あのときすきになったよ

November 02 [Thu], 2017, 17:06
ばいきんだらけの ぼくだから
近づいちゃ だめだよ
バカが うつるよ 笑われちゃうよ
近づかない方が いい

知らんぷり すれば いいのに
机 離せば いいのに
きみは 見かねて 貸してくれたね
花の 形の 消しゴム

あのとき 好きに なったよ
あれから ずっと 好きだよ
きみの ことを 考えている
きみは ぼくの ほとんど

ケイドロは 本当に 楽しかった
きみと 世界の 果てまで
国境を 超え 砂漠を 抜けて
たどり着いた 藪の陰

茂みの隙間 警察に追われて
首筋に汗 赤らんだ頬

あのとき どきどきしたよ
あれから なんか 変だよ
きみの ことを 考えると
胸が あたたかくなる

少しずつ 少しずつ 遠のいてしまうのさ

それでも ずっと 好きだよ
おとなに なった 今でも
きみの ことを 考えている
きみは ぼくの ほとんど

素晴らしい世界

January 28 [Sat], 2017, 3:54
ドルジは 羊も追うこともせず
朝から 晩まで ホーミーばかり
遊牧民が 昔から歌う 風と空の歌

マカロニウエスタン 西部のバーに
若い ガンマンが 入ってきたが
「よそ者に出すウイスキーは無え」と
マスター ミルクを 樽ごと 置いた

かつて フランスで 名を馳せた
あの芸術家も 今は昔
デッサン ひとつも 描けやしないで
毎日 酒浸り

チヂミを 売ってる 太ったオモニ
すぐ そこのはずの 故郷を 想い
祖父に 教わったとおりに 作る
自慢の レシピの 美味しい キムチ

ようこそ!ここがニューヨークシティ
最新のファッション 最新のミュージック
ここでは なんでも 手に入る
ただし 金持ちに 限り

ベルリンの 牢屋に 収監された男は
冤罪で もう 二十年
月明かりだけが 友達だった
毎晩 祈りを 欠かさなかった

ロックンロールを 愛してやまない
イギリスの 貧しい 青年 ジョニー
レコードもギターも 買えやしないが
ステージに 夢を見る

マスクを脱いだ メキシコのレスラー
年上の 妻の 豊満な胸に
抱かれて 今夜も あまえて 眠る
子供のころのように

アルゼンチンの スタジアムに
サッカーボールが 突き刺さる
熱狂的な サポーターに
手を振る あいつは ストライカー

リオデジャネイロの カーニバル
踊り子たちが 笑っていた
寂しい事も 悲しみも
忘れたように 踊り続けた

赤道付近の 名もなき島
まだ 若い二人の 結婚式は
島中からの 祝福を 受け
海を ながめてる

介護に 疲れた 男は その日
ベッドの上で 横たわる 母に
馬乗りになって 力をこめて
母さんごめん と 泣いている

わらべうた

January 28 [Sat], 2017, 3:19
南を 目指して 八咫烏
芽吹いた 蓮は しとと揺れ
でんでん太鼓の 赤ほっぺ
陽は また山に 隠れんぼ

天狗が おとした 宝物
河童が ぬすんだ 薬箱
ぺんぺん草には てんと虫
家路を急ぐ さみしんぼ

雲間に 龍が 吼えながら
だいだらぼっちと 山跨ぎ
てるてる坊主の 御供えは
一等 よく飛ぶ 竹とんぼ

フィドルを愛した老夫

December 11 [Sun], 2016, 6:07

仕立ての 仕事が 終わったら
煉瓦造りの 家に 帰り
日が暮れるまで じっと待ち
静かに フィドルを 弾きました

周りの人は 嫁を娶れ と
何度も 私に 言いました
けれど 私は フィドルしか
愛することが できません

私が フィドルを 弾いたとき
フィドルも 私を 弾きました
ドヴォルザークは チェコに春を
報せるために 指揮をとる

時計の針の メトロノーム
来る日も 来る日も くるわずに

私も きづけば 年をとり
身体は あちこち ガタが きて
けれど フィドルは いつのときも
私に 自由を くれました

私が フィドルを 抱いたとき
フィドルも 私を 抱きました
ドヴォルザークは チェコに春を
報せるために 指揮をとる

今夜も ひとり ドレスコード
演奏会は 終わらない

仕立ての 仕事へ 行くために
煉瓦造りの 家を出て
日が暮れるまで 働いて
今夜も フィドルを 弾きましょう

明日も フィドルを 弾きましょう
死ぬまで フィドルを 弾きましょう

玄人のひとりごと

December 11 [Sun], 2016, 6:01
博打うちは 今夜も
ありったけの 金を 賭けたが
負けまくって すってんてん
目がさめると すっぽんぽん

よせばいいのに 今夜も
借りた 金で 大勝負
負けまくって すってんてん
目がさめると すっぽんぽん

「どうして お前は 賽子を 振るんだ?
どうせ 勝てないに 決まってる
なぜ 賽子を 振れるんだ?」

博打うちは 頭を こりこりと
掻きながら 恥ずかしそうに 笑って
振り向かずに ひとりごと

「どうして お前は 賽子を 振らない
負けるか どうかは わからない
なぜ 挑みも しないんだ」

博打うちは 賭場へ 行く
黒いシャツの 袖を 捲る
その 背中は 煤けている
玄人気取りの ひとりごと

「どうして お前は 賽子を 振らない
勝つか 負けるかの 瀬戸際で
なぜ 血潮を 燃やさない」

博打うちは その夜
つきについたり 大儲け
飲みまくって すってんてん
目がさめると すっぽんぽん


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