プレ医ゼミin岐阜報告 2日目 

2012年07月23日(月) 18時04分

○講演「その人らしい最期を迎えるために」
by 岐阜中央病院緩和ケア病棟 西村幸祐氏

 今は誰だって、がんになる可能性があります。
がんは死を想起させる、本人にも家族にも辛い病気です。医療者はしっかりと患者さんの話を聞き、全人的苦痛(身体的苦痛、社会的苦痛、精神的苦痛、スピリチュアルペイン)に対処することが求められます。
緩和ケアの対象は、1999年のWHOの定義では「治療がもはや有効でなくなった患者」とされていますが、2002年には「声明を脅かす疾患による苦しみに直面している患者とその家族」と訂正され、がんと診断された時点で緩和ケアの対象になるということが言われています。

 がんの主な症状として、まずは痛みがあります。
緩和の方法としては医療用麻薬による治療がありますが、効果の大きい薬であるためしっかりとした管理と説明が必要です。
次に食欲不振があります。昔は点滴による水分・栄養補給を主に行うのが主流でしたが、水分過剰によるむくみなどの問題のため、現在では点滴のやりすぎは控える傾向にあります。
しかし「一口でもいいから食べてほしい」という家族の思いもあり、同じ食べ物でも食べ方の工夫が必要です。(西村先生は、アユの好きな患者さんに、アユの白身をペースト状にしたものに尾頭を付けたものを出した事例を挙げていました。)
さらに、がんの場合は抑うつや全身倦怠などの症状も現れます。
また、患者さんの社会的・精神的苦痛をやわらげる上では、傾聴するだけで治療になります。
「先生、私もう死にたいです」と言われたら、まずそばに座り、目線を合わせ、手を握って「そうですか…死んでしまいたいと思っているんですね」と話しかけ、患者さん自ら話していただくことでケアすることができるのです。
死の恐怖は本人にしか分からないし、見えている世界は誰にも理解できません。
(先生は、患者さんのもとに牧師さんを呼んだこともあったそうです。)
もちろん、患者の気持ちに入り込みすぎてもいけません。
緩和ケアでは、患者さんのことをチームで支えることが大切です。
普通の情報も、ケアの過程にあった辛いこともチームで共有し、カンファレンスで全体像をつかみます。
医師はあくまでチームの一員であり、どの分野の医療者とも対等に接することが必要です。
先生の話はこんな感じです。
最後に先生は、緩和ケア病棟は人生の真実を教えてくれる場所だとも言っていました。
また、表題にある「その人らしさ」については、選択するときに自律が保たれていることがその人らしさにつながると言っていました。


○SGD○
 講演後のSGDでは、まず感想交流を行いました。
「緩和ケアは病気以外の部分に目を向けて得た情報を大切にしていると感じた。緩和ケア以外にも応用できるはず」
「立場の違いで会話の中身が制限されてしまうから、しっかり信頼関係を築いて、医師↔患者から人↔人という関係で傾聴をしたい」
「がん患者の経る五段階(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)のどこにいるかを考えながら接するのも大切だ」
「死という、人間として当たり前のことに慣れていない私たちの方が異常なのかもしれないと感じた」
など、いろいろな視点からの意見が聞かれました。

次に、今回の講演の内容をどう生かしたいかについては、
「少しの言葉づかいの違いで患者の気持ちは左右されるから、よい方に動かせるような言葉を持ちたい」
「メモしたことを取っておいて、現場で働くようになった時にいつでも読み返したい」
「医師にとって患者はたくさんいるけど、患者にとっては医師は一人しかいないから、一人ひとりの患者さんをきちんと受け止める姿勢を見せたい」などの意見が出ました。


○感想○
 全体企画と講演を聞いて、緩和ケアにもっと興味が湧いてきました。
講演の後半は時間が押していて、「現在の緩和ケアの問題」など気になるスライドが飛ばされてしまったので、また調べてみようと思います。
最後に、2日間過ごした個人的な感想を書きます。
簡単に言うと、焦りました。
1年生はしっかり意見が言えているし、2年生は運営の中心になったり分科会を出したりしているし、上級生の皆さんはさらに進化しているし…
「私には何がある?何ができる?何が語れる?」ってひたすら自分に問いかける2日間でした。
夏の医ゼミ本番には行けませんが、秋以降の企画にはたくさん参加して、自分でもどんどん学びを深めていこうと思います。
びしっと気持ちが引き締まるきっかけになった2日間でした。

浜松医大、2年、鈴木
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