怖い夢(その10:「お楽しみもほどほどに」)
2010年06月06日(日) 0時05分
怖い夢(その十:「お楽しみもほどほどに」)
僕は高校の剣道部の若きエース。
一年生ながら無敵の強さを誇っている。
中学校時代は三年連続で県大会の個人戦を制し、
全国の強豪校から誘いを受けたが、全部断って
地元の県立高校に進学した。
高校でも早速頭角を現した僕は、
団体戦のメンバーにも選ばれ、対外試合でも活躍を続けた。
夏を迎え、恒例の遠征シーズンが訪れた。
県下の高校の選抜メンバーで、全国でも昔から圧倒的な強さを誇る、
九州の△△県まで武者修行を兼ねて出掛けるのだ。
メンバーは神戸まで電車で移動し、そこかあら九州へはフェリーで渡る。
関係車両や荷物類の運搬などもあり、フェリーが便利という判断であった。
神戸から九州までは丸一日ちょっとの船旅だ。
一行は神戸に到着した。
フェリーに乗り込むと、あらかじめ、選手の部屋割りが定めてあった。
参加している選手は、団体戦と個人戦のメンバーを合わせて二十名ほど。
もちろん僕も両方のメンバーに名を連ねている。
同行する学校関係者や女子マネージャーたちの部屋も別に用意されている。
フェリーが出発するまでの手持ち無沙汰な時間に、
僕は同期の仲間何人かと誘い合わせ、女子の部屋に
遊びに行ってみることにした。
女子だって我々のような男子選手と交流するのは楽しみだろう。
好奇心旺盛な僕は、先頭を切って女子の部屋を訪ねた。
すると・・・
(あれ?何だか随分と賑やかだぞ)
中を伺うと、他の高校の女の子だろうか、たくさんの人数が集まり、
国際色豊かな交流が始まっているではないか。
どう見ても日本人ではない、褐色の肌をした女子や、
白人系の女の子、それから、タガログ語のような言語をしゃべる
アジア系の女子など・・。
「何だか妙な雰囲気だね。異文化交流会をやっているみたいだよ。
そういえば、このフェリーには、夏休みを利用して
各国からの交換留学生が多く同船しているって、
引率の先生が言ってたよな。」
と、僕が言いながら後ろを振り返ると、
一緒に来ていたはずの同級生が誰もいないではないか。
(何だよ。怖気づいて引き帰しちゃったな。まったく、根性なしの連中だな!)
僕は、そのまま勢いに任せて、そして興味本位も手伝って、
思い切って声を掛けた。
「やあ、お嬢さんたち。楽しそうにやっているね。
僕、■■高校剣道部の○○っていうんだけど、
良かったら一緒に雑談でもしない?」
すると、そこにいた女の子たちは、
とても嬉しそうに笑顔を向けるではないか。
「キャー、あの有名な○○くんが来てくれるなんて、最高だわ!」
「うそみたい!剣道のホープって、マスコミでも騒いでいるわよね。」
「ほんとだ!甘いマスクに清楚な雰囲気の美少年剣士って、
聞いていたとおりだわ!」
女の子たちは口々に言って嬌声を上げるではないか。
(へえ?僕ってそんなに有名だったの?全然知らなかった。
田舎だし、テレビや雑誌もあんまり見ないからなあ。そういえば時々、
出版社とかテレビ局とかのマスコミが取材したいと
学校に来ていたみたいけど、そういうことだったのか。)
あまりの反応に少したじろいでいると、
その中にいた褐色の肌の美人高校生が、
流暢な日本語で話しかけてきた。
おそらくブラジルからの留学生だろう。
「ねえ、○○くん!せっかくだから私と外でデートしてよ!
こんなチャンス、めったにないわ。日本に来た思い出に、
一度でいいから経験しておきたいわ!
