今年も俺の傍に千春がいるように俺はかける。


ラブ・ロシアン・ルーレット



永久の眠りにつく君へ...02 

2006年07月24日(月) 19時05分


どうして君はこんな姿なの?
苦しいならこの血を止めればいいのに。
あぁ、できないから苦しんでるんだよね。
ダメだ。俺の頭はショートし始めてる。

「すご、い…っ顔……だよ」
「死んじゃやだ…やだぁ」
「ジっロ……最後、に、言いた……いの」
「最後…ってなんだよ」

最後なんて言わないで。
まるで君が死んでしまうような言い方じゃないか。
君は俺を置いて逝ってしまう気なの?
そんなの俺は嫌だからね。君と一緒だから…ずっとずっと。

「私が、…死んで……も、大好きで、い…てね」
「大好きだよ!だから…死なないで」
「ごめん、ね。…も、目が…霞ん、で…きた」
「死なないで、死なないで…死なないで!」
「我侭、だぞ?」

いつものように微笑んだ君は死を恐れていないように見えた。

「ゴホッ…」
「…まだ!?まだ救急車は来ないの?」

激しい咳をして血を吐く君を俺は見てられなかった。
サイレンの音が遠くから聞こえてくる。
もっと早く…もっと早く…早くしないと…死んじゃうから。

「好き…だよ…」
「目ぇ閉じちゃダメだよ!」
「う、ん」

キキっと車の止まる音が聞こえて俺は勢いよく振り向く。
座席から白い服とヘルメットに身を包んだ人が降りてこっちに走ってくる。
遅いよ。…あんたら救急隊だろ?何でこんなに遅いんだよ。

「この子ですか!?」
「見ればわかるでしょ!早くして下さい」
「ジロちゃん…大好きだよ…」

君はしっかりと俺の目を見ていった。
俺が上下に激しく首を振ると、君は再び微笑んだ。
今までに見たことがないくらい綺麗な笑顔だった。

救急隊の人に担架で君は運ばれ、俺は一緒に救急車に乗った。
もう君は俺が何度問い掛けても答えてはくれなかった。





お題提供...by.酸 性 キ ャ ン デ ィ ー

永久の眠りにつく君へ...01 

2006年07月24日(月) 18時17分


空って、こんなに遠かったっけ?と思った。
君はキレイに孤を描いて宙に舞った。
あっという間の出来事に俺は君がアスファルトに落ちても呆然と空を見上げていた。
周りの人たちの声が酷く遠くから聞こえる。
まるで周りの風景や情景が俺だけを残して速送りされてるされてるような感じ。
見上げた空は蒼く蒼く澄んでいて、穢れを知らない。

でも、俺が君が落ちたアスファルトを見れば…

真っ赤に染まった地面。
それもそれでキレイだ。なんて思ったりした。
俺はきっと受け入れたくないんだ。君がはねられた事実を。
なのに…なのに、君の体からは大量の血が止まることなく流れている。

俺の足は自然と君の近くへと歩いていく。
覚束ない足取り。情けない。
君の真横で立ち止まって見下ろせば、血の気の引いたキレイな顔。
やっぱり君はキレイだ。

「ジロ…ちゃ、ん」

微かに俺の耳に届く君の声は頼りない。
そこでやっと気付いたんだ。
君はもうすぐ死んでしまうって…。
気付いた瞬間涙がブワっと溢れ出した。




(後悔って…こういうこと?)


お題提供...by.酸 性 キ ャ ン デ ィ ー

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