アニエス・b  2005年12月15日(木)
既に何度かご紹介してきた、グランド・ホテルのケーキ500葉(サンクサン・フョーユ)。
来春3月6日から4月末にかけてのデザインを担当するのは、アニエス・b。
プレスカンファレンスに参加するメンバーやカメラマンもお馴染みになってきた。

サンクサン・フョーユについて、アニエス・bは「中近東のイメージを創造してみました。ジンジャーやサフランなどのスパイスを効かせたキャラメルに、りんごと梨を入れ、金粉でおおった生地にのせて、トップをサフラン風味のメレンゲで仕上げました。そこで、名称は“アラジンのランプ”と名づけました。」とコメントする。
カメラマンたちにカメラを向けられて、少々はにかむような姿は、とてもチャーミングで、彼女の内面を素直に映し出している。
数年前に、カフェですれ違ったときも、見知らぬ私ににっこりと挨拶をしてくれたほどである。

今回の500葉(サンクサン・フョーユ)は、生地を積層にしていない点もポイントである。

3月はプレタポルテのシーズンなので、期間中、アニエス・bのブティックでもケーキを扱う予定である。



(c)kaoru URATA

 
   
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Le temps qui reste  2005年12月06日(火)
『ふたりの5つの分かれ路』から一年、フランソワ・オゾン監督の新作Le temps qui reste(=残された時間)は、癌宣告を受けたカメラマンが、余命をまっとうする姿を描いている。

ファッション・カメラマンとして、世界を飛び回るロマンは、同性愛者。
余命宣告を受けた瞬間、「エイズですか?」と質問する。
首を振る医者に「癌?」と聞き返すと、「そうです。各臓器に転移しており、摘出手術は不可能な状態です。」抗癌剤治療を否定するロマンに医者は、「あなたはまだ若い。治療を受けるか否かの判断はあなたがすることです。私は、その判断を尊重し、最善を尽くします。残された時間と闘うことも若いからできることかもしれません」

両親や姉よりも先に、田舎に暮らすジャンヌ・モローが演じる祖母に病名を知らせにいく。
途中、ドライブインで働く女性から、「私たち夫婦は結婚しているけれど、主人の都合で子供ができないから」と30代で独身で美男子のロマンは、精子提供を持ちかけられる。しかし、あくまでも拒否する。
パリに戻り、不仲であった姉からの手紙。別れた彼氏との再会。人生を紡いできた幼少期のシーンと閉ざされた未来に反抗しながらもある決意をする。
ロマンは、ドライブインの夫婦のもとに戻るのだ。

そして、夫婦の立会いのもと、ロマンは公証人に、誕生してくる子供に全財産を授け、葬儀方法も準備する。
そして、思い出の海岸に一人出向く。周囲では、海水浴やボール遊びを楽しむ人々。ゴーグルをつけて泳いだ後、砂浜でたばこに火をつける。
転がってきたボールをとりにきた少年に、笑顔で手渡すロマンの瞳はにじんでいる。
ロマンは、太陽の光を浴びながら、寝そべる。
人っ子一人いなくなる砂浜。カメラは、ロマンのプロフィールの起伏に太陽が沈むシーンで終了する。

ロマンの演技に涙をそそられるどころか、死への恐怖や悲しみを乗り越えた、大きな勇気に心が温くなる。



(c)Jean-Claude Moireau
 
   
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図書館の待合室で  2005年12月04日(日)
パリの国立図書館は、2区と13区にある。
ミッテラン大統領が政権にいた時代に残した建造物で、代表的な国立図書館は13区に位置する。その当時、若干30代の建築家ドミニック・ペロー氏が手腕をふるったことでも有名でもある。

後々、ここに映画館MK2が隣接するように建築された。だから、頻繁に足を運ぶのである。
週末は、学生、研究員で図書館は非常に混み合っている。
館内は、展示空間、本屋、カフェテリアも併設されているので、一般ビジターも多いのだ。
そして、各所に一人掛けシートが置かれているので、読書や膝元にPCを置いて画面をにらんでいる人々が目に付く。

100メートル競走ができるほどの庭園を囲む回廊の4コーナーの一部は、簡単な展示をしており、モニターからは映像が流れている。
その前に設置されたベンチに青年が一人腰掛けていた。
手の動きは、ペンを握っているわけでも、キーボードをたたいている様子でもない。
なんと、針を持ってお裁縫をしていた。
好奇心旺盛の私が、見逃すわけがない。

