相続裁判の本人尋問後に被告代理人が辞任

2011年03月10日(木) 20時51分
被告配偶者の反対尋問では茶道具などについて多くの質問がなされたが、その質問のほとんどを「分かりません。」「覚えていません。」と回答した。尋問した原告からは以下のように呆れられた。
「よく、この陳述書が書けましたね。これはあなたの作文ですか。覚えていないことをどうして書けるのですか。あなたの作り話ですか。」
原告と被告の溝が深まった本人尋問であったが、本人尋問終了直後に被告に動きがあった。本人尋問翌日の1月18日付で被告代理人が辞任した。それまでの被告代理人は被告準備書面上は金崎浩之、長谷川桃、佐久間明彦と復代理人の松木隆佳であった。但し、復代理人の松木も被告準備書面や証拠説明書では「被告ら訴訟代理人弁護士」として表示されている。このうち代理人の金崎、長谷川、佐久間が辞任した。被告代理人は2009年にも主任弁護士が辞任している。
復代理人の松木からは送達場所を弁護士法人アヴァンセからセキュアトラスト法律事務所に変更するとの上申が出された。このセキュアトラスト法律事務所の住所を調べると、レンタルオフィスになっている。被告代理人の変遷に原告側は困惑している。

相続裁判の本人尋問で税務文書や論点に

2011年03月09日(水) 22時15分
母親の死後、生前贈与や遺贈が無効であるとして長女が長男夫婦を訴えた訴訟(平成20年(ワ)第23964号、土地共有持分確認請求事件)の第5回口頭弁論(本人尋問)では税務文書や茶道についても話題になった。
被告長男の証人尋問では被告提出証拠・乙第87号証「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」が中野税務署職員の作成したものであるかも論点になった。原告は税務署職員が納税者の申告書類を作成することはあり得ないと主張する(林田力「相続裁判で税務署職員の税務書類作成が論点に」PJニュース2010年11月9日)。
税理士法は税理士に税務文書の作成を税理士業務とし、税理士以外の者が税理士業務を行うことを禁止する。根拠条文は税理士法第52条で、以下のよう規定する。
「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない。」
ここでは有償・無償を問わず、一律に禁止している点がポイントである。他の士業も資格者の業務独占を認めているが、弁護士の場合は「報酬を得る目的で」「業とすることができない」となっている点が異なる(弁護士法第72条)。それだけ税理士の業務独占は強いものである。
これに対し、被告は中野税務署職員が作成したと主張する。被告長男は2010年12月9日に中野税務署職員と面談し、「乙第87号証に中野税務署の相談担当職員が直接記入した可能性を否定しませんでした」と陳述する(乙第91号証「被告長男陳述書」2頁)。
面談した中野税務署職員は以下のように説明したとする。
「納税のために申告をする申告用紙に、申告者の依頼等により直接記入することはありません。」
この点は原告の主張と重なる。ところが、被告長男陳述書では続けて「何らかの障害を持つ方などの例外もある」と税務署職員が記入する例外があると述べた。このため、被告長男本人尋問の反対尋問で、原告は被告長男に以下のように質問した。
「あなたは障害などがあって自力で文書を作成できない人ですか」
これに対し、被告長男は「いいえ、違います。」と答え、自ら例外に該当しないことを認めている。

相続裁判でカルテと遺族の陳述の矛盾が明らかに2

2011年03月08日(火) 10時53分
高度医療の拒否についてもカルテと被告長男陳述は矛盾する。カルテでは以下の通り、被告長男が高度医療を拒否したと記録されている。
医師記録8月20日「family sonは延命につながる治療を全て拒否。現在DiV (注:点滴)で維持しているのも好ましく思っていないようである。」(母親の息子sonは被告長男しかおらず、family sonは被告長男である)
医師記録8月27日「……変更、増強したいところであるが、familyはやんわりとであるが、高度医療は拒否されている」
病歴要約「ご家族は一切の延命的治療を望まれなかったため、DiV (注:点滴)とエンチベース(注:皮膚のかぶれ等にぬるボデイクリーム)のみとした。」
母親の治療について被告長男が独断で決めたことか、子ども達が相談して決めたことかが次に問題になる。この点で原告と被告長男は真っ向から対立する。被告長男の本人尋問では以下のような激しい応酬がなされた。
原告「ですから、嘘をついているのです。」
被告長男「あなたが嘘をついているんだ。」
原告は何の相談も受けておらず、同意もしていないと主張する。これに対して被告長男は本人尋問で以下のように陳述した。
「何回か延命の相談をしてほしいというふうに医師から告げられておりまして、その都度、3人で相談しておりますが、延命はしないという方向で決まっております。」
ところが、被告長男は陳述書では以下のように述べる。
「私が、妹たちを集めて母の延命に関して相談をしたのは、この6月29日と、救急搬送時の6月18日の2回だけです。」と述べる(乙第89号証「被告長男陳述書」18頁)。
これは都度相談したとの陳述と矛盾する。少なくともカルテでは、6月29日の約2か月後の8月20日に被告長男は「延命につながる治療を全て拒否」している。これは妹と相談せずに拒否したことになる。

