シャウティス 

April 14 [Fri], 2006, 16:47
僕に出来ることは、その程度のことだよ―――

何かを救う為に、何を犠牲にしなくてはならないのか。
どうすれば正しくて、どうすれば間違っているのか。

いつもそればかり考えている。

自分には役割があるのだから。
そのことに不満を覚えたことはなかった。ずっと誇りに思ってきた。
だから、それを裏切ることは出来ない。

その筈だった。なのに――――

何故こんなにも迷っている……何に?
彼女との出会いが、自分の概念を大きく揺らがせた。

その道は、本当に正しいのか?

フリージア 

April 05 [Wed], 2006, 19:50
リースが行くなら、わたしも行く!――――

わたしの大切なものは、いつだってたった一つ。

わたしの好きなもの。
わたしが生まれた里。里に住む人たち。里に護る精霊。皆が住む世界。
今まで出会った沢山の人たち。これから出会う沢山の人たち。

でも、わたしの大切なものは、いつだってたった一つ。

彼がいれば、全部はいらない。

わたしが守りたいものは、いつだってたった一つ。

それを守る為なら、それが脅かされるのなら、わたしはいつだって。
いつだって、全てを切り捨てられる。


リースベック 

April 04 [Tue], 2006, 16:30
それでも、知らないままではいられないんだ――――

いつも思っていた。
自分は何故ここにいるのだろう?何の為に、ここにいるのだろう?

他人とは違う特殊な立場が、いつだって彼にそう考えさせた。
ガルデアではない。だけれど、テルメアとも言い切れない。
どちらでもない自分。

ガルデアは精霊の為にテルメアと戦い。
テルメアは創造主の為にガルデアと戦う。
延いてはどちらも”世界”の為。

では、自分は?
どちらでもない自分は何の為に戦うのだろう?
何を望むのだろう?

分からない。まだ何も。

「だから俺は、それを知りたい」

自分が何を想い、何を感じ、どう生きるのか。
そう、自分の存在の意味を問いたい。
その答えを、見つけたい。


巫女 

March 26 [Sun], 2006, 16:42
世界の全てが、幸せになりますように――――

その尊き願いを抱いて産まれた、一番最初の巫女。
それは怖くて苦しくて、悲しい生の始まり。

この世界の全てが好きだった。
弱くて、儚くて、優しくて、綺麗な世界。
だからワタシは、この世界を守りたいと思った。

この世界の全てが嫌いだった。
痛くて、辛くて、切なくて、曖昧な世界。
だからワタシは、この世界を許せないと思った。

だからワタシは、この世界が滅びないことを願った。
この苦しくて悲しい世界で、生き続けることを願った。

「オネガイ。死なないで、消えないで、苦しみ続けて、もっともっと……」



世界 

March 20 [Mon], 2006, 19:13
かつて崩壊しかけた世界、または崩壊する筈だった世界、そして崩壊し続ける世界。
少なくとも現状のままでは確実に滅び行く世界が、物語の舞台である。

世界は衰弱しきっていた。何が悪いというわけではない。
ただ運が悪いことに、この世界は生まれた時からとても弱かったのだ。
自らを護る術が未完成なまま、ただ生まれたいと気を急いてしまった。
だからこの世界はとても弱い。とても脆い。
”世界”として生き抜いていく為には、余りにも弱すぎたのだ。
これは今この世界が迎えようとしているのは、逃れようのない寿命なのだった。

それでも、そんなことがその世界に生きる者たちに納得できるだろうか?
ただ大人しく滅びを待つことなど出来るだろうか?

出来るわけがない。
世界に生きる者たちだって、世界自身だって、もっともっと生きたいに違いない。
その為に出来る限りの手段を使って必死に抗うのだ。
助かりたくて、助けたくて、抗うのだ。
そこに、どんな罪があるのというのか。

そう、誰も悪くなどないのだと。

そう、選択を誤ってなどいないのだと。

言い切って、だから、私の居場所はどこにもなくなった。
その罰を私だけが背負って、身動きがとれなくなった。
この世界を救いたかったのは皆同じだったでしょう…………?



