松本清張 「男たちの晩節」

2010年04月15日(木) 0時05分
寒暖の激しい今日この頃、どうにも妙な天気が続く。
GWの声がそろそろ・・・ まだちょっと気が早いかな。
爽やかな気候、最も清清しい季節が近づくのは心が躍る。

そんなGWの楽しみのひとつにまた、松本清張シリーズを添えよう。



清張作品は文春文庫や講談社文庫、新潮文庫などが多いのだが、
この短編集は角川文庫のシリーズ収録となっている。

<収録作品データ>
■いきものの殻      「別冊文藝春秋」 1959.12
■筆写           「新潮」       1964.3
■遺墨           「小説新潮」    1979.3
■延命の負債       「小説新潮」    1977.9
■空白の意匠       「新潮」       1959.4-5
■背広服の変死者    「文学界」     1956.7
■駅路           「サンデー毎日」 1960.8.7


サラリーマンなどを主人公にした作品を集めたシリーズのようだ。
この中では「駅路」が有名で、清張作品の名作としては
必ず取り上げられる秀作である。

他の作品は未だ筆写は読んでいないので、
楽しみに読むことにしよう。


<いきものの殻>

作品が描かれた時代背景としては、昭和30年代中盤、
日本が戦後復興に向けて本格的に走り出し、
高度成長を迎え、日本企業が右肩上がりで元気な頃が舞台である。

都内の名門企業だろう、
そこを最低でも次長級職以上で定年した幹部OB会(社人会)の、
年に一度の懇親会がホテルで賑々しく開催される。
現役時代に総務部長として終えた主人公(波津良太)が、
毎年その場へ出席しては、旧知の同僚・先輩・後輩たちと
語り合いながらも、現役時代のライバルや、自分の地位を脅かした
優秀な後輩たちの現在の様子を垣間見ては一喜一憂する。

そして、受付の現役社員が自分を知らないことに落胆したり、
元部下の自分を敬わない態度に立腹したり、
挙句には、課長で終えてこの会への出席資格を持たない
元部下の天下り先へ、わざわざ優越感に浸るためだけに
尋ねたりする・・・。

いちいち、サラリーマンのしがない習性や悲哀が
その言動に凝縮されており、
「そうそう」と頷ける描写のオンパレードだ。

そして、社員はやがて殻となるが、
何十年にも亘って事業の舞台となり続ける高層ビルの社屋だけは
まるで社員の生き血を吸うように増殖し続ける・・・。

サラリーマン哀歌を代表する小作である。
でも、あまりに身につまされ過ぎて、
読後感は決して爽やかではない。

サラリーマン、ああ無常・・・。

  
<筆写>

うっわー・・・
何だこれは。老醜。
70歳過ぎの老人が使用人の中年女性に想いを寄せる
奇妙なハナシだけど、
読むに耐えない。

清張作品にたまにある、老醜を克明に描いている作品だけど
正直、「カンベンしてください、清張先生」

久しぶりの、ノーコメント作品。オエッ
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