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孫社長の「検討してみましょう」から始動――約3カ月で導入した「海外パケットし放題」 / 2010年08月03日(火)
 ソフトバンク端末で海外のパケット通信を定額で利用できる「海外パケットし放題」が7月21日から開始された。料金は2011年6月30日までが日額0〜1480円、2011年7月1日以降が日額0〜1980円。対応機種は「世界対応ケータイ」対応のソフトバンク3G端末とiPhone、iPad、スマートフォンのXシリーズ。これまで、海外のパケット通信には従量課金制が採用されていたので、通信するほど高額になり、気軽にメールやインターネットを利用できる環境ではなかったが、今回の新サービスにより、そのハードルが下がったといえる。

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 海外パケットし放題はどのような経緯で実現したのか。また料金はどんな基準で設定されたのか。ソフトバンクモバイル マーケティング統括 料金サービス統括部 国際サービス部 事業企画課 課長の小林靖氏と、マーケティング統括 料金サービス統括部 国際サービス部 事業企画課の山本里香氏に話を聞いた。

●夏休みシーズンを目指して約3カ月で準備

 今回の海外パケットし放題が公になったのは、孫正義社長が4月下旬にTwitter上で「検討してみましょう」と宣言したことがきっかけだった。実際は孫社長がつぶやく前から水面下でプロジェクトが進んでいたのかと思いきや、本当に孫社長がつぶやいてから着手したのだという。「以前から海外でのパケット定額サービスは検討はしていましたが、会社全体で動いたのは孫社長がツイートしてからです。夏休みシーズンに何としても間に合わせたかったので、第1目標を7月として取り組みました」(小林氏)。

 通常、料金サービスの開始までには「半年ほどの期間を要する」(小林氏)が、今回はその半分ほどの3カ月弱でサービス開始に至ったのだから、スピードを求められたが故の苦労は想像に難くない。小林氏も「短期間で進めたことが最も大変でした」と振り返る。

※初出時に「5月上旬に『やりましょう』と宣言したことがきっかけだった」と明記しましたが、正しくは「4月下旬に『検討してみましょう』と宣言したことがきっかけだった」です。お詫びして訂正いたします。(8/3 12:15)

●競合他社のサービスを参考に料金を決定

 海外パケットし放題は2011年6月30日までは日額1480円で利用できる。この料金を安い、高いとみるかはユーザーによって異なるだろうが、従量課金制よりもはるかにリーズナブルになったことは明白だ。この1480円、そして2011年7月1日以降の1980円という額はどのような基準で決まったのだろうか。

 まず、出張や旅行など、海外に行くのは1カ月未満のケースがほとんどなので、「大きな負荷もなく一番使いやすいのが日額」(小林氏)と考えた。この日額料金を決定するに際には、NTTドコモのPCデータ通信の準定額制(12万パケットまで日額2000円)や、Wi-Fi経由で海外のパケット通信が利用できる、インターコミュニケーションズの「MiFi」(日額1580円)などの類似サービスを参考にした。

 同社は海外パケットし放題の料金について「動画などを利用する場合は日額の上限額を2980円にする」と案内している。この「動画など」にはどのようなサービスが含まれるのだろうか。小林氏は「詳細はまだ決まっていません。データ量が大きくなるようなサービスの利用が含まれます。案内できる準備が整ったら告知します。それまでに日額の上限が1480円や1980円を超えることはありません」と説明する。当面は動画も含めて日額1480円で利用できるので、とりあえずは安心だ。

 社内では「長期で滞在するお客さんもいるのでは?」という意見もあり、月額プランを用意する案も検討したそうだが、「大多数のお客さんは個人で旅行をするケース」(小林氏)だったため、今回は見送った。「複数のプランがあってもいいと思うので、お客さんの要望が強ければ、月額のプランも検討したいですね」(小林氏)。

 海外パケットし放題の魅力は「完全定額」であることはもちろん、専用端末をレンタルせずに、普段使っているケータイを「海外でもそのまま使える」ことと、「申し込み不要(※国内のパケット定額サービスに加入している必要はある)」であること。SIMロックフリーの端末と海外のSIMカードを調達する方法もあるが、異国の地で端末やSIMカードを購入することにハードルの高さを感じる人もいるだろう。手間をかけずに海外でパケット定額を利用できるのは、大きなメリットといえる。