ねえみんな、ちょっとだけ、いいでしょ?」
すると、他の女の子たちも同調して言った。
「ええ、いいわよ!楽しんでらっしゃい。こうなったら順番だわ。
一人ずつ順番にお相手してもらいましょう!」
(ええ?いいのか?こんな展開で・・。
でも、デートって言っても、ここは狭いフェリーの中だし、
行くところがないじゃないか。周りに同じ学校の人間も沢山いるのに・・)
呆然としていると、誰かがそれを察して言った。
「あ、○○くん、場所を気にしているんでしょ。
そうか、知らなかったのね。今日は海上が荒れ模様だから、
念のためフェリーは欠航。一晩ここに停泊して、
明日の午後に出発するってさっき引率の先生から連絡があったのよ。」
そしてその子は続けた。
「だから、今日は外に出掛けても大丈夫。
明日の朝までに戻ってくればいいの。せっかくのチャンスだから、
遠慮せずに楽しみましょう!」
予期せぬ展開に戸惑うばかりの僕だったが、
ここまで来たら、後戻りするのも男がすたる。
彼女たちの言うとおりだとすると、
今日はこのままフェリーに残っていても仕方がない。
どうせ各自が思い思いに外出したり、部屋に残ってゴロゴロしたりと、
適当に時間を過ごすに違いない。
であれば、せっかくのお誘いだ。こんなチャンスは珍しいし、
お相手するとしよう。
度胸を決めた僕は、ご指名にあずかり、
まずはブラジル人の彼女と一緒に出掛けることにした。
するとその子は嬉々として、皆にウインクを投げながら手を振り、
僕の腕に腕をからめて、颯爽と外へと出掛けるのだった。
外へ出ると、繁華街までは目と鼻の先だった。
多くの飲食店や遊興施設が、
街の中心部から山の手にかけて広く展開されている。
神戸の街といえば、昔から外国人が多く集まる場所としても有名だ。
貿易港でもあるので、多くの船員や関係者が街に溢れている。
そのせいもあるのだろうか、
若い男女二人が腕を組んで街を歩いていても、全く違和感はない。
それにしても、女の子の行動の大胆で洗練されていることといったら・・・。
とても、日本の、それも片田舎の高校生には考えられない行動だった。
近くのカフェで軽く食事を済ませると、未成年なのにビアホールへと誘われて、
無理やり飲めないビールを飲まされて・・。
ふと気がつくと、周りにはさっきフェリーにいた外人の女子たちが集まって、
僕を取り囲んでいるではないか。
「あ・・あれ?みんな来ちゃったの?そうか、
ひとりずつだと時間がとっても足りないもんね。
それで、待ち合わせて集合したのか。」
酔いが回ってきた僕は、だんだんと舌がもつれ、
呂律がまわらなくなってきた。
気がつくと、彼女たちの手が僕の体のあちこちをタッチしている。
誰だ?強引にキスしたやつは!うっ・・・苦しい。あ、そこは。
や、やめてー。
どのくらい時間が経ったのだろう。
ふと気がついて我に返ると、
僕は見慣れない安モーテルの部屋に一人残されていた。
急いで起きようとすると、頭がひどく痛い。
(痛あ!何だ、この頭痛は。)
しばらく呆然としながら、考えを巡らせていると、
だんだんと状況を思い出してきた。
急いで時計を見ると、翌日の夕方になっているではないか。
(うわ、まずい!丸一日経っちゃっている。しかも、酷い二日酔いだ。
未成年飲酒だぞ、これは・・。こりゃ大変なことになった。
どうしよう。そうだ、フェリーはどうした?とっくに出航している時間だ。)
焦った僕は、ともかくすぐに学校へ連絡しようと、
フロントまで駆け下りて、状況をかいつまんで説明した。
居合わせたフロントの従業員は、驚いた様子で僕の報告を聞くと、
思わずそばにあったテレビを指差すではないか。
「あの、あなたですね。今、テレビのニュースで
大騒ぎになっていたとこですよ。
『遠征途中の高校生、外出したまま行方不明。目撃証言から、
不良外国人グループに拉致されて金品を揺すられた挙句、
人身売買容疑で訴えられており、警察が全力で行方を捜している』って。」
ええ?そんなバカな。
何でフェリーに不良外国人が乗り合わせているんだ?
そうか、不良女子留学生が、獲物に狙いをつけて
仕組んだ行動だったんだな?
僕が有名人だと知っていて、たかった挙句に因縁をつけて・・。
いいなりにさせて、そのうち親からも巻き上げるつもりなんだ。
道理で、同級生の女子マネはそこに居なかったはずだ。
嵌められた。どうしよう。学校や親に話しても、
状況を知ったら素直には信じてくれないだろう。
飲酒は事実だし、記憶にはないけど未成年売春まで・・。
学校は退学、剣道の道もアウト、それどころか、犯罪者扱いになっちゃう。
そんな。誰か、助けて!事情を話すから、誰かわかって、助けてー!