横にまわり、何気なくうかがうと、ジーンズを縫っていた。もしかして、ヒップ部分のどうしても隠せない部分が破れてしまったのだろうか。だが、青年はジーンズを着用していたので、自分のものではないらしい。だとすると、友人のものだったのだろうか?彼が縫い終わるまで、友人はトイレで待ち続けていたのかもしれない。
図書館には、常に様々な人々が集まるというけれど、本当らしい。



©kaoru URATA

 
   
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Cache  2005年12月01日(木)
出版関係のテレビ番組を担当するインタビュアーの夫と出版社に勤務する妻、そして、一人息子の自宅に、ある日、家族を観察したビデオがスーパーのビニール袋に入って届けられる。

道路から家を映すアングルも固定していて、駐車した車に向う自分の姿まで見えるのに、いつ、誰が、どのように映したのか不明。
ビデオテープに添えられた絵は、子供が描いたようにも思われるが、吐血する子供やにわとりの首が切り落とされている不快なものである。

夫は、警察に事件を申請せずに、自ら解決する行動に出る。
ビデオに映った場面を頼りに、たどりつくアリバイ人物は、幼少期に、両親が養子縁組しようとしたアルジェリア人。数十年も付き合いもないまま現在に至っている。
緊迫した状況は最後の最後まで続く。
ビデオや絵などの脅迫をあくまでも拒否するアルジェリア人。
息子が夜になっても帰宅せず、焦った夫婦はアルジェリア人を疑い、警察に追放する。
翌日、友人の母親に引率されて帰宅する息子。
アルジェリア人は、自宅に夫を呼び出し、「お前に見て欲しいことがある。」とナイフを首に切りつけ自殺する。
Cache(=隠れた)は、最後の最後まで秘密を明かさないままに終了する。



Cache
監督: Michael Haneke  2003年 フランス
キャスト: Daniel Auteuil, Juliette Binoche, Maurice Benichou, Annie Girardot...
フランスでの封切り : 2005 年10月 5 日
(c) Les Films du Losange



 
   
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今週の雑談  2005年11月27日(日)

22日(火)は、交通機関や学校教員のストライキがあり、場合によっては状況が長びくのではないかと懸念されたが、想像していたよりも早くに解除された。

25(金)の午後、PCのキーをたたくオフィスの外界の音が沈着した様子に視線をそらすと、空からの白い贈り物。ここ数日間、底冷えしてきていたとおりの予報である。
夜は、友人とピアノのコンサートに行った。アンギャン・レ・バンのアートセンターに数ヶ月間、キューバから招聘されていた若干22歳の新進気鋭のピアニストの指先が奏でる鍵盤は、ジャジーでエネルギーと躍動感にあふれていた。体と楽器が一つになることは、こういうことなのか。。。と20代の集中力にも脱帽した。

翌日は、朝市から帰宅して、キッチンで調理している間、雪は舞い続けていた。
子供たちのはしゃぐ声がしてきて、居眠りから覚めると、白く化粧された景色から普段の背景にもどりつつあった。

オーブンから数時間前に出てきた、“てかてか”のチョコレートケーキへのナイフの感触はとってもいい。生チョコが焼き菓子にはさまれている感覚が絶妙。
週末のティータイムなんて、久しぶり。思わず、うふふ。

仕事から解放される、映画と散歩と料理の3本たての週末は、短いからこそ満たされるのかもしれない。

今夜は、Gさんからいただいたキャンドルの光の演出で、甘酸っぱい焼きりんごにスプーンを落として、幕をおろそう。



(c)kaoru URATA

 
   
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何を制作中?  2005年11月24日(木)
ビニール手袋をして、何やら作っている。
一発で、何を制作しているのか当てた方はお見事!



手元には、ピンセットを置いているのでヒントは細かい作業だろう。
こねているような素材は“歯ぐき”のようなピンク色をしていて、入れ歯部品と思われる。作業着をみると、白衣にエプロンをしているので、そんな気持ちにもなるが、次の写真をみたら、こんな衛生状況で医療部品が制作される訳はない。
それに、白衣の襟元がどうやら料理人に似ている。



「何をつくっているのですか?」と質問をすると、

「ご覧のとおり」
と差し出された箱の上には、出来たての飴細工の指輪がのっていた。



ESCRIBAは、バルセロナ発の飴リングのブランドである。

photo by kaoru urata
 
   
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シナモン&モカの季節  2005年11月22日(火)

