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ショックなことがあった・・・。  2005年01月28日(金)
ケニアではダニから移るTheileriaという原虫がいて、East Coast Feverという病気が起こり、ナイロビではダニ駆除していない牛の多くがこの病気にかかる。

発熱、リンパ線の腫れ、舌の裏の出血のマーク、呼吸困難が起こるんだけど、この病気の末期症状を見てしまった。私達が行く一日前にどこかの獣医が来て「気管支炎」と診断したそうで、抗生物質とビタミン剤だけ打たれていて、今日になって立ちあがれなくなったのだと言う。肺の音を聞くとものすごくゼーゼー言っていて、気管支からは水が通る音がしていた。この病気の死因は肺に体液が溜まって、呼吸困難。

自分の体液で溺れ死ぬのと同じ。牛はもう起きあがれなくて、首を伸ばしてゼーゼー言うばかり。飼い主が「助かる可能性が低くても薬を打って欲しい」と言われたので薬を投与したが、その10分後、呼吸困難がさらにひどくなった。首を伸ばして息をしようとするが、体液が気管支まで上がってきているのか、まったく息が吸えない。牛は、30秒ほどのた打ち回り、頭が後ろにそっくり返った。そのまま足が痙攣して、口と鼻から血だらけの泡が出てきて、肛門からはウンコが流れ出た。そして痙攣した足が壁を蹴り、それが終わると誰かが魂を取っていったように、ドサッと手足と首をうなだれた。聴診器を当てても、心臓の音はもうしなかった。

死んだ動物は見たことはいっぱいあるが、自分の目の前で命が消えてゆく瞬間を経験したのは初めてだった。死というのは、こんなにも激しいものなのか・・・。死はすべての苦しみから開放してくれるなどと言うが、死にたどり着くまでの苦しみはとてつもないものにしか見えない。呆然と命がなくなった牛を見ていると、突然、牛のお腹が動き出した。

「え?まだ生きてるの?」

命が消えた母親のお腹で暴れているのは、6ヶ月の胎児だった。母親の血液が止まったので酸素がなくなって、苦しんでいるのだろう。お腹の中で暴れている胎児は、母親が死ぬ時と同じように激しく暴れた。そして、動かなくなった。ショックで言葉が出なかった・・・。涙がジワっと出てきた。

死とはこんなにも激しいすさまじいものなのか・・・。獣医になるためには見ておかなければいけない事だったけど、ショックだった。




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