・・と騒いでいたら目が覚めた。ああ、怖かった!
僕は高校の剣道部の若きエース。
一年生ながら無敵の強さを誇っている。
中学校時代は三年連続で県大会の個人戦を制し、
全国の強豪校から誘いを受けたが、全部断って
地元の県立高校に進学した。
高校でも早速頭角を現した僕は、
団体戦のメンバーにも選ばれ、対外試合でも活躍を続けた。
夏を迎え、恒例の遠征シーズンが訪れた。
県下の高校の選抜メンバーで、全国でも昔から圧倒的な強さを誇る、
九州の△△県まで武者修行を兼ねて出掛けるのだ。
メンバーは神戸まで電車で移動し、そこかあら九州へはフェリーで渡る。
関係車両や荷物類の運搬などもあり、フェリーが便利という判断であった。
神戸から九州までは丸一日ちょっとの船旅だ。
一行は神戸に到着した。
フェリーに乗り込むと、あらかじめ、選手の部屋割りが定めてあった。
参加している選手は、団体戦と個人戦のメンバーを合わせて二十名ほど。
もちろん僕も両方のメンバーに名を連ねている。
同行する学校関係者や女子マネージャーたちの部屋も別に用意されている。
フェリーが出発するまでの手持ち無沙汰な時間に、
僕は同期の仲間何人かと誘い合わせ、女子の部屋に
遊びに行ってみることにした。
女子だって我々のような男子選手と交流するのは楽しみだろう。
好奇心旺盛な僕は、先頭を切って女子の部屋を訪ねた。
すると・・・
(あれ?何だか随分と賑やかだぞ)
中を伺うと、他の高校の女の子だろうか、たくさんの人数が集まり、
国際色豊かな交流が始まっているではないか。
どう見ても日本人ではない、褐色の肌をした女子や、
白人系の女の子、それから、タガログ語のような言語をしゃべる
アジア系の女子など・・。
「何だか妙な雰囲気だね。異文化交流会をやっているみたいだよ。
そういえば、このフェリーには、夏休みを利用して
各国からの交換留学生が多く同船しているって、
引率の先生が言ってたよな。」
と、僕が言いながら後ろを振り返ると、
一緒に来ていたはずの同級生が誰もいないではないか。
(何だよ。怖気づいて引き帰しちゃったな。まったく、根性なしの連中だな!)
僕は、そのまま勢いに任せて、そして興味本位も手伝って、
思い切って声を掛けた。
「やあ、お嬢さんたち。楽しそうにやっているね。
僕、■■高校剣道部の○○っていうんだけど、
良かったら一緒に雑談でもしない?」
すると、そこにいた女の子たちは、
とても嬉しそうに笑顔を向けるではないか。
「キャー、あの有名な○○くんが来てくれるなんて、最高だわ!」
「うそみたい!剣道のホープって、マスコミでも騒いでいるわよね。」
「ほんとだ!甘いマスクに清楚な雰囲気の美少年剣士って、
聞いていたとおりだわ!」
女の子たちは口々に言って嬌声を上げるではないか。
(へえ?僕ってそんなに有名だったの?全然知らなかった。
田舎だし、テレビや雑誌もあんまり見ないからなあ。そういえば時々、
出版社とかテレビ局とかのマスコミが取材したいと
学校に来ていたみたいけど、そういうことだったのか。)
あまりの反応に少したじろいでいると、
その中にいた褐色の肌の美人高校生が、
流暢な日本語で話しかけてきた。
おそらくブラジルからの留学生だろう。
「ねえ、○○くん!せっかくだから私と外でデートしてよ!
こんなチャンス、めったにないわ。日本に来た思い出に、
一度でいいから経験しておきたいわ!
