第1話 山本

April 30 [Fri], 2010, 2:37
転入生として紹介されたそいつを見た時から、惹かれていたんだと思う。



自分でも単純だと思うけど、見たことの無い、別の世界の生き物を見たみたいな驚きだった。



銀色の髪、エメラルドグリーンの瞳、白い肌、華奢な肢体。



綺麗とか、珍しいとか、そんな具体的にじゃなくて、



なんか凄え、って思った。



その時は、面白い奴が転校してきたなって、それだけだったけど。



ツナとダチんなって、やけに絡んできたそいつを、やっぱり面白いと思って。



いつの間にか、目で追うようになってた。



いつも不機嫌そうに眉をしかめて、



近寄るなーってオーラ全開で。



でも、ツナには無防備と言ってもいい、無邪気な笑顔を向ける。



面白いから話しかけたら、凄い勢いで拒絶された。



ツナだけに懐いてる猫みたいだ。



綺麗で、プライドの高い猫。



「何見てんだよ。気持ち悪ぃ。」



「はは、綺麗な髪だなーと思ってさ。」



やっと少し近寄れるようになったと思った頃、



髪に触ろうとしたら、撥ね付けられた。



叩かれた手の甲が赤くなる。



「ひどいのなー。ちょっとくらいいいじゃん。」



「気安く触んな。」



本当に、警戒心が強い。



でも、だいぶ慣れてきたかな。



最初のうちは、殆ど返事もしてくれなかったからなぁ。



ツナがいなかったら、未だに会話も成り立っていないかもしれない。



ツナに感謝だな。



そのツナが、やっと補習を終えて教室に戻ってきた。



「はぁ〜。やっと終ったよ。獄寺くん、待たせてごめん。」



「お疲れさんでした10代目!待つくらいどってことないっす!」



「あれ、山本部活は?」



薄暗い教室には、もう俺たち3人しかいない。



「早めに終ったからな。一緒に帰ろうと思って待ってた。」



半分本当で、半分は嘘。



少しでも獄寺のそばにいたかった、ってのは内緒だ。



「うわー、ごめん!補習ばっかで、本当嫌になっちゃうよ。」



オレどうしてこんなに勉強できないのかな〜と嘆くツナを、



「10代目は聡明すぎて、下民の勉強は合わないんですよ。お手伝いしますから元気出してください!」



獄寺が懸命に励ましている。



こんな時の獄寺は饒舌で、その目はまっすぐツナに向いている。



こっちを向いて欲しくて、



「今日勉強会すんのか?オレも混ぜてくれよ〜。明日当たるんだ〜。」



と割り込んでみる。



「いいよ!山本も家に寄っていきなよ。」



屈託の無いツナの横で、



獄寺は舌打ちしそうな顔で・・・っていうか、舌打ちした。



ひでえな〜。完全に邪魔者扱いなのな。



でもそんな反応を見るのも嬉しくて、わざと乱暴に肩を叩いた。



「そんじゃ行くか!獄寺、また勉強教えてくれな!」



「てめぇは10代目の勉強の邪魔だ。失せろ。」



「まあまあ獄寺君。みんなでやった方が楽しいよ。」



ね?と取り成すツナに、しおらしく頷いている。



ちょっとしょげたところも、可愛い。



・・・可愛い?



ぽろっと零れた思いにちょっとひっかかったけど、まあいっかってその時は流した。



ホントは分かってたのに、もう少しだけ気づかない振りをしたかったんだ。



でも。



ツナを挟んで、3人で歩く。



ツナと話せば、視界に獄寺が自然に入る。



ツナの言葉に相槌をうつ合間に、時々鋭い視線を周囲に配っている獄寺。



本当に、なにかからツナを護衛しているみたいに。



その一瞬見せる緊張した顔つきに、見とれた。



背中に、ぞくりと戦慄に似た何かが走る。



ああ、だめだ。降参。



このままの関係でいたかった。



やっとオレの言うこともちょっと聞いてくれるようになってきてくれたのに。



やっと少しだけ、心を開いてきてくれてたのに。



変わる。



変わってしまう・・・何かが。確実に。



ごめんな。オレ、獄寺のこと、好きだわ。



その髪に触りたいとか、白い頬にチューしたいとか、



オレにも笑いかけてほしいとか、・・・もっと、その先も、望んでしまう。



何をしてても、視界にその姿が入ったら、もう目が離せない。



獄寺、オレ、どうしよう?



オレ、どうしたいんだろう・・・?

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