間違った食事

December 17 [Wed], 2008, 16:29
 運動でエネルギーを消費したら、いつもよりたくさん食べても大丈夫?

 「気持ちはわかるけれど、そうはいきません」。
お茶の水女子大准教授、曽根博仁さん(生活習慣病医学)はクギを刺します。

 例えば、体重60キロの人が30分間のウオーキングで消費するエネルギーは100キロ・カロリー程度しかないのです。
100キロ・カロリーの食品といえば、ご飯なら茶わん半分、食パンなら6枚切りの3分の2枚ほどだけで、思ったより食べられないのです。
運動だけでエネルギーを消費するのは実に難しいことがわかります=表1参照=。

 運動直後に1、2キロ体重が減っても、それは汗が出て脱水状態になっただけ。
「やせた」と早合点し、その分食べて内臓脂肪が増えれば、血糖値を下げるインスリンの働きを抑える別のホルモンが出ます。
これでは、せっかくの運動効果が相殺されてしまうのです。

 昨夏、糖尿病予備軍と指摘された茨城県の会社員、中島裕一さん(51)は、週4日ほど、昼休みに20分と夜に1時間のウオーキングを始めました。
最初は「運動すれば、いいだろう」と、脂っこい食事や間食も多いままの状態で続けたのですが、1か月後の検査では、ほとんど効果はありませんでした。
当時は身長170センチ、体重84キロの肥満体型で、食後2時間の血糖値は176でした。

 その後、運動を続けながら、間食をやめ、ご飯を茶わん半分程度に抑え、毎日の体重を記録することにしました。
その結果、今春には、体重は67キロまで落ち、食後2時間の血糖値は128まで下がり、とうとう予備軍脱出に成功したのです。
BMI値も29.1から23.2に、肥満からふつうになっています。

 曽根さんは「運動と食事は、糖尿病予防、改善の2本柱で、どちらも欠かせない」と話しています。

 すでに薬で血糖値を下げている患者は、空腹時などに運動すると、逆に低血糖状態になる恐れがあるといいますから注意が必要です。
「治療中の人が運動をする際は、医師に相談してください」と注意を促していました。

BMI値が、29.1から23.2に減っています。

「Body Mass Index」体格指数
 体重(`) 身長(b) の2乗で割った数値で、
日本肥満学会の判定基準では18.5未満を「やせ」、
18.5〜25.0未満を「ふつう」、25.0以上を「肥満」と区別。☆

食後1時間からが最適

December 17 [Wed], 2008, 16:12
 糖尿病予防の運動は、いつ行うのが良いのか――。
実は、より効果を高められるタイミングがあるのです。

 「食後1時間ぐらいから始めるのが最適」と、お茶の水女子大准教授、曽根博仁さん(生活習慣病医学)は話してくれました。

 糖尿病患者、予備軍の血糖値は、特に食後1〜2時間ぐらいで最高になります。
だから、血糖値の上昇が始まる時間帯に運動をぶつける、という考え方のようです。


 食後に血糖値が高くなるのは、食べ物が胃で消化された後、その中の糖質が小腸でブドウ糖に分解、吸収され、血液中に入るからです。
健康な人は、インスリンの働きで血糖値が正常に保たれますが、食べ過ぎ、運動不足などの影響でインスリンが効きにくい人は高くなってしまうのです。

 高血糖状態は血管を傷つけ、動脈硬化などの危険性を高めます。ところが、運動で筋肉が刺激されると、大体15〜20分で血糖を効率的に取り込む状態になるので、高血糖のピークを抑えやすくなるというわけなのです。

 こうした運動を長期的に続けていれば、結果的に、体が高血糖にさらされる時間の大幅に削減が期待できるのです。

 糖尿病予備軍の中には、空腹時は正常なのに食後だけ血糖値が高くなる人も多いのです。この状態が続くと、そのうち、本格的な糖尿病に進行する恐れが高まるので、食後の運動の意味は大きいといえます。

 食後1〜2時間の血糖値が200を超える人が、食事45分後から45分間の自転車運動をした場合、160前後まで下がったというデンマークの研究報告もあります。

 とはいえ、「仕事の都合などで食後の運動は難しいという人は、そんなに神経質にならなくてもよい」と曽根さん。
「少なくとも1日おきに運動すれば、血糖を効率的に消費する体になっていくので、まずは習慣にすることが大事です」と指摘していました。