相続裁判でカルテと遺族の陳述の矛盾が明らかに1

2011年03月04日(金) 20時26分
母親の死後、生前贈与や遺贈が無効であるとして長女が長男夫婦を訴えた訴訟(平成20年(ワ)第23964号、土地共有持分確認請求事件)の第5回口頭弁論が2011年3月10日11時から東京地方裁判所民事712号法廷で行われる。原告と被告長男の妹の証人尋問が行われる予定である。
妹の証人採用は1月17日に東京地裁民事610号法廷で行われた第4回口頭弁論の評議で決定された。第4回口頭弁論は原告と被告(長男と配偶者)の3人の当事者尋問が行われた。その内容を踏まえ、「他の相続人の話も聞きたい」ということで妹の証人尋問が決まった。
第4回口頭弁論では最初に裁判長が「裁判所の構成が変わった」(裁判官の交代)として、弁論の更新を宣言した。続いて原告と被告が提出した書証(甲第55号証「乙87号証の調査結果についての陳述書」、乙第91号証「被告長男陳述書」)の証拠調べを行った。その後で原告、被告長男、休憩をはさみ被告配偶者の本人尋問が行われた。
この裁判では89歳で他界した母親の治療に最善が尽くされたかという点が論点になっている。本人尋問ではカルテと被告の陳述の齟齬が明らかになった。
カルテには「既往歴」に認知症と記載されている。ところが、病院との話し合いの窓口であった被告長男は本人尋問で「私は認知症とは言っておりません」と否定した。
母親は危篤時も酸素吸入なしで苦しそうに自力呼吸していた。カルテには「familyの要望通りO2 inhalation(酸素吸入)も行われない」と記録されている(医師記録2009年9月3日)。ところが、これも被告長男は本人尋問で「酸素吸入については、私も(医師からの説明を)受けておりません」と否定した。

相続裁判・当事者尋問3/10の傍聴のお願い

2011年02月12日(土) 10時27分
母親の死後、生前贈与や遺贈が無効であるとして長女が長男と配偶者を訴えた訴訟(平成20年(ワ)第23964号、土地共有持分確認請求事件)の証人尋問が行われます。証人は相続人の一人(原告や被告・長男の妹)です。
裁判では被告が入院中の母親の点滴(経管栄養)の注入速度を速め、延命治療を全て拒否したことが明らかになりました。医師記録には「現在Div.(注:点滴Drip Infusion into Vein)で維持しているのも好ましく思っていないようである」とまで書かれています。大きな社会問題にもなっている高齢者虐待にも通じる裁判です。
お時間が取れる方は、ぜひ、傍聴をお願いします。
転送・転載も歓迎ですので、是非とも拡散お願いいたします。

日時:2010年3月10日11時から1時間程度
場所:東京地方裁判所 民事712号法廷

その他の論点については下記を御参照下さい。
弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(上)
http://www.pjnews.net/news/794/20101006_3
弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(中)
http://www.pjnews.net/news/794/20101006_4
弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(下)
http://www.pjnews.net/news/794/20101006_5
相続裁判で税務署職員の税務書類作成が論点に
http://www.pjnews.net/news/794/20101108_8
相続裁判の当事者尋問では終末医療も問われるか(上)
http://www.pjnews.net/news/794/20110109_10
相続裁判の当事者尋問では終末医療も問われるか(中)
http://www.pjnews.net/news/794/20110109_11
相続裁判の当事者尋問では終末医療も問われるか(下)
http://www.pjnews.net/news/794/20110109_12

