〜善悪の調べ〜 3話 プレゼント前 

April 07 [Sat], 2007, 16:30
真っ暗な空にパラパラと雪が舞い降りる。それはまるで何時しか聞いた絵本に出てくる天使が地上に降りてくるような光景。今までの私ならこんなことを考えなかっただろう。ただ凍えて、この白き悪魔に殺されないようにと必死に耐えていた。でも、今は悪魔になんて見えない。それだけ私の心は豊かになったのだろう。
「メリークリスマス、シーダ。みんな待ってますよ。早くお入りなさい。」
私を捕まえたお爺さんはこの街の一画にある教会の神父であった。そして、私のように孤児の子供を預かる孤児院のようなこともしている。
「おかえりなさい。シーダお姉ちゃん。」
どたばたさせながら私の妹みたいな存在のアリスがやってきた。
「おかえりなさいって、アリス〜。ここは私の家じゃないんだよ。普通はいらっしゃいだよ。」
私はお爺さんの紹介で養子縁組を組んでくれた家族と一緒に暮らしているため、教会にはお世話になってなかったのだ。
「じゃあ、お姉ちゃんも一緒に住めばいいんだよ。」
「あははは・・・。それは無理かな。」
「え〜。なんで、なんで?」
アリスは私を手放さないようにギュッと腕にしがみついた。
「こらこら、シーダを困らせるんじゃありませんよ。」
お爺さんはアリスを叱りながらもなんか楽しそうに笑っていた。

ゴーンゴーン・・・
お祈りの時間を知らせる鐘がなった。雪の積もる白銀の街に鳴り響く鐘の音はどこか神秘的で神の存在すら思い立たす。お爺さんにはお世話になったとは言え、自分の考えはなかなか正せないのだ。未だ、私は神を信じてはいなかった。そんな私が神がいるように思えただけ、この白銀の世界は神秘的なのだ。
「さぁ、お祈りの時間ですよ。シーダもアリスも中にお入りなさい。」
「は〜い。」
パラパラと舞い落ちる雪を背に私達は教会の中に入っていった。

翼をもがれた天使〜想いの彼方〜 2話 好きだから言えない 

March 30 [Fri], 2007, 15:24
女の子・・・。
私はその言葉にどこか反発していた。母が私達を捨てて蒸発した後、私は自分を女なんて思いたくなかった。いつも父の背中を見て育った私はどこか父に憧れていた。『私はお父さんのお嫁さんになりたい。』と思うほどだった。でも、それは私が女ってことを認めないといけないこと。女でないと嫁なんてなれないのだ。でも、私はいやだった。だから、嫁になるのではなく父みたいな人になろうと思った。
「はぁ・・・。子供のときの夢なんて儚いね〜。」
こんな私に嫁入りの話が来たのだ。それが私の頭をずっと悩ましていること。相手はここら一帯を牛耳る領主。普通の女ならこっちからアプローチをかけていくのだろう。だけど、私は領主の方から声をかけられたのだ。悪くも、母親譲りの女らしさを私は受け継いでしまったのだ。
「この髪も本当は切りたかったのに。」
腰の辺りまですらっと伸びた髪の毛も母親ゆずり。父が『切らない方がククリには似合う』って言わなければ、今すぐにでも切りたいくらいだ。
「え〜。ククリ髪の毛切っちゃうの?そんなことするくらいなら私にちょうだいよ〜。」
いつの間にか起きていたクーラが無茶なことを言う。
「ほほ〜。クーラは私の髪の毛で作ったカツラが欲しいのか。」
「くれるの!?」
「やるか!?」
クーラは冗談も冗談思えないほど単純なやつだ。まぁ、純粋でかわいいやつなんだけどね。危なっかしくてたまらないのだ。
「ふぅ。さてどうしようか。」
私の悩みは解決してないのだ。正直、受け入れる以外の選択肢なんてないのだ。私が首を横に振った瞬間、私の親しい人がどうなるか分からないのだ。
「ククリはさっきから何を悩んでいるのかな〜?私でいいなら聞いてあげるよ。」
さっき寝言とは言え、約束してしまった故にこの話はクーラの耳にはいれたくなかった。
「クーラが心配するようなことじゃないよ。ただ夕食を何にしようか考えてただけさ。」
私の心ひまたちくりと針がささった。今までクーラに対してこんなにも嘘をついたことなんてなかった。
「そっか・・・。じゃあ、肉団子のスープがいいと思いま〜す。」
私の嘘を察してくれたのか、ただ単純に私の問いに答えてくれたのか分からないけどクーラ笑顔で答えた。
「・・・はぁ。クーラは本当に羨ましいよ。」
「?」
「じゃあ、今日は材料もあることだし、肉団子のスープにしようかな。」
「わ〜い。」
やっぱ後者の方だな。しかも、自分が食べたいから言ったと言うことが分かる。
「ちなみに言うとクーラの分はないからね〜。」
「そんな〜。」
クーラと話していると悩みなんてどこかに飛んでいってしまう。だから、女が苦手な私でもクーラのことが好きなのだろう。


