暗雲、そして―― 

2005年04月15日(金) 3時23分
今日、彼女と一緒に病院に行くことになる。
僕はまだまだ知識が足りないらしく、彼女が何故、初診を怖がるのかの一端を聞かされた。
認識不足、覚悟が出来ていなかったのは僕の方だったらしい。
当たり前だが……。
結局、子供を生むのは彼女であって、僕はただ金銭を稼ぐだけ。
それは極論だが、その表れとして僕の認識力の不足に繋がったのかもしれない。

――僕はまだ両親にこの事を話していない。

いや、こうなる前……自分の未来に不安を覚えたあの時から、手紙を開けられずにいる。
返す返事も、返ってくる言葉も分かりきっている。

繋がりを失うことが怖いのか?
自分の自由を奪われるのが怖いのか?
決まってしまう未来を恐れているのか?

きっと彼女がこの事を知れば
きっと遠慮しながらいってくるに違いない。

『ひろちゃんは、子供が産まれてくるのが嫌なの?』

だから、僕はこう答える。

『親バカ確定なのに、嫌なわけないじゃないか!』

今日、子供が出来ているかどうか分かる。
全てが杞憂ならそれでいい。
笑って、子供に話してあげよう。

『お父さん達も、おじいちゃん達も、みんなお前の事を愛しているんだよ』

って、隣で微笑む彼女と一緒に。

大人と子供と 

2005年04月14日(木) 5時47分
彼女との間に子供が出来た。
その瞬間、僕は大人になったのかもしれない。
支えるべき人を見つけ、自分の働くことに大きな意義を見つける。
夢なんて言葉以上に大切になる現実。
一緒に過ごした時間が絆になり、三人で歩んでいくのだろう。

けれど、僕は悩んでいる。

子供と、そして彼女と一緒に生きていく。
それはいずれやってくる未来であって、急に現れたりしないものだ。
じっくり熟成させ、その時間の数だけ思い出は積み重なり、そして子供が生まれる。
そうすることで、僕たちの心も成長し、子供を大人として迎え入れられるのではないだろうか?

男は学生生活を終えれば働き、いつかの日のために貯蓄をし、ある人は夢を追い続けていくのだろう。
自然と身の回りの環境も変わり、『扶養』や『家族サービス』といった単語を耳にする。
そして、じっくりと社会に浸透したルールが身に染みこみ、未知は日常へと変わっていく

だけど、僕たちは突然大人になった。
もちろんそれに至る経緯は、僕たち自身の行動にある。
僕は、働いていく先に未来が見える。
どんなに身の回りの環境が変わろうとも、働いていることに代わりはないのだから。

けれど彼女はどうなのだろう?
じっくり分かり合っていく時間すらも、ましてや子供を受け入れる心の準備も出来ていない。
たとえ、僕がどんなに家族を養おうとも、心にゆとりがなければいずれ破綻してしまう。
頑張っている僕に対しても負い目を感じ、子育てにも自信が持てず、傷ついてしまうのだろうか?

それが僕は怖い。

彼女を支えるだけじゃダメだと思う。
共に生きていくことが大切なんだと思う。
あまりにも多くの不安が渦巻き、未来に絶望しているかもしれない。

だから――

彼女の手を握りしめる。
この結んだ先に、僕たちの希望があるのだから。

よかったら壁しますよー 

2005年04月09日(土) 13時02分
僕たちが初めて出会ったのはゲームの中だった。

両親に甘え、自分の夢を叶えるために東京まで出てきた。
僕のこれからの夢を語った時、母は黙り、父はただ頭をかきながら言葉少なに許してくれた。
今思えば、彼女と出会うためのキッカケとも言えるだろう。

けれど、僕はただ子供でいたかっただけだった。

中途半端な東京での専門学校生活。
大学でいくらかプログラムをならっていた自分にとって退屈で、それでいて閉鎖的な性格の僕には苦痛でしかなかった。
だから、僕は1年早く東京にやってきていたシナリオライターの友人と、馬鹿なことばかりやっていた。
気が付けば、プログラム科の授業より、シナリオ科の一人の講師の授業を受けることだけが、この専門学校に通う意味になっていた。

頭を下げてまで、無理を言って東京に出てきて、僕は何をしていたのだろうか?

ダラダラと時は流れ、いつしか僕はあるゲームにはまっていた。
『ラグナロクオンライン』
全てが新鮮で、仲間と楽しむ日々のための生活が続いていた。
人との繋がりを電子の中で求め、互いに悩みを抱えたり、時には喧嘩をしながら。
そして僕はある人物とであった。
画面に流れる、僕に告げられる告白。
視覚でしか感知できない恋愛感情に僕は溺れ、日常はより削られていった。
1年、2年と時が過ぎていく。
ただ時だけは僕の意思と関係なしに流れ、ゲームの中の自分だけはあの頃と変わらない姿でそこにいた。

初めての告白に、僕は浮かれ、二人で新しい世界での生活を楽しみにしていた。

しかし、別れはあっさりと訪れた。
受験勉強が始まったことで、すれ違いになる毎日。
ヒステリックな言葉に、ただ相槌を打つことしか出来なかった自分。
心に傷を持っていたあの人を救うことで、僕は特別な人間になりたかったのかもしれない。
……自分自身のために優しく接していたのかもしれない。

気付けば、僕は一人、僕の分身であるキャラクターと共にただモンスターを狩る毎日を過ごしていた。

だれも知らないこの世界で、誰にも必要にもされず、毎日を誰かの為に過ごしたい、そう思っていたときに彼女に出会った。

砂漠で一人、モンスターを倒している彼女に僕は声をかけた。

日記開始 

2005年04月09日(土) 12時42分
昨日、彼女から一つの出来事を聞かされた。
いつもの彼女のワガママ、そして可愛いお願い事だと思っていた。
けれど、なかなか話題を切り出さない。
涙目で見つめる姿から、ただ事ではないことを察することは出来た。

そして一言――
『生理が来ないの』
言葉の意味がわからないほど、僕は子供じゃなかった。

涙で真赤に染まる彼女の瞳。
僕は、いくつか重なる事実に、薄っすらとだが気付いてはいた……。

あの日、僕は焦っていた。
これからの人生のこと、働くという意味、これからの目標。
自分なりに繋げてきた奇麗事や、あきらめ切れない自分の夢が、彼女を縛ってしまった。
僕は彼女の体の調子を知っていながらも、事を犯してしまったのだ。
『離れたくない』、そんな身勝手さで、彼女を泣かしてしまった。

不安だったと思う。
どんなに僕の事を信じていようとも、不安な気持ちが消せるわけが無い。
僕が職についていないこと、だからこそ負担を掛けまいと黙っていた。
自分の身体に変化が訪れ、家族にも怪しまれ、そしてこれから迎えるであろう未来が見えなかったのかもしれない。

彼女と共に歩んでいければいい。

それは僕の願いでもあり、初めて抱いたあの日、彼女の心であり
どこまでも子供でしかない、お互いの認識不足が生み出した結果でもあった。

最新コメント
2005年04月
« 前の月  |  次の月 »
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:usaneko1
読者になる
Yapme!一覧
読者になる