種族 

March 20 [Mon], 2006, 16:09
精神的特徴をもつ種族と肉体的特徴をもつ種族。
世界に生きる種族はこの2つ。

ガルデア
強靭な肉体、優れた身体能力を有す古き種族。
更にいくつかの細かい部族にも分けられるが、一様に模様のような黒い痣を生まれつき持つ。
自然を愛し、精霊と共に生きる。素質のあるものは精霊を内に宿してその力を行使することもできたが、現在の世界は精霊そのものの存在力が薄れつつある為、能力者は少ない。
その精霊の力が弱まるのはテルメアの存在が原因である為、彼らとは敵対関係にある。

テルメア
精神が異常発達し、特異な能力を有すにまでなった新しき種族。
ほぼ精神生命体であり歳をとって寿命を迎えることはないが、その精神は年月と共に増え、肉体の許容量を超えると”個”そのものが飲み込まれ特殊な力を宿すだけの結晶となってしまう。それが彼らにとっての死。
だがその増え続ける精神を自らの意思でなんらかの力に変換して放出し、バランスよく消費していくことで、内の精神量をコントロールする術を持つものは肉体が保つ限り生き続けることが出来る。
自らの創造主とされる存在を敬い。種が深く世界に定着することを望む。
そしてそれには世界にもともとある精神的な力、精霊が障害である為ガルデアと敵対している。



リメイクSaga 

March 20 [Mon], 2006, 15:25
崩れ掛けた世界と、そこに生きる愛しいモノたち……。

「もうすぐ、だね。もうすぐ、私の願いが叶うんだ」
歪んだ世界の中で生きる、歪んだ存在の少女は言った。
ただ、ただ、幸福そうに。
「私はね、きっと誰よりこの世界を深く憎んでる。だって私は存在そのものが憎しみの塊なのだもの。
それでもね……それでも、私はこの世界を救いたいの。だってそれが、私たちの願いなんだもの。
その為に私たちは沢山のものを失ってきた。奪ってきた。背負ってきた。
その結果が、こんな結末だなんて……許さない。許されるわけない。
だから私はこの世界を救う。最後の救世主に……最後の人柱になる」
どこまでも、悲しげに。歪んだ少女は決意した。

それは全てを救う為の、救いのない物語。

シャル 第二章 「本の虫」 

January 20 [Fri], 2006, 20:05
増築が繰り返されて迷宮のように入り組んだ構造になるに至った
ジフレストが誇る巨大図書館。

自分の意思で学院にやってきたものの、サヤのことが気にかかる僕は
気晴らしのつもりでこの図書館にやってきた。
だが……

さて、困った。
興味本位の散歩のつもりが、本気で迷ってしまったらしい。
かなり真剣に困り果てていたのだが、偶然一人の青年に出会う。
一瞬少女と見間違える程の美貌の青年。
名は、リースベック。

果たしてこれは偶然だろうか?
彼の纏う雰囲気は、ふとした瞬間の表情の翳りは酷くサヤに似ていた。

サヤとはまったく違うのに、まったく同じ影をもつリースベックに興味を持った。

彼は一体何の為に何を求めているのだろう?
それはもしかしたら、サヤが求めるものと同じなのではないだろうか。
サヤを救うすべを、彼は知っているのかもしれない。
そう、思った。

第二章 「知識の都」 

November 25 [Fri], 2005, 13:49
アーレント領ジフレスト

”知識の都”


身分を問わない公平なこの街は

常に沢山の知識を集め

またそれを求める者達を呼び集める

”英智を求むる者よ、この地に集え

願わくば

未来へと続く道の導とならんことを”

英雄 第一章 「紅く染まった黒い角」 

November 25 [Fri], 2005, 13:10
 紅の髪を持つ女性。
 獣人へと振り下ろされた英雄の剣を止めたのは他でもない紅き花の巫女だった。
 驚愕に目を見開く騎士の前で、巫女は獣人の命乞いをする。
 そして騎士は見てしまった。
 驚くほど似ている巫女と獣人の顔立ちを……。
 そして騎士は悟ってしまった。
 この二人が姉弟であることを……。
 人間を救う存在である巫女が、獣人―――――――――

 互いの命乞いをする姉弟の言葉が頭の中を反響する。
 そしてそれはやがて、力尽きた獣人に縋りついて泣く巫女の悲鳴に変わった。

 違う。違う。助けにきたんだ。
 獣人に連れ去られた巫女を、助けに来たんだ。
 殺しに来たんじゃない……救う為に―――――――――

 それでも頭から離れない声。

「頼む………姉さんを、殺さないで……………」


英雄編 第一章 後編