鹿鳴館の怪人2

October 10 [Sun], 2010, 21:57
<序章〜手紙〜>


大正××年


空が茜色に染まる頃、書斎でうたた寝よりゆるりと目覚めた1人の書生が少し気だるい体を玄関先へ運ぶ。
少し肌寒い位の、しかしどこか心地よい風が吹いていた。
その透き通った空気を胸いっぱいにすうっ、と吸い込めば、ほのかな金木犀の薫りが鼻腔をかすめた。


季節はもうすっかり秋になっていたのだ。



拝啓

お母様へ




「 私は帝都にて学問に励む日々を送っております。


名誉教授でおられた亡きお父様の願望へ少しずつではありますが、日々精進しております。


あれから3年の月日が経ちますががそちらはお変わりないですか。


こちらはもう早いもので、金木犀の花が咲きました。

帝都は相変わらず忙しない様子ですが、金木犀の薫りばかりはそちらと同じです。


それと嬉しい知らせです。 


先日教授より、研究室への招待を戴きました。


またお体の具合の良くなった頃、お便りお待ちしております。」


                           




うたた寝の直前まで認(したた)めていた手紙を、ポストへ投函した。
その手紙への返事が来ることはない。
幾度となく、読まれる事の無いであろうその手紙をポストへ投函する事が、その書生の習慣となっていた。




書生の名は、文彦と云った。





<序章〜手紙〜>おわり

鹿鳴館の怪人〜まえがき〜

October 10 [Sun], 2010, 21:33
*Pop'n music12 文彦*



<まえがき>




帝都東京に文彦という名の若い青年がいました。




文彦はそれはもう熱心な書生で、日々学問と時々依頼を受ける探偵の仕事にも余念がない、実直で誠実な青年なのでした。教授からもその優秀さ故に将来を期待され、自らもそれに応えるべく、また一切妥協する事なく学問と探偵の仕事に打ち込む日々を過ごしていました。

ー彼には婚姻を前提で付き合っている恋人がいましたが、彼があまりに学問と探偵の仕事に熱を出しすぎるが故に、やがて愛想尽かされて彼のもとを去ってゆきます。


恋人が自分の元を去ってからは文彦は更に学問と探偵に打ち込むようになりました。


そんな彼のもとに差出人不明の事件の依頼書が届きます。



「帝都を騒がせてゐる 鹿鳴館の怪人を 捕まえて戴けませんでしょうか 貴方だから依頼します」


文彦はその不可解な文書を、ただの悪ふざけと相手にする事もなく、机の上に乱雑に放り捨てて文彦は街へ、教授のもとへ出かけました。しかし教授の家では鹿鳴館に姿を現す、怪人の事で話題が書生の間で持ちっきりだったのです。


「おい文彦聞いたかい?また鹿鳴館の舞踏会が中止になったそうだよ。これは怪人の仕業に違いないよ!黄金仮面を被った怪人が夜な夜な館を徘徊しているってね!」


怪人だなんて馬鹿馬鹿しい、と怪人騒動に便乗して騒ぎ立てる学友の言葉に苛立ちを覚えてた文彦はその日は早目に帰路についたのでした。しかし文彦を更に苛立たせたのは、その帰り道でどういう訳か、一連の怪人騒動で頭が一杯だったという事でした。きっと私は疲れていたんだ、恋人にも愛想尽かされて振られてしまったしね、と自嘲気味に呟きつつも気が付けばその足は鹿鳴館に向かっていました。


少し様子を見て帰るだけだ、と自分に言い聞かせながら夜も更けた鹿鳴館に文彦は忍びこんだのでした。





まえがき 終わり

ポエムメガネ

October 10 [Sun], 2010, 21:31
以前はゲームブログとして稼働していたこちらのブログですが、本日より小説・ポエムサイトとして生まれ変わりました。


今後ともよろしくして頂ける方は、よろしくお願い致します。



みじんこ
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