(無題)

2006年07月01日(土) 22時09分
部屋の灯りが、まあるい月みたいだ。
手をかざして、小さな月からこぼれる光を隠してみる。
逆光で真っ黒な自分の指先。
AM2:00を過ぎているのに、窓から容赦なく差し込む光がまだまだ私が眠りに就くのを許さない。

都会の空には星がない、という人がいる。確かに実家のある九州では、暗幕に宝石をこぼしたような美しい星空が静かに眠る町を包んでいた。
もう3年目になるこの街では、マンションやパーキングの明かりが夜空に白い幕を張る。

明け方の3時半。徹夜明けで布団に潜り、カーテンの端から外を確認する。

まだ真夜中、そんな風に思い込んでいた時間帯に、早くも雀達の泣き声が響く。
トラックがスピードをあげて駆け抜けてゆく中央高速。
少し前まで濃紺だったはずの空が、わずかに青い透明な光で街を包む。

窓から見える全面ブルーの世界。
家も電柱も自転車も、寝ている猫も、青く照らされて美しくたたずんでいる。


無理矢理目を瞑り、うとうと現実と夢を行ったり来たり。
いつのまにか朝日が昇り、人々を起こす。そこからはもうあっという間、境目は曖昧なまま昼になる。太陽が街を焦がし、空気を温める。
不思議なほど風が吹かないこの街。去年の夏に取り付けた風鈴は、未だに音を鳴らさない。

とんでもなく湿度が高い最近の東京。気が付けばいつも泣きだしそうな雲が天井を埋めつくす。
涙を堪える顔みたいだ。何か言葉でも掛けたら崩れ落ちそうなくらい危うい空。洗濯物を干している日に限って降りだす雨は、土砂降りでも通り雨でもなく、しとしとと未練がましい。

東京を包む空は女である。
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