男になれなかった市川海老蔵(中)林田力

2011年01月09日(日) 18時02分
【PJニュース 2011年1月3日】これに対して、伊藤リオン容疑者には不自然な持ち上げ報道がなされた。伊藤容疑者に息子を殺害された父親に「芯から悪い人間じゃないと思いますよ」とまで語らせた(「リオン容疑者らに息子殺された父「リオンは筋の通ったワル」」女性セブン2011年1月6・13日号)。伊藤容疑者は他の襲撃犯と異なり、500万円の損害賠償を支払ったとされるが、数百万円を支払った程度で評価されたならば殺された息子も浮かばれないだろう。

さらに関東連合系の暴走族出身の金崎浩之弁護士(弁護士法人アヴァンセ)を識者として登場させ、「被害届を取り下げた方が双方にメリットがあるが、海老蔵側が意固地になっている」とコメントさせた(林田力「市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(下)」PJニュース2010年12月17日)。

これらの海老蔵に厳しく暴走族側に甘い報道姿勢が、示談に持ち込ませようとする勢力に加担する結果となった。

反社会的勢力にとって示談は大きな収穫である。叩きのめされても、泣き寝入りするしかないという現実を見せ付けた。恐ろしいイメージを世間に浸透できただけでも組織にとって勲章である。反社会的勢力の被害者になる可能性のある一般の人々のためにも海老蔵は徹底的に戦うべきであった。

歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』の名台詞に「天河屋の義平は男でござる」というものがある。天河屋義平は討ち入りの武器調達役であったが、捕り手に怪しまれて脅迫される。それでも口を割らず、上記の啖呵を切って、赤穂義士の秘密を守り通した。これが歌舞伎の語源となった「かぶき者」の心意気である。

海老蔵が徹底的に反社会的勢力と戦えば、身をもって「かぶき者」の心意気を示すことになった。この事件を基に新たな歌舞伎作品が生まれたかもしれない。海老蔵の酒癖が悪く、言動に問題があったことは周知のことであり、いまさら取り繕うことは不可能である。海老蔵にとって最後の拠り所が反社会的勢力との戦いである。それを捨てたことで成田屋が失ったものは大きい。

男になれなかった市川海老蔵と対照的に妻の小林麻央の対応は常識的であった。事件が発覚し、六本木に巣食う反社会的勢力の存在が明らかになった発端は、麻央が血だらけで帰宅した海老蔵に驚いて110番通報したことである。海老蔵は麻央の通報で大きく救われている。

マスメディアは通報した麻央もバッシングした。麻央の通報によって事件は公になり、海老蔵は興行の無期限謹慎やコマーシャル打ち切りなど大打撃を受けたためである。麻央は梨園の常識を知らないとまで叩かれた。【つづく】

林田力:海老蔵バッシングの嘘で明らかになる六本木の闇

2010年12月27日(月) 11時58分
【PJニュース 2010年12月26日】歌舞伎役者の市川海老蔵が暴行された事件で、逮捕された伊藤リオン容疑者が「海老蔵さんは元暴走族リーダーを殴っていない」と供述していると2010年12月24日に報道された。海老蔵が暴走族などの反社会的勢力の被害者である様相が一層強まった。

これまでは海老蔵が灰皿で元暴走族を殴ったなどと面白おかしく報道されていた。暴走族出身の金崎浩之弁護士(弁護士法人アヴァンセ)などは「海老蔵の経歴に傷が付くのは、困るでしょう」と、海老蔵の暴行を前提としてコメントした(林田力「市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(下)」PJニュース2010年12月17日)。

しかし、海老蔵の暴力は暴走族側のプロパガンダに過ぎなかったことになる。事件のあった店も元暴走族グループとの関係を指摘されており、店員が口裏を合わせて海老蔵に不利な証言をする可能性も考慮すべきであった。今後は「灰皿にテキーラ」などの批判的検証も必要である。

善悪を脇に置くならば、暴走族側のプロパガンダは巧妙であった。どう見ても胡散臭い暴走族出身者の言い分をマスメディアが垂れ流したことは不思議である。プロパガンダと言えば国家の情報機関を連想するが、最近では情報機関がマフィアなどの反社会的勢力と収益活動で共同歩調をとる傾向があると指摘される(北芝健「スパイ活動の実態」安全保障と危機管理14巻、2010年、5頁)。それが現実化したような情報操作であった。

海老蔵は危うく嵌められるところであったが、六本木界隈では有名人の不祥事が相次いでいる。横綱・朝青龍は2010年1月に深夜に泥酔して暴行事件を起こしたとされる。但し、本人は殴ったことを否定している。また、SMAPの草なぎ剛は2009年4月に六本木の隣の赤坂の檜町公園で泥酔して全裸で騒ぎ、現行犯逮捕された。

