晴れときどき豚の日も近い 

2017年07月18日(火) 15時57分
雹が降ってきました。

窓にやたら強く雨が当たるなと思い、
カーテンを開けたら、それは水ではなく氷なのです。
怒号のように横殴りの豪雨が、
本気で殴ってきたみたいな氷の応酬。
なかなか止みません。
窓が割れたらどうなるでしょう。
手元のお茶碗を見ながら、
氷は米30粒くらいの大きさかしらと考えます。

怖い国になったものです。
すっかり晴れて、
みるみる雹が溶けて、
商店街の人たちが雪かきみたいに雹と葉を掻いて、
氷のせいで街はすっかり涼しいけれど、
夏はまだ始まったばかりなので、
またこんなことがあるのかもしれないと、
ぼんやり思いながら、
脚のやたら長い中学生を見ながら、
怖い国になったものだと思います。

1匹から2匹 

2017年07月02日(日) 12時22分
広島からの帰り、尾道に立ち寄ります。

暑さでハンカチが手放せない今日この頃、
駅を降りて少しすると、
どこかに落としたことに気づきます。
母にもらった猫のハンカチ、ショックです。

幸い本人が一緒なので、謝罪。
さらにハンカチを譲ってもらいます。
私は滝のように汗をかく種類です。


尾道は、海の見える静かな坂の街。
ロープウェイで登った千光寺でお参りを済ますと、
帰りは石段をゆっくり降りて戻ります。
途中、何度か猫とすれ違い、
彼らはこちらのことなんて御構い無し、
カメラに見向きもせず、
もちろん、汗も掻きません。
思い思い階段で寝そべります。

ハンカチについていたあの猫も、
ここに住みたかったのでは、と母。
あぁ、なるほど。
戻った駅で聞いても探してもなかったけれど、
猫よ、そういうことか。
私も好きなこの街で、気ままに達者で暮らしてください。


石段に猫が2匹描かれた手ぬぐいを買って、
東京へ戻ります。

落書きしたくなる人 

2016年12月13日(火) 16時24分
マンションの最上階一室が改装工事中です。
初日が終わった夜エレベーターに乗ると、
傷防止のシートに、
「ボケ」と落書きされていました。

確かに工事の音はうるさかったけれど。
真っ白いものを見ると落書きしたくなる人は、いるけれど。
これから毎日「ボケ」を見るのは、
馬鹿だなぁと笑えるときも、
そんな余裕がないときもあるはずです。
そもそも工事の人もかわいそう。

というわけで、
線を2本足して、
「ボケ」を「ポケ」に、
変えてみました。
落書きです。

さて、吉と出るか凶と出るか、
そわそわしながら翌日、
ポケは、ポケットに変わっていました。
そしてさらに翌日、
ポケットはソナーポケットに。
四次元ポケットなら毎日楽しい妄想をしたかもしれないのになぁ、
と思いましたが、それは小さなことです。

落書き連鎖はここで止まっています。
そして今日も、ソナーポケットを横目に出勤します。
一曲聞いてみるべきか。
ボケっと歩きながら考える道すがらです。
趣味じゃないのは、小さなことなのです。

最後の洗濯 

2016年04月13日(水) 14時37分
2月に、
更地だったところに建てていた家が完成しました。
その様子を部屋の窓から時折眺めていたけれど、
前にどんな家が建っていたのかは思い出せず、
あぁあっという間に新しくなっていくんだなぁと思ったことを、今も覚えています。
そしてその家には人が住み始め、
春になり、私も引越し、
住んでいた家を訪れたある日のこと。


大好きだったクリーニング屋さんが、
なくなっていました。
それはもう、全くです。
ショベルカーと、わずかな瓦礫。
縦長の敷地に残っていたのは、
家があった時は見えなかった古い井戸と、
その向こうの建物の壁に残る、クリーニング屋さんの家の形をした日焼けの跡だけでした。


とても久しぶりに来たわけではなかったので、
更地を見た時は、
いったい何が起こったのだろうかと、
なくなったのがクリーニング屋さんであることすら、
少し考えないとわからない瞬間でもありました。


