第一人者のトロント大名誉教授が語る「バイリンガルの本当の育て方」

December 31 [Tue], 2013, 12:59
UGG《幼児への英語教育熱が高まる中、幼稚園や保育園で英語の授業が行われたり、英語塾が人気を集めたり、英語で生活をする幼稚園も各地に登場するなど、英語教育環境が多様化し、拡大している。その環境を選ぶ際、親はどんなことに気をつければよいのか。バイリンガル教育が専門の中島和子トロント大名誉教授に話を聞いた。(阿部佐知子)》

■幼児は語学学習の天才

 −−未就学児など、低年齢から子供に英語を学ばせたい親が増えています

 中島 「一般的に2〜12、13歳までが『言語形成期』とされています。鋭い感性をもつこの時期は、体験を通じて自然に言語を学ぶことができ、言語習得の適齢期。この時期に母語の育成と同時に英語に触れることは、将来バイリンガルに育てるためには有効です」

 −−日本語力が不十分な中、英語を学びはじめることに不安もあるのですが

 中島 「早くから『英語に触れること』が日本語の形成に悪影響を与えることはありません。接触の質や量によって異なりますが、幼児は母語が犠牲にならない環境では5つぐらいの言語に耐える能力があるといわれています。この重要な時期を言語習得に使わないのはもったいないのでは」

 −−日中の生活をすべて英語で行う「英語幼稚園」も増えています。日本語の形成に問題はないでしょうか

 中島 「日本は、日常生活がほぼ日本語で成り立つ、日本語が圧倒的に優勢な『モノリンガル』社会。幼稚園生活が一部英語であっても、社会や家庭で母語である日本語が育ちやすい環境といえます。ただ2カ国語が使えるバイリンガルとは、しっかりとした母語があって成り立つもの。4〜5歳からは、母語である日本語の読み書きもきちんと学ぶ必要があります」

■家庭で英語を強要しないで

 −−日本語が母語の幼児が、英語漬け生活をする際の注意点は

 中島 「英語と日本語の違いが分かる小学校高学年以上と違い、幼児は混乱しやすい。使用する教室を分けるなど、英語を使う場面と日本語を使う場面を変え、使い分けができるような工夫が必要です。また、英語を話すよう強要しないことも重要。英語で返答することを強要すると、特に習い始めの時期は言葉そのものを話そうとしなくなる。自然に子供の口から英語が出てくるまでじっくり待つ必要があります」

 −−家庭で気をつけることは

 アクセサリー中島 「英語を話せる子供を育てることが目的になり、家でも英語を話したり、話すことを求めたりする親もいるようですが、家庭で母語を育てることは、親とのコミュニケーションや、子供の情緒の面でも不可欠。単に英語を話せればいいのか、日英がきっちり使えるバイリンガルを育てたいのか。よく考えてほしい」

 −−小学校に進学し英語に触れる時間が減ると忘れてしまう子供も多い

 中島 「4、5歳の子供は習得しても忘れるのも早いので、学習を継続することは重要。また、話せるだけではなく読み書きも必要です。バイリンガルを育てるには20年かかります」

■母語・日本語もしっかり育てて

 −−母語と違う言語で授業をするイマージョン教育が注目されています

 中島 「カナダで、英語とフランス語の使えるバイリンガルを育てる目的で、50年前から行われている教育法です。英語が母語の子供に対し、フランス語を使って行う授業を取り入れる。学力や母語を犠牲にせずに、高度な外国語力を習得できるひとつの方法として成功しています。日本でのバイリンガル育成にも応用できます」

 −−同じアルファベットを使い、似たような単語を持つフランス語と英語の場合と同じ方法が、日本語と英語の習得にも当てはまりますか

 中島 「日本語には漢字もあり、日英両方の習得は、英仏の習得以上の時間がかかることは事実です。ただ、そのことがバイリンガル教育に不利だということではありません。逆に、日本語と英語は全く違うので混乱しにくいという利点もあります」

 −−日本でもイマージョン教育は広がりますか

 中島 「国語以外の授業をほぼ英語で行うやり方を取り入れている学校もありますが、現状では私立学校に限られています。カナダは4〜16歳が義務教育で、公教育で一貫したイマージョン教育のプログラムを取り入れることが可能になっています」

 −−英語を習得させるために、単身や親子で低年齢から海外に留学するケースもあります

 イザベルマラン中島 「日本語を学ぶ環境がなければ、母語である日本語が育たない恐れがある。思春期過ぎた中学生か、高校生くらいであれば問題はないでしょう。親子留学であれば一緒に行く親がしっかり母語を育て、日本語で教科を学ぶ補習校などに通うことが必要だと思います」

 【プロフィル】中島和子(なかじま・かずこ) 昭和11年、東京都生まれ。国際基督教大学卒。トロント大言語学博士課程修了。トロント大学教授、名古屋外大外国語学部教授などを歴任。特に年少者のバイリンガル教育に関する著書多数。
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