蝉の恋 結衣サイド 一番星 

March 29 [Thu], 2007, 8:48
1日することも無くぼ〜っと過ごす毎日。今日も蝉達の大舞台を聞いて、もう夕焼け時。あと少しで今見ている風景も一変する。
「う〜〜〜ん。今日も終わるの早いなぁ。・・・誰もお見舞いに来てくれなかったなぁ。少し寂しいかなぁ。」
暖かい風もだんだん冷たくなっていき、空には月も顔を出すようになってきた。
「一番ぼ〜し♪一番ぼ〜し♪み〜つけた〜♪」
今となっては体を動かせない私の楽しみは蝉達の大舞台を聞くか、一番星を見つけるくらい。あと、普段は絵を描いてる時が楽しいけど、あまり上手く描けないから時々イライラしてしまう。だから、今はあんまり描いてなかったりする。安静状態で、ストレスを貯めてはいけないからね。それに体もあまりいうことをきかないので描きたくても描けなかったりする。だから、今できる中で楽しい物は二つしかないのだ。
「えへへ。子供の時を思い出すなぁ〜。よく二人で夜の空を見に行ったっけ。」
私は昔のことを思い出しながら、次々に空の舞台に現れる星々を眺めていた。
「うふふ、そう言えばそのあとお父さん達ににバレてすごく叱られたっけ。宏樹は男の子だから、叩かれたりしてほっぺが真っ赤になってたなぁ〜。」
チリンチリン・・・
夜の冷たい風が風鈴をならした。体を冷やして風邪をひいてもいけないのでちょうど回診に来た看護婦さんに窓を閉めてもらいテレビでも見ることにした。
『なんでやねん!』と鋭いツッコミをいれたり、面白いボケを言ったりするお笑い番組。
恋愛小説や漫画などのドラマやアニメ。
ドキュメンタリーやクイズ番組、などいろいろとチャンネルを変えて何か面白そうな物がないかと見ていく。
『今年のお祭りは去年と比べて、また盛大に開かれています。』とニュースでお祭りのことを言ってた。そう言えば、今年ももうすぐお祭りが始まる時期だ。今年も見に行きたいな。
「そろそろ就寝時間なので、休んでくださいね。」
巡回してきた看護婦さんに就寝時間と告げられてテレビを切り、眠りについた。

翼をもがれた天使〜造られた者〜三話前編 大樹の心とわたしの心 

March 28 [Wed], 2007, 17:50
現在、立ち入り禁止・・・

わたしの目の前にはそう書かれた看板がぶら下がっていた。
???
いつもわたしやお姉さん達がいる部屋なのでなんで立ち入り禁止か分からない。しかも、中にはお姉さん達がいる気配がした。なんか慌ただしく、たまに「痛い!」悲鳴なども聞こえる。未知なことは恐い。わたしにもそんな感覚が備わっていた。だから、中で何をしているかを気ににはなったけど確認なんかせずその場から立ち去ったのだ。