この家に暮らした6年、
道に面した窓の向こうでアイロンをかける2人のおじいさんに会釈しながら出勤したことや、
木の扉をガラガラ開けて、奥の部屋にこんにちはと呼びかけながら、
赤い頬のおじいさんBか、ひょろひょろのおじいさんAか、おばあさんか、
誰が出てくるかうきうきしたこと、
入り口右手の小さな鏡や、
壁に掛けられたたくさんの証書、
右の駐車場に止まる白いワゴン、
Aがいなくなって、
窓に降ろされたシャッターに閉店の紙が貼られ、
久しぶりに見たやせ細ったBから、
がんで入院していることを聞いて、
それきり、おばあさんしか見なくなって、
閉店の紙はずっと貼られていて、
洗濯物に混ざる男物の服が息子さんのものと分かった時、
Bにはもう二度と会えないんじゃないかと思ったこと、
そして、
お店がなくなりました。
もう二度と会えません。


あっという間に新しい家が建つのかもしれないけれど、
それでも、決して忘れません。
ベランダから見える青柳クリーニングの看板と木の家、
3人のこと。
私の暮らした6年が、青柳クリーニング最後の6年だったこと。


どこかにいるおばあさん、元気で暮らして下さい。
おじいさんAも、どこかできっと元気でいることでしょう。
おじいさんBには、ただありがとうと言いたいです。


新しく家が建つのなら、
クリーニング屋さんがいいです。
やっぱりいやです。

思わず数を数える 

2016年01月15日(金) 18時26分
赤いセーターを着て出かけ、
ニュー新橋ビルで父とみぼうじんカレーなるカレーを食べ、
お茶でもしようとビルの中を移動して、
同じ階の古い喫茶店に入ります。

コーヒーとスーツのおじさん。
タバコの煙とスーツのおじさん。
テレビとスーツのおじさん。
ボーッとしているスーツのおじさん。
スーツのおじさんとスーツのおじさん。
スーツじゃない人は一人もおらず、スーツのおじさん。
そもそも店内に、
女の人は私だけなのでした。

黒いスーツのおじさん34人と、
赤いセーターの私。
これが本当の紅一点です。

新橋の喫茶店恐るべし。
蝶ネクタイ姿のおじさん店員に、
さらにはテレビも国会中継で、
おじさんのオンパレードでした。

おじさん好きを公言していますが、
ここまでくるとなんだか萎縮。
たくさんいればいいわけではないようです。

そろそろ出るという頃、
茶色い着物のおばあさんが入ってきて、
こなれた感じでコーヒー片手にたばこスパスパ。
めでたく紅一点は解除されたわけですが、
なんだかそんな気がしないまま、
一人でくることもなさそうなので、
おじさんたちの隆盛と健康を願って、
新橋のサラリーマン共和国を後にしました。
あー楽しかった。

お昇り様 

2016年01月01日(金) 7時28分
あけましてのぞみ3号です。
元日に書くのは、
初日の出見たんです形式が近年の傾向なのですが、
今年はなんと、もう日が出ております。
先ほど無事、
伊豆半島の山々の向こうから、昇るのを確認いたしました。
めでたい。


予定の新幹線より1本遅れた時は、
どうなることかと思いましたが、
それでも通路側にしか座れず、
どうなることかと思いましたが、
日の出予定時刻に、
箱根の小刻みトンネル地獄に突入した時も、
どうなることかと思いましたが、
なんのそれしき、
私にとっての10分の遅れなど、
初日の出さんからすると塵のようなものなのでしょう。
ゆっくり堂々とお昇りになられました。
今年の目標は泰然自若にしろと、
言われたような気がしています。


そうして間も無く、
眠っていた窓側の人たちが、
眩しさに堪らずサッシを降ろし始めました。
せっかくの縁起物なのにもったいない。
そんな考えの私は小規模な貧乏性で、
彼らが泰然自若人間なのでしょうか。
否、
サッシを降ろされても苛立たない、そういうものに私はなりたい。


新幹線を降りた瞬間に忘れてしまいそうな、
2016年の目標が決まったところで、
窓の外も見えないことなので、
本でも読むとします。
もちろん、
宮沢賢治ではありません。

セミの名は 

2015年08月19日(水) 16時14分
田舎出身の私があろうことか、
今年はまだセミの姿を確認していません。
声は聞こえて姿は見えぬ、
これでは夏の効果音と同じです。