ねえみんな、ちょっとだけ、いいでしょ?」
すると、他の女の子たちも同調して言った。
「ええ、いいわよ!楽しんでらっしゃい。こうなったら順番だわ。
一人ずつ順番にお相手してもらいましょう!」
(ええ?いいのか?こんな展開で・・。
でも、デートって言っても、ここは狭いフェリーの中だし、
行くところがないじゃないか。周りに同じ学校の人間も沢山いるのに・・)
呆然としていると、誰かがそれを察して言った。
「あ、○○くん、場所を気にしているんでしょ。
そうか、知らなかったのね。今日は海上が荒れ模様だから、
念のためフェリーは欠航。一晩ここに停泊して、
明日の午後に出発するってさっき引率の先生から連絡があったのよ。」
そしてその子は続けた。
「だから、今日は外に出掛けても大丈夫。
明日の朝までに戻ってくればいいの。せっかくのチャンスだから、
遠慮せずに楽しみましょう!」
予期せぬ展開に戸惑うばかりの僕だったが、
ここまで来たら、後戻りするのも男がすたる。
彼女たちの言うとおりだとすると、
今日はこのままフェリーに残っていても仕方がない。
どうせ各自が思い思いに外出したり、部屋に残ってゴロゴロしたりと、
適当に時間を過ごすに違いない。
であれば、せっかくのお誘いだ。こんなチャンスは珍しいし、
お相手するとしよう。
度胸を決めた僕は、ご指名にあずかり、
まずはブラジル人の彼女と一緒に出掛けることにした。
するとその子は嬉々として、皆にウインクを投げながら手を振り、
僕の腕に腕をからめて、颯爽と外へと出掛けるのだった。
外へ出ると、繁華街までは目と鼻の先だった。
多くの飲食店や遊興施設が、
街の中心部から山の手にかけて広く展開されている。
神戸の街といえば、昔から外国人が多く集まる場所としても有名だ。
貿易港でもあるので、多くの船員や関係者が街に溢れている。
そのせいもあるのだろうか、
若い男女二人が腕を組んで街を歩いていても、全く違和感はない。
それにしても、女の子の行動の大胆で洗練されていることといったら・・・。
とても、日本の、それも片田舎の高校生には考えられない行動だった。
近くのカフェで軽く食事を済ませると、未成年なのにビアホールへと誘われて、
無理やり飲めないビールを飲まされて・・。
ふと気がつくと、周りにはさっきフェリーにいた外人の女子たちが集まって、
僕を取り囲んでいるではないか。
「あ・・あれ?みんな来ちゃったの?そうか、
ひとりずつだと時間がとっても足りないもんね。
それで、待ち合わせて集合したのか。」
酔いが回ってきた僕は、だんだんと舌がもつれ、
呂律がまわらなくなってきた。
気がつくと、彼女たちの手が僕の体のあちこちをタッチしている。
誰だ?強引にキスしたやつは!うっ・・・苦しい。あ、そこは。
や、やめてー。
どのくらい時間が経ったのだろう。
ふと気がついて我に返ると、
僕は見慣れない安モーテルの部屋に一人残されていた。
急いで起きようとすると、頭がひどく痛い。
(痛あ!何だ、この頭痛は。)
しばらく呆然としながら、考えを巡らせていると、
だんだんと状況を思い出してきた。
急いで時計を見ると、翌日の夕方になっているではないか。
(うわ、まずい!丸一日経っちゃっている。しかも、酷い二日酔いだ。
未成年飲酒だぞ、これは・・。こりゃ大変なことになった。
どうしよう。そうだ、フェリーはどうした?とっくに出航している時間だ。)
焦った僕は、ともかくすぐに学校へ連絡しようと、
フロントまで駆け下りて、状況をかいつまんで説明した。
居合わせたフロントの従業員は、驚いた様子で僕の報告を聞くと、
思わずそばにあったテレビを指差すではないか。
「あの、あなたですね。今、テレビのニュースで
大騒ぎになっていたとこですよ。
『遠征途中の高校生、外出したまま行方不明。目撃証言から、
不良外国人グループに拉致されて金品を揺すられた挙句、
人身売買容疑で訴えられており、警察が全力で行方を捜している』って。」
ええ?そんなバカな。
何でフェリーに不良外国人が乗り合わせているんだ?
そうか、不良女子留学生が、獲物に狙いをつけて
仕組んだ行動だったんだな?
僕が有名人だと知っていて、たかった挙句に因縁をつけて・・。
いいなりにさせて、そのうち親からも巻き上げるつもりなんだ。
道理で、同級生の女子マネはそこに居なかったはずだ。
嵌められた。どうしよう。学校や親に話しても、
状況を知ったら素直には信じてくれないだろう。
飲酒は事実だし、記憶にはないけど未成年売春まで・・。
学校は退学、剣道の道もアウト、それどころか、犯罪者扱いになっちゃう。
そんな。誰か、助けて!事情を話すから、誰かわかって、助けてー!
・・と騒いでいたら目が覚めた。ああ、怖かった!



