運ばれてきた頭痛。

October 24 [Fri], 2008, 15:23
 この雨の所為だと確信した。理由は要らなかった。

 一昨日から止まない頭痛は、この雨の所為なのだ。昨日も雨が降っていたが、あれは、違う。この雨が、運んできたのだ。

 どうしてだろう、ふと思う。

 どうしてあの雨は違うのに、この雨は、わたしに頭痛を運ぶのだろう。(わたしに何か恨みでもあるの)

 頭痛薬を飲んでも、少し横になっても、それどころか一日経っても二日経っても、止まない頭痛。時々襲う酷い吐き気。湧かない食欲。晴れない空と、わたしの、――。

 雨脚は弱まってきたようだけれど、運ばれてきた頭痛は強くなるばかり。

hanting

September 14 [Sun], 2008, 10:53
乱用しても財布が寂しくならないのでつい使ってしまうキャブ。
運転手は眠いのを隠そうともしない。
友人のいる中南米のとある後発発展途上国とは違って、深夜一人でタクシーに乗っても売り飛ばされる危機は感じない。そっと目を瞑ると気持ちの良い疲労感に襲われた。

“Hey you. Got there.”

まるで祖国の隣国民のような容貌をしたこの国の先住民ドライバーの声に意識を取り戻す。



降り立つ場所には玄関の扉が、私を拒むように存在した。そっと、音を立てないように鍵を開け、一瞬のうちに中に滑り込む。外は月明かり降る明るい闇夜。
今夜の収穫はなし。

気だるい深夜3時のことである。

鼠と逢瀬

July 23 [Wed], 2008, 22:16
狛鼠たちはくすくす笑っているようだった。遠路遥々豊岡神社までやって来た私に、労いの言葉もかけずに。

「何よ。急に会いたくなったんだから仕方ないでしょ」

吐き捨てて息を吐く。

豊岡神社は京都市の東側に位置する小さな神社だ。清水寺にも近く、決して山中奥地に在るわけでもないのだが、何分その位置が分かりにくく参拝人は少ない。

静かだった。町の中心部からそれほど離れていないにも関わらず、喧騒が遥か遠くに聞こえるような気がした。

かけら1

July 21 [Mon], 2008, 1:51
朝日が昇る前にそっと天幕から暗闇の中に飛び出した影がある。不寝の番をしていた兵たちがその影に気づき身を起こす。音を立てないように意識をして歩いているはずであるのに平然と見えるその足取りに思わず出そうになる感嘆の声を抑えて、ある兵士が彼の人物に声を掛けた。
「蒼夜殿」
薪の爆ぜる音がした。微かな炎の灯火が顔を照らし出す。
艶やかなその黒髪に負けずの美貌が正にこの戦場に咲く花のように美しく、それでいて何処か崇高で逞しく、凛とした表情を浮かべた平家の猛将の一人、蒼夜。軽く手を挙げて自分のことは気にしないように兵卒達に告げ、足を進めた。
夜明けは近い。人が夢から覚める気配がする。目指す土地――戦が起こるべくして起こる彼の地までまだ遠い。兵たちは今のうちによく休み、体力を回復しておく必要があるだろう。彼の地に付いてしまえば、夢など見ている暇もない。
蒼夜は昇り始めた朝日を横目に尚も足を進めた。目指すは陣の中央付近に位置する一つの天幕。それほど身分の高くない蒼夜が割り当てられたのは陣の端にある天幕であったから、少し距離があった。

Don't stop walking

July 21 [Mon], 2008, 1:41
救急車のサイレン。
ピンヒールがアスファルトを叩く。
時たま横を通るトラック。
夜食の詰まったのコンビニのビニール袋が揺れる。
遠くで電車が走る。
信号が赤から青へ。
ちかちかと光る。
“ひったくりに注意”の看板。マンホール。
蛍光灯。
自動販売機。
とまれの文字。

歩みを止めたらもう踏み出せない。夜の空気。


二度と朝はやって来ない。
P R
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