す〜〜〜〜
ひとひらの花びらを空を駆け、風が優しくわたしを包み込む。鋼鉄でできた重い扉を開け、中庭にわたしはいた。
ゆさゆさ・・・
強風が吹けば全て飛んでいってしまいそうな儚なそうな花がそこら中に萌えている。そして、花たちが囲う中心にはとても大きな木が誇らしげに立っているのだ。
「こんにちわ。」
わたしはその大樹に向かって挨拶をする。初めてこの場所にきたので、わたしはこんな大きな木を見たことがなかった。だから、返事が返ってこないなんて当たり前のことすら分からない。
「あなたは答えてくれないの?お姉さん達が挨拶はみんなにしなさいって言ってた。初めて会う人には特にしなさいって言ってた。でも、あなたは答えてくれない。」ゆさゆさ・・・
葉っぱが擦れる音。風が吹き、またわたしを包み込む。
『こんにちわ・・・。』
葉っぱの擦れる音がわたしにはそう聞こえた。
「答えてくれた・・・。」
少し嬉しかった・・・。ん?嬉しい??わたしにとって初めての心の動きに戸惑ってしまう。いや、お姉さん達にはわたし達ホムンクルスには心はないと聞かされていたからこれは心の動きではないのだろう。
「あなたには心はあるの??」
わたしは大樹にそっと寄り添い幹に耳を当てて聞いてみた。す〜〜っと風が吹くが今度は答えてくれなかった。
「こんなとこで何をしているんだ、H―0050。」
わたしをフルネームで呼ぶのは今では御主人様だけ。わたしは声のした方を見ると、御主人様がわたしの方に向かって歩いて来ていた。
「お話をしてたの・・・。」
「ん?誰と?」
わたしは口で答えずに視線で答えた。
「そうか、H―0050にはこの木の心が分かるのか。」
「やっぱり、この木には心があるんだ・・・。わたし達にはないのに・・・。羨ましい。」
わたしは大樹に向かって嫉妬深い目を向けていた。そんなわたしを見て御主人様は声を上げて笑っていた。

翼をもがれた天使〜想いの彼方〜 一話 青空と晴れない心 

March 26 [Mon], 2007, 14:53
私は空を見上げていた。殺風景な空に、一匹の鳥が迷いこむだけでも空は飾られるのだろう。だけど、そこには何も迷うこともなく漠然と青空だけが広がる。雲一つない青空だけが・・・。
「ククリ〜〜〜。こんなとこにいたんだ〜。一人で何してるの?」
私の耳は風を聴こうとしていた為に親友のクーラの声も半分くらいしか聞こえなかった。
「空を見てる。」
質問はよく聞こえなかったが、クーラのことだから『何してるの?』と聞いたに違いない。私は一言だけ返すのだった。
「もぉ〜〜。ククリったら、また私の話を聞いてなかったでしょう。ククリの態度見れば分かりますよ〜だ。」
クーラは他人にはおっとりして大人しいくせに私にだけはこう突っ掛かってくる。それだけ、クーラが私に対して心を開いていると言うことなのだろう。
「隣、座っていい?」
「聞いても聞かなくてもクーラのことだから、座るんでしょう。」
私は仰向けに寝転がっていた体を起こし、クーラに向かって言った。
「アッタリ〜。」
クーラは何が嬉しいのか知らないけど、にこにこ笑いながら私の隣に座った。
「ふむふむ・・・。ククリさんはこの景色を見ていたのですね。ん〜〜、なるほど〜。」
何がなるほどか分からないからクーラのことは放っておくことにした。
雲一つない青空・・・。私の心とは正反対の風景。こうも違うと、目の前の風景を汚したくなるが、そんなこと願っても何も変わるはずもなく、ただ時を刻むだけ。
「はぁ〜。それに比べてクーラは羨ましいな。」
静かと思ったら、何も悩んでなさそうな顔で寝ていたのだ。私はその笑顔をもう一度見て、仰向けに体を横たわした。

青空・・・か。
私の悩みも空と同じように晴れてくれるといいのだけど・・・。

ギュッ
「ククリとずっと一緒にいるんだから〜。離さないんだからね〜。」
クーラは駄々をこねる子供のように私の腕を掴んで寝言を言っている。
「クーラは本当に羨ましいな。」クーラの頭を一回撫でてやった。
「絶対に・・・絶対にずっと一緒だから・・・。」
クーラのたわいもない寝言。だけど、それが私にとってとても辛かった。
「・・・ああ、そうだといいね。」
即答してあげることもできず、願いような形になってしまった。これが今の私の精一杯の答え。
「うん・・・。むにゃむにゃ・・・。」
私の答えを聞いてか知らないけど、クーラは安心して私の腕をすっと離した。

翼をもがれた天使〜想いの彼方〜 プロローグ 私は女? 