太陽が無い国に住むのは性にあわない。
ましてや、凍てつくような外気温には到底かなわないのだが、朝夕、マイナス気温になってきたパリ。これから、まだまだ寒くなってくる。

セーターの重ね着、コートも2枚くらいはおり、手袋、帽子をしっかりとかぶらないと外出しない。
「どこからやってきたエスキモー?」と笑われそうだ。
しかし、完全武装すると、たちまち心も温まり、行動力のための充電も満タンになる。
そうなると、どこからか訪れたエスキモーも外が大好きになってしまい、どこまででも行ってしまいたくなる。

それは、帰宅したときの楽しみがあるから。
キッチン棚には、欠かせないお茶の種類。

今日は、LIPTONから新発売のメキシコフレーバーを開封してみた。
太陽を求めて買ったのだけれど、三角形のティーバッグに詰められたシナモンとモカの香りは、頬もほてるほどに温まった室内に、旅情感を運んできた。

(c)kaoru URATA



 
   
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fauchonのランチボックス  2005年11月16日(水)
午後から、フランスのインテリア協会と産業がタイアップした、デザインコンペの審査員として某オフィスにいた。

審査を始める前に、まずはランチでコンディションを整える準備にとりかかる。
企画側が注文してくださったのは、fauchonのランチボックス。
日本人にとって、fauchonといえばアップルティーに直結するほどに、一時期は誰もがフランスからのお土産に購入したほどだ。
ここ数年で、ブランドのイメージを改革していく方針がうかがえるfauchonは、白と黒のモノトーンに、ピンクを取り入れている。

帯状のテープを解いてフタを開け、それを見開き状態にすると簡単な敷物に変身する。そして、ボックスの中に大小に重なる前菜、メイン、チーズ、デザートのコンパーティメントがおさめられている。

コメントしておくことは、フォーク&ナイフセットがプラスチックの使い捨てではなく、金属製であること。コップもガラス。塩&こしょう入れもプラスチックのかわいらしい容器に入っている。

同席した9名の審査員や関係者全員は、もちろん上記の品々を持ち帰った。
私は、オフィス用の食事セットとして明日から活躍することは間違いなし!



(c)kaoru URATA


 
   
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大人も熱中するゲームとは  2005年11月11日(金)
パリの北部、電車に1時間少々揺られて、さらに車で田園風景を横目にしながら1時間弱走るとベルノヴィルという町に到着する。
今年の夏にオープンしたばかりのホテル&レストランを営むオーナーに出迎えられる。
秋晴れの清々しい一時の予感。

馬小屋を改装した建物は、庭園とりんご園を囲む。
レストラン棟もレンガづくりの馬小屋を改装したもので、このような構造が残るのはフランスでは唯一ここだけだそうだ。
地元ビールを試飲しながら、手作りゲームの数々に挑戦。
どれも、数秒でルールを把握できるので、簡単な飲食店で昔から親しまれてきた。

写真のゲームは、サイフォンで空気を吹きだし、ボールを相手の穴に落としたら勝ちというもの。
テーブルが傾いていたせいか、今回の勝利はあまり当てにならなかったのも面白い。

(c)kaoru URATA

 
   
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パリ近郊の暴動  2005年11月09日(水)
パリ近郊における暴動は、2週目に突入し、未成年者にたいする単独での「夜間禁止令」が地域ごとに適用されるほどに深刻化している。

ただ、パリ市内においては、現在のところ平常とおりであるといえる。
報道関係では、バス、公共の建物、車が全焼している風景ばかりをクローズアップしているので、辺り一面が火の海と想像される方も多いことだろう。

フランスが抱える「移民」問題は、植民地時代からのはじまっていたことである。
移民も2〜3世代となり、子供たちは、フランス語しか話すことができないのに、肌の色、宗教の違いで差別を受けることは、払拭されないまま継続されている。

人間の心理を根本的に入れ替えることは不可能であり、ましてや、コスモポリタンな世界になれば問題は肥大するしかないだろう。
今、フランスが従来の方針を続けていくことには、無理がある。時代に応じた変化と対応が求められている。
暴動は、あくまでも一つの表現であり、解決策に導くツールをいくつ創出していくことができるのか、沈着するまでには時間がかかりそうだ。


(c)AFP/THOMAS COEX
2005年10月28日 クリッシー・ス・ボワで全焼した郵便局の車を視察する警察官

 
   
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