マリー・アントワネットの時計
November 19 [Mon], 2007, 0:53

歴史の中で、最高の時計職人をひとりだけあげなさい、と言われたら、
時計に詳しい人ならば、ほとんどの人が、18世紀後半から19世紀はじめに
かけて活躍した、アブラアン・ルイ・ブレゲの名前をあげると思います。
時計の歴史が、彼のおかげで200年進歩した、などと言う人もいるほど。
とにかく、常人をはるかに超越したアイデアと、「神の腕」をあわせ持つ人物
だったことは間違いありません。
その史上最高の時計師が製作した時計の中でも、最高傑作の呼び声が高い
のが、「マリー・アントワネットの懐中時計」です。
製作依頼者は、あの、フランス王ルイ16世の王妃、マリー・アントワネット。
なにしろ、並外れた贅沢好きでしられたこの王妃が、文字通り、金に糸目を
つけず「この世で最高の時計を」ということで作らせた時計です。史上最高の
時計師・ブレゲが、知力と技術力の限りをつぎ込み、数多くの複雑な機能を
搭載した、傑作中の傑作でした。
しかし、依頼者の王妃は、注文した時計の完成を見ることなく、フランス革命に
より、断頭台の露と消えました。
それから、数奇な運命をたどった後、イスラエルの博物館に所蔵されていた
「マリー・アントワネットの時計」ですが、実は今から25年前に盗難に遭い、
行方不明となっていたのです。
おそらく、二度と世の中に姿を現すことはないだろう、と思われていた、その
「幻の名品」が、先日、思いがけず発見され、元の博物館に戻ったという
ニュースが流れました。いきさつについては、はっきり伝えられていませんが、
まさに、奇跡的な事件にはちがいありません。25年前に盗み出した犯人は
捕まっていないらしいのですが・・・。
この時計、もし値段をつけるとしたら、いくらになるのでしょうか。残っていた
図面と写真を元に、最近製作が進められていた「レプリカ」が、予想価格で、
およそ10億円とも言われていましたから、その本物となると、その10倍?
あるいは100倍の値打ちがあるでしょうか・・・。とにかく、天文学的な数字に
なることはまちがいありませんね。
まあ、値段はともかく、貴重この上ない、人類の文化遺産である時計が、再び
日の目をみることになったのは、すばらしいことです。
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