March 23 [Fri], 2007, 12:25
この世界、フィードネリアには世界を構成する定理がある。空気、水、大地・・・。これらは世界を構成するものとして星神様が私達、人間を創る前から創りあげた。
世界に構成する定理があるならば、私達人間にもその定理がすべからくあるわけで、男と女と言うのもその中の一つ。
なぜ、世界には男と女しかいないのだろう?
そんな問いは当然、私に降りかかってくるのだ。私は・・・女で、確実には言えないけど女の型に当てはまる。だから、私の親も私を女として育ててきた。
私が女だとしたら、男ってどんな存在だろう?
体の形から私達女と違う存在。力強いと言うイメージが私の中にはある。だけど、それは一部の人であり、女の人でも力強い人はたくさんいる。だから、一概に貴方は男ですとか貴女は女ですなんて見た目から判断することなんて出来ないと思う。

なら、私は本当に女なのだろうか?
その考えばかりが募る毎日なのだ。

翼をもがれた天使、ククリ編について 

March 23 [Fri], 2007, 11:38
ククリ編では男と女についてと言うとテーマです。翼をもがれた天使の原点に考えたカイン&カリン編(未投稿)と同じテーマです。
未投稿なので知っている人はいないと思うので、新しい作品として楽しんでくれると嬉しいです。

〜善悪の調べ〜第二話 お爺さん 

March 22 [Thu], 2007, 17:40
大きな手に繋がれ、私はお爺さんとパンを盗んだ店に謝りに行った。
何も関係がない私にお爺さんは一緒頭を下げてくれた。
正直、嬉しかった。
誰かが私の為に謝ってくれる事が私にとって初めての事で、私をかばってくれたのも初めてだった。
悪いことをしたら、ただ怒られ、叩かれ、とても悔しい思いがした。
確かに私が悪い。でも、なんでここまでされないといけないんだ?
ちくしょー。次は失敗しないからな。
怒られながらそんな事を考えていた。
でも、間にお爺さんが入ってくれた事で、怒られはしたが叩かれたりはしなかった。
大人が間に入ってくれただけで、私は安心感を持てた。
素直に謝ることが出来た。
今まで憎んできた大人に対して、ごめんなさいと本気で思えた。

「もう、こんなことをしては駄目ですよ。」
俯く私にお爺さんは優しく声をかけた。
「でも・・・。お腹が減ってどうしても食べたかった・・・。」
私はお爺さんの方を向かず、地面を見ながら呟く。
「ふぅ・・・。それでも、やっぱり悪い事は悪いのです。どんなにお腹が減っていようとも、悪いことをしてはならないのです。悪いことをしていれば、いつか自分に返ってくる。神はそう言う掟を創ったのです。」
神の掟・・・。じゃあ、私の不幸はどこがで私が悪いことをしたからだろうか?
両親が死んでしまったのは私が悪い子だったからか?
考えてもそんなことは思い当たらない。
「神なんて・・・信じてないから。」
私が悪いのでなければ、両親?
両親が悪くなければ、誰が悪いのだろう?
考えの行き着いた先は信じもしない神だった。
「私に意地悪な神なんて信じない。勝手に掟を創って私をその型にはめようとする神なんていらない。私は生きる為に悪いことをしてる。神が悪いことをするなって言って私を掟に縛るのなら、私に死ねと言ってるのと同じ。私は死にたくなんかない。悪いことをしてでも生きたいから・・・。」
どうしてだろう?
お世話になったお爺さんの言葉に耳も貸さずに反発するようなことばかり言ってる。
そして、言いたいことを言ったら目から涙が流れていた。もう渇き切ったと思った涙がとめどもなく流れる。
「そうか・・・。君はそれだけ辛いことを経験したんだね。独りでずっと頑張って生きようとしてたんだね。」
お爺さんは私の反発に怒ることもなく優しく包みこむように頭を撫でてくれた。
孤児になってしまった私にまた親が出来たようでとても嬉しかった。
本当の親じゃないけど、親の暖かみを私は再び思い出すことができたのだ。

