詩 校庭のはしに どこの学校にあるように・・・

2006年04月02日(日) 17時48分
4月2日
 きょうは、別の二人が北条へ行った。
 こちらは、まったく用がない。火鉢にあたってあそんでいた。山口が紅葉で小包を持ってきてくれた。岡安の伯母さんからであった。みかんと、いもの切干であった。みんなでわけて喰った。
 雨が降っていた。オルガンが鳴ってきた。赤い花束 車につんで 春がきたきた 村から町へ……と云う歌であった。
 今度入ってきた兵隊は、去年四月に入った連中で、ぼくよりも新しい。大きな顔をしていようと思った。
 同じ勤務の三中隊の上等兵がひとり、事務室でなにかしら書いたりして仕事をしていたが、ぼくは仕事を見付ける時機を失したわけで、一人では手に負えぬ仕事があったら呼びにくるであろうと、毛布をかむって、雨の音を聞きながら寝ていた。
 公用に出た一中隊の藤井が、野菜パンを買ってきた。火鉢で焼いて、それを喰った。寝て喰ってばかりいるので、とうとう胃をこわした。
 夜、小林のところへ入ってきた朝鮮の兵隊のところへ遊びにゆき、キーサンの絵葉書など見せてもらった。ぼくが云った、キーサンのアクセントがおかしかったと見えて、笑っていた。
  
  校庭のはしに どこの学校にもあるように鉄棒や肋木があるんだ
  そして まだ芽の出ないポプラとアカシヤの木が並んでいるんだ
  そのうしろがずうっと桑ばたけでね どこまでもどこまでも雨にけぶっていて
  ずっとむこうの森は見えなくなっているんだ
  風があってその桑ばたけの枯れた骨が ゆらゆらと揺れて波うっているんだ
  ベートーベンの第七交響曲だね
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