 一方、申し込み不要であるために、海外パケットし放題をどのように告知するかという課題もある。その1つの方法として、ソフトバンクモバイルは7月からSMAPと白戸家が登場するCMをオンエアして周知を図る。「国際サービスのCMを投下したのはボーダフォン以来」(小林氏)。CMはソフトバンクモバイルのWebサイトから視聴できる。

●ネットワークの手動設定は「事前告知を徹底する」

 手軽に利用できるのが海外パケットし放題の魅力だが、海外に到着後、対応する通信事業者のネットワークに接続する必要がある点は注意したい。例えば韓国の場合、SK Telecomが対応事業者なので、同社のネットワークに接続すれば定額で利用できるが、他社のKTFやLGテレコムに接続すると、当然ながら定額の対象外となる。自動接続で必ずしも対応事業者へ接続するとは限らないので、場合によっては手動で設定する必要がある。ケータイの画面に「現在定額で接続中」といったアイコンなどは表示されないので、自分の設定だけが頼りになる。

 ネットワークを手動で設定する作業は、慣れないユーザーはその操作法に戸惑ったり、うっかり忘れてしまうこともあり得る。この点について山本氏は「Webサイトや請求書のレター、カタログ、モバイル版のWebサイトなどで事前の案内を徹底しています」と説明する。「今後の課題はいかに簡単に(対応事業者へ)接続できるか。究極的には自動で接続できればいいですね」(小林氏)

●海外パケットし放題の“カバー率”は約90%

 2010年7月20日現在、海外パケットし放題を利用できる国と地域は40で、「日本人の渡航先の90%近くをカバーしている」(山本氏)。一方、通常の国際ローミング(世界対応ケータイ)でS!メール(MMS)とWebを利用できる国と地域は141。カナダやメキシコ、マカオなど、海外パケットし放題が未対応の国と地域は多数あるので、同社は今後も対応地域の拡大に努める。「残りの10%(約100カ国)を埋めるのは非常に大変ですが、まずは渡航率の高いところからカバーしていきたいです」(小林氏)。

 なお、海外パケットし放題のカバー率は国や地域の「数」ではなく、海外でパケット通信をしている「ユーザー数」に占める割合を意味する。したがって90%という数字は、海外でパケット通信をする日本人の渡航者のうち、90%をカバーしていることを意味する。

 対応事業者は「1カ国につき1事業者というわけではない」と小林氏が話すとおり、事業者の拡大にも努める。実際、すでにオーストラリアは2社、台湾は3社の事業者が海外パケット通信し放題に対応している。現時点で1事業者のみ接続可能な国についても、今後はほかの事業者とも交渉していく構えだ。ただ、「海外では自国のサービスも含め、定額制を導入しているところが少なく、データ量に応じた額のプランを導入している事業者が多いので、交渉は簡単ではなかった」(小林氏)という。日本では標準的な“定額サービス”の文化をどこまで理解してもらえるかも、今後の対応国や事業者拡大のカギを握っているといえそうだ。

●SMSの送信は定額の対象外

 海外パケット通信し放題の対象となる通信は、S!メールとWebサイトへのアクセスだが、「SMSの送信」は含まれず、1通100円の送信料がかかるので注意したい(SMSの受信は国内外を問わず無料)。これは「SMSはパケット通信を使用していないため」(小林氏)。

 現行のソフトバンクの3G端末では、SMSとS!メールの新規作成のメニューが分かれている機種が多いので、海外ではS!メールの新規作成を選んでメールを作成するのが望ましい。SMSとMMS(S!メール)を同一アプリで管理するiPhoneの場合、件名を入力するか、画像などのデータを添付するとMMS扱いになる。このあたりは少々注意する必要がある。

 海外パケット定額の次は“通話定額”も期待されるが、現在は検討していないようだ。「国内のサービスもそうですが、お客さんのニーズはパケット通信の方が高いです。また、音声通話はどれだけ使ったかが分かりやすいですが、パケット通信は分かりにくいので、パケット定額の方が安心感があるといえます」(小林氏)。

 ソフトバンクモバイルはこれまでも「ホワイトプラン」や、スマートフォン向けの安価なパケット定額サービスを提供するなど、インパクトのある料金プランを打ち出してきた。これまで他キャリアが導入していなかった“海外パケット定額”に踏み込んだのも大きな決断であり、頻繁に海外へ訪れるユーザーには魅力的なプランだろう。今後は対象国や事業者が増え、さらに利便性が高まることにも期待したい。【田中聡,ITmedia】

【8月3日12時49分配信 +D Mobile
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100803-00000036-zdn_m-mobi
 
   
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