
「奇(あやこ)子」
手塚治虫
角川書店(文庫)講談社(全集)
人類の大きなタブーとして、
「近親相姦」「親殺し」が挙げられる。
この作品は、手塚がそんなタブーに真っ向から挑んだ作品である。
そして、負のエネルギーに満ち溢れながら、
見事完成度の高い作品になっているのである。
戦前・戦後を舞台に、
地方の名家である天外(てんげ)家の一族の物語が紡がれていく。
いかにもな風の封建的な家であり、
家族間の軋轢も多い(またこれらがこれでもかとばかり描かれている)。
そんな中にあって、
一人みなから愛される妖精のような少女がいた。
彼女こそタイトルロールである奇子(あやこ)である。
(余談だがタイトル表記では真ん中にフリガナが挟まれる)
時代に翻弄され次第に崩壊していく天外家。
そんな家族によって人として生きることを否定される奇子。
そして、彼女は成長していく…
手塚作品をあまり読まない人は、こういった暗い作品があることを
ある意味信じられないかも知れないが、
手塚が本当に人間というものを悲観して書いた作品群は、
また別の輝きがある。
とにかくまず手にとってみることをオススメします。
手塚中〜後期の埋もれた傑作。
[ この記事を通報する ]
- URL:http://yaplog.jp/uminomegoo/archive/42


