2つの孤独 E 

October 21 [Fri], 2005, 2:11
ネリにはもうどこへも行けなくなってしまいました。
丘の向こうの畑や、3日過ぎたむこうの村なら行けます。
しかし緑の草原はもちろん、青い河や、果ては七色の海ももう見ることが出来ないのです。

2つの孤独 D 

October 21 [Fri], 2005, 1:58
呆然としていたチュンセですが、お日様が色を変えて山の向こうに沈む頃にはだんだん落ち着いてきました。
しかたがないので、一晩休んだ後には緑の草原や青い河を探すことにしました。
きっとネリとチュンセが見つけた草原や河はよく似た違うものだったのです。



世界の終わりを目指してどこまでもきたチュンセにはネリの所へ帰ろうにも帰り道がなくなっていることに気付かなかったのです。


一方、地図を頼りに村へ戻ったネリは旅の道具を置いて新しい家を作りました。
新しい畑も、新しい家族も出来ました。

いつでも家の中でネリはチュンセはどこまで行ったのか考えながら眠りました。

ネリの奥方は一等高級な額に飾られている地図が嫌いで仕方ありませんでした。
なぜならネリには地図があるからチュンセを追いかけて旅に出ることができるからです。
そこで奥方はネリが畑に行っている間に地図を燃やしてしまいました。

ネリが畑から帰ってくると額に地図がありません。
一体どうしたのか奥方に聞くと、奥方は怒った様子で「燃やしてしまいました」と言いました。

2つの孤独 C 

October 21 [Fri], 2005, 1:57
ようやってチュンセは大岩を登りきりました。
するとどうでしょう。世界の終わりのはずの大岩の先にはごつごつした山々がまだ続いていたのです。
「なんてことだ。ここは世界の終わりではないじゃないか。」
びっくりして山を眺めていると、いつの間にか一人の老人が傍に立っていました。
「おや、旅人さん。どこまで行かれるのかね。」
「どこまでもです。世界の終わりまで行くのです。」
「世界の終わりかね。そりゃあ難儀なことだ。なにせ世界の終わりには七色の海を渡らなきゃならん。」
「僕はその七色の海を渡ってここまで着ました。」
チュンセがそう言うと老人は驚いて足を滑らしそうになりました。
「七色の海だって!どこに七色の海があるんだい!?」
「すぐそこです。岩を下って、枝のない木が並び立つ林をぬけて、白い砂浜の向こうが七色の海です。」
「はぁはぁ旅人さん。そりゃ七色の海ではないよ。太陽が入ったり出たりする時は赤くなったり黄色くなったりするがね、七色にはならないよ。」
「そんなことはありません。僕は七色に光るのを見ました。」
チュンセは老人に言い寄ると、老人は呆れた顔をして「なら確かめに見に行くといい。」と言って去っていきました。
老人の言うことを信じることができないチュンセは苦労して登った大岩を慎重に降りると、大急ぎで林を抜け、砂浜を走りました。

海は確かにありました。
しかし七色の海ではありませんでした。
海はただ青く、ところにより緑でしたが七色に輝いてはいませんでした。

急いで戻ろうにもここは七色の海ではなく、チュンセが乗ってきたボートもどうしてか姿がなくなっていました。

2つの孤独 B 

October 21 [Fri], 2005, 1:30
赤も橙も黄も緑も青も紫も、七色がいろんな方向に飛び散ってキラキラと輝いていました。

「これが七色の海だね。」
チュンセは感激してつぶやくように言いました。
「これが七色の海だね。」
ネリはまぶしさに目を細めながら言いました。



七色の海はキラキラと色を変えて輝きます。
チュンセの乗ったボートは波に揉まれて進むうちにやがて白い砂浜へたどり着きました。
「着いた!着いたぞ!世界の終わりだ!!」
チュンセは大喜びで砂浜を駆け、枝のない大きな葉のついた木が並び立つ林を越えて、そびえる大岩に登っていきました。
ここは世界の終わりです。大岩の先はきっと何もないはずなのです。
僅かな凹凸につかまりながらチュンセは慎重に登ります。
「ネリもいっしょに来れば世界の終わりが見れたのに。」
少しさびしくなって小さく声が漏れていました。
そのことにチュンセはびっくりして、わざと大声を出しながら登りました。
「せっかくどこまでも行けたのに七色の海が怖いなんて、ネリはなんて臆病者なんだ。」
「僕は違うぞ。世界の終わりを見るんだ。どこまでも行くんだ。」

2つの孤独 A 

October 21 [Fri], 2005, 1:15
休まず歩いていた2人は旅人が話をしていた緑の草原までたどり着きました。
草も木も萌えるように生えて、風がフゥフゥ優しく頬をなでていました。
「ここは素晴らしい土地だね。」チュンセはそれまで休まず働いていた足を止めて、大きく息を吸いました。
「本当に素晴らしい土地だ。」
ネリも、風に身を任せるように草のじゅうたんに転がりました。
「そうだ、いい事を思いついたよ。」
「なんだい、ネリ?」
「僕達は休まずここまでやってきた。だからここで少し休憩してはどうだろう?」
「いいね。そうしよう。僕はシチューを作るよ。」
「じゃあ僕はリンゴを採ってこよう。」

シチューとリンゴでお腹いっぱい食べた二人は、大きな枝を広げた木の木陰で眠ることにしました。
チュンセがたっぷり眠って目を覚ますと、ネリは紙を広げて熱心に何か書いていました。
「何をしているんだい?」
するとネリは振り返って笑うと「地図を作っているんだ」と答えました。

2つの孤独 @ 

October 21 [Fri], 2005, 0:58
ネリとチュンセは世界の終わりを目指していました。

緑の草原を越えて、青い河を流れて、七色の海を渡ったはるか向こうに世界の終わりはあるというのです。
ネリとチュンセの住む村を訪ねた旅人は2人にそう話して去っていきました。
旅人はどこまでも行くと言うのです。

2人もどこまでに行ってみたいと思いました。そこで旅に出ることにしたのです。
「どこまでもってどこまでだろう?」
ネリはチュンセに聞きました。
「旅人は緑の草原も、青い河も見たそうだ。でもきっと七色の海の向こうは見ていないよ」
「そうだね。旅人も七色の海の向こうは見ていないだろうね。」
「それでは七色の海の向こうが旅人の言うどこまでだろう。」
チュンセはそう言って夕闇の向こうを眺めました。
「ネリ、僕達もどこまでも行ってみないかい?」
「チュンセ、僕もそう思ってたんだ。」
「じゃあ決まりだ。どこまでも行こう。七色の海を越えて、世界の終わりまで。」
そこで2人は、すぐさま支度をしたので夜明けにはすっかり旅にでる準備が出来ました。

村人は旅立つ2人が丘の向こうに米粒より小さくなるまで見送ってくれました。
ネリはいたく感激して「僕はあの村を忘れないよ。」とつぶやきました。

2つの孤独 zero 

October 20 [Thu], 2005, 2:17
思いつくままに思いついたところを書き足して

流浪するチュンセと定住するネリ
帰るところがないチュンセと行くことができないネリ
2つの孤独

書ききれなさそうだ・・・

ちょっと思い出したこと 

October 17 [Mon], 2005, 18:29
秋と雨は憂鬱
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