吉沼の小学校に寝泊まりすることになっている。

2006年03月31日(金) 14時25分
 3月31日
 朝から、事務室で三島少尉のたのまれものの絵を書いた。
 ひるめしのライスカレーを喰べていると、岩本准尉に呼ばれた。
 単独の軍装で、13時に本部前に集合し、辻准尉の指示を受けよ、と云うのであった。今度、この部隊へ、初年兵が○名入ってくる。けれども、まだ四年兵がいるので、それらの初年兵を入れる余地がない。それでしばらくの間、吉沼の小学校へ寝泊りすることになっている。
 行くと、辻准尉が、「お前、文字は上手か」と云った。ぼくの字は決して上手とは申されないので、「はい書けます」とよそごとの返事をした。
 他の中隊からも来ていた。五人であった。机を乗せたトラックへ、のせてもらった。机がしばってないので、トラックが動き出すと、ものすごくゆれて、投げ出されそうに何度もなった。
 吉沼の小学校に着くと、本部の曹長が、白い腕章をくれて、付けよと云った。なにかしらぬが、付けた。えらいものになったような気がした。立てふだをたてたり、縄でさくをはったりした。
 炊事も出張していて、めしを炊き出した。衛兵も来た。食事伝票がどこからも切ってくれていなかったので、頼んでめしをもらった。
 まくらも、わらぶとんも、敷布も毛布も新品であった。毛布なんかは、まだドンゴロスで梱包したままのやつを支給された。
 夜になって、なんにもすることがなくなった。こっそりと出かけて、そこらの民家でイモでももらってこようか、などと思ったが、見付かったらどえらい罪になると云うので、どうしても、昼間ぼくたちがはった縄のさくを、よう越さなかった。じぶんの縄で、じぶんがしばられている。
 点呼がすむと、教室へとった床の中に入って、すぐに寝た。こんな気楽な生活は、軍隊へ入ってはじめてである。
 新しい毛布は、臘のにおいがする。
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