涙の成分 

July 16 [Sat], 2005, 3:27
「何で涙って出るの?何のために存在しているの?」


  現実的な話と非現実的な話があるけど、どっちがいい?


「現実的な話の方。」


  現実的な話ね。

  生物学的に見ると、涙の成分は血液の血漿成分に酷似していて、

  目の乾きを潤し殺菌する為にあるなんだよ。


「……じゃあ、非現実的な方は?」


  人間は色々な事を考える生物でしょ?

  寝ている間さえ、無意識の内に思考しているんだ。

  それは何かの閃きだったり、数学の計算式かもしれない。

  あるいは過去の記憶を掘り返しているのかもしれない。

  そして、また新しく情報が入る。或いは、新しく生まれる。

  膨張し続ける宇宙の様に、それは際限なく増え続けるんだよ。


  コップに水を注いでいっぱいになっても、

  表面張力のお陰で溢れない。

  けど、そこに界面活性剤を入れると表面張力は下がり、

  水は溢れてしまうんだ。


「……それも現実的な話じゃない。」


  まぁ、つまり涙は溢れた感情の塊って事だよ。


「あんまりロマンティックじゃないなぁ。」

突発性逃避症 

July 15 [Fri], 2005, 5:50
ふと、どこか遠い所に行きたくなる。

俗世界から離脱して、誰も居ない世界へ。

全てのしがらみを断ち切って、一人っきりになりたい。

だが、どう足掻いてもそれは出来ない。

何もかもを失うのが怖いから。

僕と世界の成分表示 

July 04 [Mon], 2005, 4:33
飽きる事無く語り続ける独り善がりな蛋白質の塊達。

白と黒とで統一されたモノトーンの無聊な視界。

一筋の光さえ差し込まない真っ暗な狭い部屋。

何一つ救いの書かれていない積もりに積もった陳腐な書物。

指先だけで押し開ける無数の閉じた世界への扉。

疑似体験と銘打った現実逃避の扇動者。

複写される幻の中で模索する自我同一性。

後ろ手に縛られたまま断たれた階段を昇る死刑囚。

腐敗している自らの肉体にも気付かない愚鈍で浅ましき生ける屍。

ある者には捨てられある者には拾われる賞味期限切れのコッペパン。

あちらこちらに転移して身体中を蝕む銀色の悪性腫瘍。

何時の頃からか感じていた背中合わせの静かな世界。

賽の河原の積み木遊び 

July 03 [Sun], 2005, 22:32
積んでは崩れ、また積み上げる。

試行錯誤を繰り返し、何度も形を変え積んで行く。

頭に思い描いた物とは掛け離れているが、

それでも一応、完成が目前に迫っている。

だが、完成間近で脆くも崩れ去り、

また一からやり直し。

賽の河原の積み木遊びは、

決して終わりの訪れない不毛な遊び。

猫の夢 

June 30 [Thu], 2005, 2:28
太陽に熱せられた大地が冷め始めた頃、

それに手を貸さんとして雨が降り始めた。

アスファルトに小さな黒い斑点ができ、

それは瞬く間に増えて行く。


人を家の中に監禁するほどの激しい雨の中、

一匹の猫が家の軒先に雨宿りをしにやって来た。

すっかり雨に濡れて三色の毛が撫で付けられ、

何だかみすぼらしく見える猫だった。


その猫は身体を揺らし水は飛ばすと、

丸くなって眠りに就いた。

猫も夢を見るのだろうか。

瓶詰めの妖精 

June 29 [Wed], 2005, 2:01
隣街にある小さな雑貨店で、変わった小瓶を購入した。

大きさは缶ジュースの3/4程で、

蓋の縁に沿って不思議な文字が描かれている小瓶だ。

中には何も入ってなく、

ただ蓋に描かれているのと同じ文字で、

表面にラベルが貼ってあるだけだ。

僕がこの小瓶を買った時、店主は次の様に説明した。


「この小瓶にはね、妖精が入っているんだ。

 妖精と聞いて君が想像したのは、

 羽が生えている小さな可愛らしい女の子の姿じゃないか?

