(無題) 

February 22 [Thu], 2007, 18:41
ぱたり、パタリと雨がトタンの屋根を叩く。

ナルトはこの音が苦手だった。
雨だと修業も出来ないし、何より家の中に響くこの音が

「おまえは一人なんだよ」

と告げている様に思えたから。




雨音の孤独  灯の愛



「明日も雨だってばよ…」
天気予報を見てうなだれた様子で、返事が返ってくる訳でない部屋にナルトは呟いた。
次の任務は火の国の富豪宅の草むしり。
雨天延期なのだ。

下忍になりたてのナルト達には、専らこのような任務が主だった。

「もう3日かー」

この雨が降り始めてから、もう3日が経つ。

それは即ち


「カカシせんせに会ってないなぁ」


任務がなく、雨天で修業もない(本来なら雨天でも修業出来るのだが、カカシが嫌がるので)となれば、ナルトがカカシに会うこともなくなる。
他にもサスケやサクラとも会っていないのだが、ナルトの脳裏に浮かんだ人物はカカシだけだった。

久しぶりに一人になったので、今まで当たり前だった部屋が広く感じ、違和感を覚える。
無意味に窓辺とベッドを往復してみても、雨音は絶え間なく鳴り続け
今日何度も見上げた空に再び目を移すと



「うわっ!?」



窓に映る黒い影。
不自然に逆立った銀髪、額当てに隠された左目は、ナルトが思い描いていた人、そのものだった。

「何してるんだってばよ?」
窓を開け、嬉しさを押し隠しぶっきらぼうに問えば
いつもの調子でカカシは『散歩よ』と笑いながら答えた。

「こんな雨なのに?」
「雨に濡れたい時もあんの。それに………」

カカシは一度そこで言葉を区切り、ナルトの部屋へ侵入した。
濡れた体から落ちる雫は部屋の木の床に染みを作っていく。

パタリ
パタリ、と。

床に染みがいくつか出来た時、カカシは言葉を続けた。


「呼んでたでしょ、俺のこと」


優しくナルトを見つめて。
ナルトの左胸を指差して



「ここで」


半分以上隠された顔。
唯一露出している右目が優しく弧を描く。

「俺を呼んだでしょ。」
「カカシ先生…」

カカシに指された胸がズキン、と痛んだ。
運動をしている訳でもないのに早く、強く鳴り響く。
「会いたかったんでしょ、俺に」

カカシの言葉がナルトを取り巻く。
そして、ナルトの中に強い思いが生まれた。

『会いたかった』
『淋しかった』
『カカシ先生が来て嬉しい』

一度認識してしまった思いは、ただ広がる事しかしらない。



次の瞬間、ナルトは濡れる事も厭わずにカカシに強く、つよく抱きついた。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:trbrmika
読者になる
2007年02月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28
最新記事
最新コメント
Yapme!一覧
読者になる