【月と太陽の物語】都会で眺める 宇宙身近に(産経新聞)

June 16 [Wed], 2010, 14:06
 都会にのぼる月は、宇宙を身近に引き寄せてくれる。

 町から発する明かりは夜空の星々をかき消してしまうが、月の輝きは点々と広がる灯によって、より際だつ。さらに強烈な光のみなもと、太陽になると、そんなに宇宙に思いをはせることはないのが不思議だ。

 大阪・中之島の大阪市役所から淀屋橋を渡った。すると、土佐堀川の流れに一筋の光が差し込んでいた。光の来た方を目で追いかけると、ビルのガラスの壁面に太陽のきらめきがあった。

 反射光に吸い込まれるように土佐堀通を西に歩いた。西に傾きつつある太陽は、他のビルの影になって姿は見えない。しかし、ガラス張りのビル壁面に陽光が散らばり、強烈に存在を主張していた。

 夜景スポットが多い六甲山周辺。気象条件がいいと、大阪から神戸、遠くには関西空港の明かりも見える。芦屋から有馬温泉へと抜ける芦有ドライブウェイの道路沿いにある東六甲展望台は標高645メートル。阪神間の夜景を一望できる。

 望遠レンズでのぞいてみると、大阪空港や通天閣も見えた。眼下の光の大パノラマは、黒いビロードに無数の宝石をばらまいたようだ。

 その上空に、ぽっかりと浮かぶ満月があった。薄い雲に隠れたり現れたり。まだ低空にある月は、オレンジ色に染まっていた。

 シャッターを押しながら、月や宇宙から地球の夜はどう見えるのだろうかと、上空はるか成層圏へ想いが飛んだ。(写真報道局 山田哲司)

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元代表、NPO解散後も保護費ピンハネ 生活保護費詐取事件(産経新聞)

June 10 [Thu], 2010, 23:39
 NPO法人「いきよう会」(解散)による生活保護費詐取事件で、元代表の由井覚容疑者(51)が、解散後も生活保護受給者から会費などと称して保護費のピンハネを続けていたことが7日、複数の関係者への取材で分かった。こうした受給者はNPO設立時、認証に必要な「社員」として名義貸しを依頼され、解散も知らされていなかった。大阪府警捜査4課は、捜査や市の調査をかわすための形だけの解散だったとみて調べている。

 いきよう会の事業報告書などによると、同会は、野宿生活者や野宿に至る恐れがある人の社会的処遇の改善、自立支援などをうたい、平成18年8月に内閣府から法人認証を受けた。約4年間活動した後、22年3月31日付で解散したことになっている。

 関係者によると、由井容疑者は、認証前にも生活保護の相談を受け、申請に同行するなどしていた。元社員は「6年ほど前に長居公園のホームレス仲間に紹介され、生活保護の申請に同行してもらった」という。

 NPO法人認証には理事と社員計10人以上が必要で、由井容疑者は認証申請時に囲い込んだ複数の受給者を社員に仕立て上げていた。別の元社員は「もうかるから、思いつきでNPOを立ち上げたという感じで、急に名義を貸してくれと言われた」と話す。

 社員から「会費」として生活保護費のうち1万5千円前後を直接会って徴収。「元気か」「困ったらまた相談においでや」などと、電話も頻繁に掛けてきた。元社員は「声を荒らげるようなことは少なかったが、受給者を常に自分より下に見ているような感じが言葉の端々に出ていた。金銭欲が異様に強く、度重なる連絡は苦痛だった」と振り返る。

 会費の支払いがわずかでも滞ると、「これはおれの金とちゃう。会の金や」と、延滞利息を取ろうとした。執拗(しつよう)な干渉に嫌気がさし、由井容疑者のもとを夜逃げ同然で逃げ出す人も相次いだ。NPOが今年3月で解散したことも社員には伝えられておらず、5月まで普段通り会費の支払いを続けていた人もいたという。

 由井容疑者は自分のことは何も話さないが、社員の生い立ちは根掘り葉掘り聞き出したという。元社員は「本当に困っている受給者から、何を根拠に金を取れるのかとずっと嫌でしかたがなかったが、保険のつもりで会費を払っていた」と話した。

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挑戦8年、自然体で大願成就 第56回江戸川乱歩賞受賞 横関大さん(産経新聞)

June 03 [Thu], 2010, 23:47
 数多くの有名作家を輩出してきた江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催)は、セミプロ級の応募も多く、公募ミステリー賞の最高峰とも呼ばれている。第56回受賞者となった横関大(よこぜき・だい)さん(35)は、静岡県富士宮市職員。連続応募8回目に加え、最終選考にも過去3度残った乱歩賞の常連だ。8年越しの“大願成就”だが、「最終選考に鍛えていただいた」とあくまで控えめだった。(三品貴志)

                   ◇

 受賞作「再会」(「再会のタイムカプセル」を改題)は、タイムカプセルに埋めた拳銃(けんじゅう)をめぐって、23年前と現在の事件が絡み合うミステリー。選考委員の東野圭吾さんは「肩の力を抜いた自然体で、今自分に書けるものを一生懸命書いている」と称賛する。

 東野さんは最近の傾向について、「社会問題や特殊な職業、専門知識を盛り込んだ方がいいという賞の『迷信』を意識した応募作が多い」とくぎを刺す。そんななか、受賞作は「感情移入できるような等身大のキャラクター作りを心がけた」という作者の狙いが奏功したようだ。

 横関さんは大学卒業後、約5年にわたって東京都内でアルバイトをしながら作家を目指していたが、母親から願書が送られてきたのをきっかけに、公務員試験の受験を決めたという。地元に戻り、市職員として勤務する傍ら、「やるなら一番大きな新人賞を」と乱歩賞への応募を始めた。

 帰宅後の2、3時間を執筆に充てる生活を「いいペースだった」と淡々と語るが、「最終選考に何度も残ったことが僕にとっての運命だった」と8年の“支え”に思いをはせる。特に2年前の落選時、東野さんの「殺人がなくてもミステリーは書ける」という選評を読んだことは今作の着想につながったという。

 「東野先生の予言から始まった。『誰がうそをついたのか』というミステリーを書けないか、と思ったのが出発点だった」

 講談社担当者は「4度の最終候補は過去20年くらいの最多記録といっていいのでは」と、新人作家の継続力と実力に太鼓判を押す。だが、本人は「8年間も小説ばかり書いているので…これが趣味かなと思います」とあくまで謙虚だ。

 「人間の感情の動きに注意を払って『人を書く』ということをしていきたい」と語る肩の力を抜いたデビュー作を期待したい。

                   ◇

 受賞作は8月上旬、講談社から刊行予定。

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