「ややきつい」程度で

December 17 [Wed], 2008, 16:04
 糖尿病の予防を目的にする場合、どの程度の強さの運動が必要なのだろうか。

 お茶の水女子大准教授の曽根博仁さん(生活習慣病医学)は「簡単に言えば、自分で『ややきつい』と感じるぐらい」と解説する。

 運動中の感覚としては、
〈1〉呼吸は弾むが、会話はできる、
〈2〉軽く汗ばむ――そんな程度がちょうど良いいのです。
息が切れて会話できないようでは、きつすぎます。
逆に、歌を歌いながらできたり、全然汗が出なかったりするのは、軽すぎるといわざるを得ません。

 心拍数(1分当たり)でいうと、安静時心拍数(60〜70ぐらい)と最高心拍数(220から年齢を引いた値)の幅の中で、5〜6割に当たる程度(計算式を参照)。
40歳なら120〜130、60歳なら110〜120が目安になります。

 曽根さんによると、「ややきつい」運動で筋肉が刺激されると、筋肉が血中の糖を取り込む働きが活発になるといいます。

 一方、あまり激しい運動をすると、体はそれを強いストレスと感じ、ストレスに対抗するホルモンを出してしまいます。
これらには血糖値を上昇させる作用もあり、激しい運動は逆効果になりかねないと忠告しています。

 50歳ごろから糖尿病予備軍と指摘されていた新潟県の井出勝正さん(63)。
「老後、薬漬けになりたくない」と6年前、自力で予備軍から脱出しようと決意しました。
始めた運動は、週1回、30〜40分かけて行う5キロのジョギングと、ほぼ毎日、室内でテレビを見ながら行う健康器具の足踏み運動=写真=。
無理して三日坊主では意味がないと、どちらも「ややきつい」運動だったといいます。

 それでも、140あった食後2時間の血糖値は、1年で96まで下がり、無事、糖尿病予備軍を脱しました。
次第に運動に慣れ、今は1時間で10キロ走らないと手応えがないほどです。

 「体力がつくと『ややきつい』と感じる運動も変わってきます。体力に合わせて運動強度を変えると効果が持続します」と曽根さんは話す。


☆ややきつい運動に当たる心拍数

(最高心拍数−安静時心拍数)×0.5か0.6+安静時心拍数
最高心拍数=220-年齢 安静時心拍数は60か70ぐらい
(例)60歳の人(安静時心拍数が60の場合)
が強度50%の運動をしようと思う場合の目標心拍数
(220-60-60)x0.5+60=110拍

運動の目安は30〜40分継続

December 17 [Wed], 2008, 11:51
 国内に患者と予備軍合わせて約1870万人といわれる糖尿病――。
お茶の水女子大准教授の曽根博仁さん(生活習慣病医学)は、予防や治療は、
適切な“食事”“運動”が柱になるのですが、
「糖尿病を防ぐ運動にはコツがある」と話してくれました。

 まず、運動にかける時間は、「20分以下ではもったいない」と曽根さん。
「目安は30〜40分、理想は1時間」とアドバイスしてくれました。

 糖尿病は、血液中の高濃度の糖が血管を傷つけ、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中、
失明、腎不全などを招く恐ろしい病気です。
大半は、食べ過ぎや運動不足などが関係する2型糖尿病なのです。

 曽根さんによると、運動すると、血糖はエネルギーとして筋肉の細胞に取り込まれていきます。
このとき働くのが、細胞内の「GLUT4」というタンパク。
運動で筋肉が刺激されると、細胞の表面に出てきて、外の糖を取り込みます。
ただし、こうした働きが本格化するには、しばらく時間がかかると考えられています。

 実際、血糖値を下げるホルモンの「インスリン」は、運動開始から15分ぐらいまでの間に減りますが、
これは「インスリンに頼らず、効率よく血糖を取り込める状態になったことを示す」ということのようです。

 「科学的な理屈は難しいかもしれませんね」と曽根さん。
「でも、結論は簡単。30〜40分の継続した運動がお勧めということです」

 昨年の米国糖尿病学会誌に、こんな調査が報告されました。

 40〜55歳の男性約8600人を4年間追跡調査し解析したところ、2型糖尿病になる確率が、
通勤時に歩く時間が片道21分以上の人と比べると、11〜20分の人は1・2倍、
10分以下の人は1・4倍になったのです。

 調査した大阪市大准教授の林朝茂さん(産業医学)は
「ちょっとした運動でも生活に取り込む工夫をしてほしい。
もちろん、まとまった時間続けられれば、その方が効果は大きい」と話してくれました。