郵便配達

July 13 [Sat], 2013, 21:44
夕方、エリザベートの家に郵便配達の若者が訪れ、二人
あての速達を手渡した。十五日夜シェーンブルン宮殿で行
なわれる国家条約調印の祝賀パーテイヘの招待状であった。
四大国外相と代表団、オーストリア政府関係者が参加する
祝賀会で、条約にかかわってきた人たちに発送されたもの
である。
エリザベートは足が悪くて、外出はできない。彼女は、
「一人でお出かけになったら……。またとないお祝いです
から……」
とペツネックにすすめたが、
「いや、ここにいて一緒にお祝いしよう」
と彼も出かけようとはしなかった。
彼女の複雑な気持がよく分っていたからである。シェー
ンブルン宮殿は彼女の少女時代、娘時代まで育ったなつか
しい実家で、ハプスプルク王朝が滅亡して以来、彼女は一
度も行ったことがない。
気丈な彼女とても、皇帝や父ルドルフ皇太子などの数々
の思い出深いシェーンブルン宮殿を訪ねるのは辛いことだ
った。
十五日は朝から輝くような五月の青空がひろがり、国中
の家々に、赤白赤の国旗がひるがえった。
ベツネックも小さな家のうらぶれた玄関に国旗を立てた。
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