第一章 現れたのは、天使  −6− 

2006年04月05日(水) 4時20分
 前方、眼下に広がるのは自分の住んでいる街。
 16年過ごしてきた街。
 街は夕日で紅く染まり、自分も紅く染め上げる。
 背後には社、そのさらに後ろには山がそびえている。
 左右には闇に飲まれた森。
 社にもたれ掛かるように座り、日が沈んでいく姿を見つめる。
 視界の全てが紅に染まった時、瞳に写るのは影。
 身体が意識下に無く、その影をボーっと見つめる。
 そして、意識は徐々に覚醒していく。
 影は迫る。
 影が一歩近づくたびに、意識が一歩覚醒に近づく。
 そして影を認識した時、顔は恐怖で引きつり、自分は逃げられないことを悟る。
 悟って、しかし少しでも抗おうと声を上げた。
 声にならぬ声を───


「─────────っ!!」

第一章 現れたのは、天使   −5− 

2006年03月30日(木) 20時58分
日暮れ時特有の風が街を巡る。


訂正のお知らせ 

2006年02月23日(木) 23時31分
いつも『片翼の双天』をご覧頂きありがとうございます。

・第一章 現れたのは、天使 −4− を一部修正しました。

これからも『片翼の双天』をよろしくお願いします。

第一章 現れたのは、天使  −4− 

2006年02月22日(水) 1時02分
「ゆう〜、今日って部活無いんだっけ?」
言いながら亜美が寄ってくる。
「うん。珍しいよね、部活お休みって」
「っていうか、今までお休みあったっけ?」
「「───なかったよね」」
2人言葉を合わせて言って、どちらからとも無く微笑する。
 ゴールデンウィークも半分が過ぎようとしている中日の今日、久しぶりに見るクラスメイトたちの顔には、出校日を鬱陶しがる生徒、久しぶりに会った友達と笑顔で話す生徒、様々な感情を持って過ごされた今日1日。教室の中は、いつも以上に喧しい事この上なかった。特に、今日は転校生が来たこともあって喧しさに輪をかけたようだった。喧しさは、クラスメイトの大半が帰路に着き始めるとより一層ひどくなって、そして所々で話し声が聞こえる程度に落ち着いた。
 教室に残っているのは5~6人といったところだった。
 そんな中で、窓際の壁に寄りかかるようにして二人は話していた。
 話の話題は当然のように、『転校生・神尾健一』のこと。
 そしてついでのように、彼女たちの日課となっているトレーニングの話も出た。この二人は(たまに朔弥も一緒にだが)朝・夕と2回のランニングを日課にしていた。
 今日は部活がお休みになっていたので、駅前の書店にでも行って新しい本でも探してみよっかな?そうだ、鍛錬(優はトレーニングの事を、『響きがいいし短くて言いやすいから』と言う理由から、鍛錬と呼んでいる)は少しきつめにしなきゃいけないな、などと考えに更けていると、
「ゆう?どうしたの、ぼーっとしちゃって?」
心配そうに覗き込んでいる、亜美の顔が見えた。
 優は考え出すと、止まらない(自覚はしていない)。自然と、黙り込んでしまう事が多かった。

訂正のお知らせ 

2006年02月17日(金) 19時43分
いつも『片翼の双天』をご覧頂きありがとうございます。

・プロローグ の書き直しをしました。

・第一章 現れたのは、天使 −1− を一部修正しました。

これからも『片翼の双天』をよろしくお願いします。

第一章 現れたのは、天使 −3− 

2006年02月17日(金) 19時41分
 日は真上より少し傾き、その日の授業の、終わりを告げるチャイムが鳴った。
 微かに赤みを帯び始めた空、少しずつ伸びていく影法師。
 1日の終わりを告げるチャイムは、聞いていると、焦燥感がどこからとも無く、やってくる。
 いつも感じている気持ちと違って、なんだか心地が良い。
そういえば、こういうところに来るのは、本当に久しぶりだ。
 いつの間にか、こういうところに来ない事が、普通になっていた。
 いつからだったろう、そう思うようになってしまった。
こういうところに来ないのが当たり前になってしまった。
この世界に足を踏み入れてしまったのは・・・。
考え始めると、止まるところを知らないのが欠点だったな、などと思い、苦笑してしまう。
そんな事、“どうでもいい事”のはずなのに。
やはりこういうところは苦手だ。
普段考えないような事を、考えてしまう。
それが、良い事なのかどうか知らないけれど、考えるだけ無駄だと分かっているんだ。
なら、考えなくても良い。
そう、いつもの様に仕事を終えれば、ここから出て行くのだから───。

 

