弓月城太郎がSFの新世界を切り開いた驚愕の『神秘体験』

September 27 [Mon], 2010, 13:24


これは驚くべき小説です。SFが抱える「先見性」と「同時代性」の二つのテーマを巧みに描き出すことに成功したばかりでなく、純粋に「面白い」ストーリーによってSFに関心がなかった人たちにさえアピールしうる作品を作り出しました。

SFには先見性が重要だと言われています。いわゆる「センス・オブ・ワンダー」といわれるものです。起こるかもしれない未来、あるいはそうなって欲しい未来をどれだけリアリティを持って描き出すことができるかどうかがSFの完成度の重要なポイントとなります。

しかし同時に同時代性も少なからず求められます。つまり、その時代が抱えている問題や流行などを巧みに取り入れることです。現代社会が未来においてどのような形で変わっていくのか、あるいは現在抱えている問題がどのように解決されるのか、またはより悪化していくのか。そういったテーマを盛り込むことでSFを単なる「絵空事」の範囲にとどめない深みをもたらすことになります。

それだけにこの2点をできるだけ高いレベルで融合させることがSFにテーマとなるわけですが、なかなか難しいのが現実。世にあるSF作品のほとんどは融合が消化不良となってしまっているか、どちらか一方だけが魅力的であるレベルに留まっています。

そんなSFが抱える大きな壁を弓月城太郎はどうやら乗り越えることに成功したようです。『神秘体験』からは現代社会が抱えている問題、そして進みつくテクノロジーの完成形が具体的かつ魅力的に盛り込まれているからです。

そのタイトルからも窺えるように精神世界を重要なテーマとして扱っています。宗教や精神現象をSF世界に盛り込むことはかなり危険が伴う行為でもあります。緻密な構築力が求められるSFにおいて精神世界を取り込んでしまうと「胡散臭い」イメージを読者に与えてしまうことになりかねないからです。しかしこの『神秘体験』では生命現象のメカニズムや超常現象の科学的考察、さらに精神そのものを科学的に分析する理論を提示することによって違和感なくSFの世界に溶け込ませることに成功しているのです。

そして家族の絆を主軸とした感動的なストーリー。現代社会に住む私たちが求めつつも失われようとしている感動がこの作品には溢れています。

読んで感動の涙を流す人、その理論に圧倒される人。さまざまな反応を呼び起こすこと間違いなしのこの『神秘体験』。読む人や読み方によってさまざまな魅力を味わうことができるのも優れたSF小説のみが備えているものです。面白いSFが読みたい、読書で感動したいと思っている人は手にとってみてはいかがでしょうか。


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