翼をもがれた天使〜造られた者〜 第二話 お姉さん 

March 22 [Thu], 2007, 14:50
わたしは知識は持って生まれた者だから、大概のことは分かる。だけど、それは分かるだけ・・・。できはしないのだ。
だから、服って知識の中に着るという物ということは分かっても目の前に服を出されたら着ることなんてできないのだ。
そう、わたし達に与えられたのはうわべだけの情報的知識なのだ。体験的な知識なんて、わたしが体験してないから一つもない。言わば、生まれたての赤ん坊と一緒なのだ。

「50ちゃんは何がいい?」
H―0036お姉さんがわたしを会話に入れたくてかわたしに会話を振ってきた。
「36お姉さん、なんですか?」わたし達、ホムンクルスは御主人様から与えられた番号があり、わたしはそれでお姉さん達を呼んでいる。しかし、お姉さん達は番号で呼ぶと怒るのだ。
「もぅ〜、50ちゃん。私にはミルシーって名前があるんだから、ミルシーお姉さんでしょう。」
「はい・・・。以後気を付けます。」
わたしは一礼もせずつったたままロボットのように口を動かした。「はいはい、ミルシーも50ちゃんもそこまでにして〜。今日は50ちゃんの命名の儀式なんだからさ。」
儀式と言うと大それたことすると思うけど、どちらかと言うとただの井戸端会議。わたしの名前について話しているのだけど、お姉さん達は好き勝手に言ってるだけ。わたしが50番ってこともあるから前に49人いるわけで、話なんてまとまる訳がない。
「・・・。」
わたしは目の前の光景を見ながら、知識の一つを口ずさむ。
「女、三人集まればかしまし・・・。」
目の前の状態がかしましを通り越して、騒音状態。そんな訳だから御主人様も見逃すはずもなく、鬼のような形相でお姉さん達を叱っていた。
そんなこんなで、わたしの名前はうやむやになって今でも50ちゃんで落ち着いてしまったのだ。

初めての出会い1 

February 04 [Sun], 2007, 14:33
貴方は輝く光る太陽があるって信じます?
貴方は暗い夜のなか、輝いている月や星があると信じます?
それなら、穏やかな草原に吹きわたる風は?
ゆらゆら漂う船を襲う嵐は?
綺麗な花は?木や草は?
見たことあるものなら知っているのでしょう。だけど、私は見るまで知らなかった。全部見たことのない物だから。見たいと思っても知らない。知る手段がなかった。


カタンカタン・・・
ポツポツ・・・
トントン・・・
音も単調な世界。響いてくるのは見張りがドアを開ける音、滴が落ちる音、見張りの足音。
一つ一つが聞きあきる程きいているから、今更気になるものなどなかった。
何も変わらぬ世界。私は死ぬまでここにいるのだろう。別にこれは諦めではない、私の運命なのだ。

カチャカチャ・・・
これは何の音だろう?
金具が摩れる音?鍵の音?よく分からないがいつも聞いている音ではない。
「なんだここは?まったく、出口はどこだ!」
初めて聞く人の声。見張りの人のような低い声ではなく、私のような高い声。
「ここにも、ドアがぁ〜!いったいここには幾つドアがあるんだ!!」
怒ってる・・・。
こんな怒気まじり声を聞いたのは初めてだった。そして、怖いと思ったのも初めてだった。しかし、それにもまして私の中には好奇心が芽生えていたのだ。この声の持ち主はどんな人だろう?どうしてここにいるのだろう?なぜ、そんなにまで怒ってるのだろう?
全ての答えはドアの向こうにあった。手を伸ばせば届く距離だろう。でも、私にはそれを叶えることはできなかった。鉄の鎖と足枷と私を阻む全ての物に私は邪魔をされたのだ。
P R
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たびたび、更新してるから良かったら見てね〜。

小説最新版はこっちに載せて、すこし経ったら、HPの方にアップロードするような形を取りたいと思います。

コメントは書いてくれるととても嬉しいです。
ここをあ〜したらいいとかでもいいですよ。
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