第一章  現れたのは、天使  −2− 

2006年02月12日(日) 23時46分
 その日は、いつもと少し、違っていた。
 朝早くだというのに、ある一つのクラスが、異常なテンションで盛り上がっていた。
それは、一年四組。今日、新たなクラスメイトが入るこのクラスは、話し声で溢れかえっている。
「今日って、転校生来る日だよね?」
そこでは、少年と2人の男が話をしていた。
「やっぱり男の子かなぁ?」
少年は1人の男に連れ立って、歩き始める。
「格好良い男の子に一票!」
少年は転校生、男はそのクラスの担任。
「でも珍しいよね〜。高校で転校してくるなんてさ。」
その教師は、簡単にクラスの様子を話している。
「そういえばそうだよね。」
そんな話に、少年は表情を崩さず、軽く相槌を打つだけ。
「どんな人なんだろうね?」
艶やかな黒髪に、黒い瞳。
「噂だと、ものすごい美形らしいよ。」
スラリとした体型で、背は180cmほどあるだろうか。
「男より女の子きてほしいし。」
顔には、まだあどけなさが残っている。
「だよな。」
線の細さ、あどけなさを微塵も感じさせない、大きな存在感が印象的である。
「な〜、それより昨日のレポート出来た?」
少年と教師、2人が教室に着く直前に、始業ベルは鳴った。


第一章 現れたのは、天使  ―1― 

2006年02月05日(日) 1時40分
「───はぁ───はぁ、───はぁ───はぁ」
リズミカルな呼吸とともに、ざっ、ざっ、という軽快な足音が響く。
朝日で影法師が細く、そして長く伸びる。

そこは、学校のグラウンドだった。
御代田高校。
今年入学し、もちろん中学から仲のいい、朔弥、亜美も一緒にである。
優と亜美は陸上部へと入部。
ただ、朔弥は、『走るよりも星が好き』という理由で天文部に行ってしまった・・・。
それでも、朔弥はたまに、日課のランニングに付き合ってくれていた。


陸上部や、その他多数の運動部系の活動場所であるグラウンド。
桜も散り、若葉で鮮やかな緑色に変わった桜の木が、グラウンドを囲むようにして並んでいる。
昼間ならば聞こえてくる、生徒たちの賑やかな声、車の行き交う音、風の中に混ざってくる、木々のざわめき。
それらさまざまな音が飛び交うそこは、いま、少女の呼吸の音と、リズミカルな足音のみが響いていた。
一周が、軽く400mはありそうなトラック。
そこを優は、走り続けていた。
ただ、ひたすらに。
終わる事の無い、道でも走っているかのように。


1、プロローグ 

2006年01月31日(火) 1時12分
 5月も始まり、木々は鮮やかな新緑に覆われ、街のそこここにさわやかな風が吹き渡る。
 ここ御代田市は、町を割るように南北に走る那智川を挟んで、東側が都市機能の中枢を担う市街地、西側がそのベッドタウンの住宅地で、東西を結ぶように大きな港と、中心部に御代田大橋という大鉄橋が架かっている。
 その日も、少女は日常の中にいたはずだった。
ようやく新しい環境にも慣れてきた、高校一年の五月。
人付き合いが悪いでもなく、おっとりとしている少女には友達も何人か出来た。
家族は、両親と兄の4人家族。父は、よく海外出張をしていてほとんど家にはいないため、母・真奈、兄・流と3人暮らし。
スポーツが好きで、小・中学校とバスケ部。高校では走る事に重点を置いた、陸上部に入部。先輩方も優しくて、とてもいい雰囲気の中部活動に励んでいる。中学以来仲の良い亜美も、一緒に入ったので毎日の活動はとても充実している。
彼氏は特にいない、幼馴染の朔弥は恋愛対象と言うより、世話の掛かる弟のような感じがする。傍から見たら、朔弥がお兄さんに見えるらしいけど・・・。
いつもは朔弥や亜美が一緒、今日はいつもと違って一人だった。こういう日はのんびりと空を見上げながら歩いて。そして───
誰もが同じように存在している、そこで。
少女は、さっきまでの光景を思い出しながら走る。
それは世の理から外れた、不思議。
少女が夢見てきた世界と、驚愕の世界がそこにはあった───。

 その日、その時、少女の中を憧れと恐怖の感情が占めた。
 占めて、そして意識が遠のいていくのを感じた───。

初めに。 

2006年01月30日(月) 1時50分
皆さん初めまして^^
私は本サイトの管理人 ゆう です。

これからこのサイトでは
管理人による恥ずかしくも下手な小説を連載していこうと考えております。

皆さんには是非ともその感想、意見等頂けると幸いです。
尚、本小説は今だテーマがきまっておらず、
どのような小説になるかまったく予想できませんが
そのあたりはどうか、広い心をもって読んでいただければ幸いです。

それでは、本日は挨拶までとさせて頂きます。

管理人 ゆう