 でも、この中に入っているのは、

 君が想像した様な姿をしている妖精じゃないんだよ。

 もっとずんぐりむっくりした妖精さ。

 丁度、卵に手と足が生えた様な姿なんだ。


 えっ?瓶は空っぽじゃないかって?


 妖精は臆病だから、姿を隠しているんだよ。

 心配しなくっても、ちゃんとこの中にいるさ。


 ああっ!開けちゃあ駄目だよ!

 開けたら妖精が逃げて行ってしまう!


 いいかい。この瓶の蓋は絶対に開けちゃ駄目だ。

 絶対に。」

罰と原罪 

June 20 [Mon], 2005, 0:03
イヴは蛇に唆され、アダムと知恵の実を口にした。

それが全ての始まりだったのだ。

善悪の区別を知り、恥じらいを覚え、

悪魔からあらゆる知恵を授かり文化を作った。


文化とは恐ろしいもので、

知らずにいれば平穏に暮らしていけたのだが、

一度甘美なその味を知ってしまったら、

もう後には戻れない。


昔ある一人の少年がいた。

彼はどこにでもいるような平凡な少年で、

恐らくそのまま行けば人並みの幸せと、

人並みの生活を手にする事が出来ただろう。

しかし、その少年は禁断の果実に出会ってしまった。

彼は残念な事にその味を知ってしまい、

もはやそれ無しでは生きられなくなってしまった。


禁断の果実は人によって様々に形を変える。

それが音楽である人もいるかもしれないし、

スポーツである人もいるかもしれない。

中には出会いだという人もいるだろう。


もしあの時出会わなければ、何も苦しまずに生きて行けたのに、と。

しかし、出会ってしまった事実は変えられない。

仮にもう一度人生をやり直しても、再び出会う事になるだろう。

ならば、今を受け入れ生きるしかないのだ。

負の感情だけをもたらした訳ではないのだから。


知恵の実を口にしたアダムとイヴは、

神に楽園から追放され罰を受ける。

その二人から生まれし人間達は、

生まれながらにして罪を背負っているのだ。


禁断の果実を口にしてしまった僕達にも、

逃れられない罰が待っている。そして、原罪も。

人によって形を変える禁断の実と同じく、

その罰も人によって形を変える。

僕の罰は終わる事のない痛みと悲しみ。

原罪は交わる事の出来ない魂。

時よ止まれ、お前は美しい。 

June 19 [Sun], 2005, 0:01
目まぐるしく流れ行く日常の中で、

歩みを止め停滞を望むならば、

こう呟くといい。


「時よ止まれ、お前は美しい。」


真実に辿り着くには 

June 18 [Sat], 2005, 1:15
『真実は一つしかない。』

誰もが知っているその真実に、

誰もが振り回されている。

嘘や猜疑心などから無数の偽りが生まれ、

たった一つの真実はその中に埋もれてしまう。


ならば真実に辿り着くにはどうすれば良いのか?

答えは至ってシンプルだ。

自ら真実を作ればいいのだ。

自ら作った真実ならば偽りが生まれる事はなく、

惑わされる事も迷う事もない。


しかし、そうすると矛盾が生まれる。

『真実は一つしかない。』

この真実が真実では無くなってしまう。


ならばこの自家撞着を治めるにはどうしたら良いか?

答えは至ってシンプルだ。

新しくこの真実を作ればいい。

『真実は一つではない。』


もう僕は迷わない。

 

June 15 [Wed], 2005, 15:56
赤、緑、青、黄、紫、藍、桃。

いくら色を重ねても、決して白には染まらない。

次第に暗く深まる色は、やがて黒へと濁り行く。

白黒はっきり付けたいのに、白が出なければ話にならない。


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