そして今日、
帰宅すると通路に、
セミが転がっていました。

セミよ、
私の苦手な生き物ランキング第2位のキミを、
心のどこかで探しておったぞ。

仰向けに手足を開いた瀕死の姿を、
近づいて見つめます。

透明で斑点がついた羽、
茶色い羽のアブラゼミではありません。
緑がかった小ぶりな体、
黒い巨体のクマゼミではありません。
ですが、それ以上は分からず、
気になるので撮影して、
セミといえば父、父といえばセミ(こちらは微妙)の、父に転送。
ミンミンゼミかヒグラシだけど、
分からないから表をむけろと返事がきます。

触れということか。
一発回答を得てすっきり眠る予定が、
もう何年も避けてきた接触を迫られるとは。
悪夢です。

一度は断ったものの、
正体が知りたい好奇心ではなく、
幼少期は夏休みにセミ捕りした田舎者の意地に突き動かされ、
奮起。
奮起。
奮起。


傘の柄って便利です。
つかまらせてクルッと回転。
再撮影ののち、
ミンミンゼミと分かりました。

そもそも都心にヒグラシはいないのではとの一言に、
じゃあ表向きにする必要なかったしという怒りは、
物の力を借りても間接的にセミを触った達成感によって、
薄れていきましたとさ。

時間よ動け 

2015年07月18日(土) 22時08分
ずぼらな性格の極めつけで、
持っている腕時計がすべて止まるという事態に直面します。

自業自得ですが、
これは良くない。
手首がスカスカしていては、
仕事に身が入りません。
何かが長引いているとき、
ちらりと腕を見ても皮膚で、余計途方に暮れます。
帰宅して時計を外す瞬間の、
ビールを飲むような爽快感も味わえません。
どうやら、
私の時も止まったようです。
不治の時差ぼけ人生の始まりです。


それ行け、今こそすべての時を動かす時。
時は今、いざ行かん修理屋。


かつて1軍ローテーションを守っていた、
4本を握りしめ、電池交換へ。
店員の、
よくここまで放置したよね的視線など、
私には効きません。
なぜなら時は止まっていて、
どんな恥辱も現在過去未来どれでもないのです。

馬鹿なことを考えながら待つこと50分、
元気な奴らが帰ってきました。
一本また一本と動かなくなる仲間を見た時は心細かったでしょうが、
久々の再会に、
針と針を取り合って喜んでいることでしょう。

同時に換えたということは、
同時に止まるということか。
よぎる不安もすぐ忘れ、
ずぼらな時間だけ止めて、
もう一度動き出したいものです。
めでたしめでたし。

冬よさらば 

2015年03月24日(火) 2時30分
寒の戻りだとニュースで聞いて、
やりたいことがありました。
仕事を終えて外へ出ると、
案の定寒い夜です。
よしよし。
そこから、
ひとつめ、ふたつめ、みっつめと、
覗いてはがっかりし、
やはりこの時間はどこも置いていないかとあきらめかけたころ、
ついに見つけました。


肉まん。


この冬、
今日は大して寒くないからもったいない、
あったかい室内で食べるのはもったいない、
お腹がいっぱいでもったいない、と、
もったいぶり続けて、
気づけばもう桜も咲き始め、
あぁ毎年こんな感じで遅れながらなんとか食べてきた肉まんを、
ついに食べずに終えるかと、
あたたかい街を歩きながら後悔してきた今日この頃。


ありがとう寒の戻り。
ありがとうローソン。
私は今日無事に、
冬を終えることができました。
ごちそうさまでした。

タイムスリップ 

2015年02月02日(月) 16時49分
私が好きな映画といえば、
ゴジラ対キングギドラですが、
実家のビデオ軍の中から発掘し、
見終わったところです。

主演の女優さんは、
最近聞いた名前だと思ったら、
昨年、若くして病気で亡くなった女優さんでした。
未来からやってきて、
メカギドラを操縦してゴジラと戦い、
日本を救った人でした。

エンドロールの名前に向かって、
冥福を祈り、激闘への感謝に手を合わせます。
23世紀へ帰って行くシーンを最後に、
私にとっては、
そうして未来へ去っていった人になりました。

ゴジラもキングギドラもきっと、
彼女の冥福を祈っているのではないかと、
鳴き声を聞きながら思います。
そんなことを想像してしまうので、
ゴジラが好きなのでした。
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