海老蔵事件と朝青龍事件の共通点は、トラブル相手に裏社会とのつながりが指摘されることである。朝青龍が暴行したとされる人物と、海老蔵事件の元暴走族グループの人的なつながりも指摘されている。

これに対し、草なぎ事件では他者とのトラブルは起きていない。しかし、事件前まで居酒屋で一緒に飲んでいた相手については不自然な変遷が見られた。「一人で居酒屋に行った」「知人女性」「店の従業員」などである。当時は恋愛スキャンダルを避けるために知人女性を隠していると分析されていた。しかし、もし暴走族などアイドルが交友するに相応しくない人物と一緒にいたならば、やはり事務所は隠そうとするだろう。

三人の共通点は事件当時の記憶を失っている点である。海老蔵は12月7日の記者会見で「はっきり覚えていない」と答えた。朝青龍事件でも師匠の高砂親方が「酔っていて覚えてない」と説明した。草なぎも「何で裸になったのかは覚えていない」と語っている。
これらは政治家の「記憶にございません」と同じく、都合の悪い事実を誤魔化す卑怯な言い訳に聞こえる。三人とも酒好きとして知られている。アルコールに免疫のない人ならば兎も角、深酒で記憶をなくすことは現実味が乏しい。しかし、六本木の現実を踏まえれば本当に記憶をなくしていた可能性もある。

実は世界では六本木は危険地帯と認識されている。外国人客の酒に薬物を混入して意識を失わせ、所持品の窃取やクレジットカードへの高額請求などの犯罪が相次いでいるためである。米国や英国、オーストラリアの大使館が自国民に警戒を呼びかけている。米国大使館では職員にも六本木のバーやクラブへ行かないように勧めている。犯罪組織にとっては有名人も良いカモである。有名人にはリスク管理が求められる。【了】

市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(下)林田力

2010年12月24日(金) 19時09分
【PJニュース 2010年12月17日】もともと元暴走族側は裏交渉での示談を求めていると見られていた。元暴走族側の被害届提出への言及も、海老蔵への揺さぶりの一環とされる。元暴走族が海老蔵に負傷させられた証拠となる診断書にも疑問がある。

診断書を書いた高木繁・統合的癌治療専門エイルクリニック院長は外科ではなく、ガンの専門医である。高木氏は「末期ガンにキノコが効く」などと主張する異色の医者である(高木繁『最強・最速の抗ガンキノコメシマコブ―あなたの免疫力を最強にする驚異のキノコの神秘!』サクセスマーケティング、2003年)。元暴走族が何故、わざわざガン専門医に受診したのだろうか。

元暴走族側の怪しさを知る上で、16日に発売された週刊文春2010年12月23日号の記事「海老蔵 vs 伊藤リオン容疑者『スキャンダル・バトル』」は興味深い。記事では海老蔵に負傷させられたと主張する元暴走族は事件後に飲み歩いているとする。また、高木氏についても様々な情報を掲載する(「診断書を書いた医師はあいはら友子夫『末期がんにキノコがきく』」)。

極めつけは関東連合系の暴走族ブラックエンペラーの幹部であったとする金崎浩之弁護士(弁護士法人アヴァンセ)のコメントである。そこでは「海老蔵にとっても示談はメリット」とし、「被害届を取り下げた方が双方にメリットがあるが、海老蔵側が意固地になっている」と分析する。金崎氏は中立的な識者としてコメントしたような装いだが、内容は暴走族側の本音の代弁にしか読めない。

金崎氏はテレビ番組にもコメンテータとして出演し、「海老蔵の経歴に傷が付くのは、困るでしょう」などと主張した。インターネット掲示板では「テレビで関東連合の思惑を語った弁護士」と受け止められ、「海老蔵事件関係の関東連合系人物相関図」にも名前が載った。少なくともメディアが金崎氏のコメントを求めた理由は、金崎氏が元暴走族という経歴を売りにしているためである。海老蔵事件が暴走族など反社会的勢力出身者の特需になっているという嘆かわしい現実がある。

この状況で海老蔵が被害届を取り下げて、示談で済ませたならば、反社会的勢力の無法を許すことになる。海老蔵が暴走族に屈服したという印象を世間に与える方がダメージである。そのために民事介入暴力の専門家・深澤直之弁護士を海老蔵の代理人とした意味がある。

反社会的勢力に弱みを見せれば、成田屋は恐喝され続け、骨までしゃぶられる。同じ伝統芸能の大相撲でも反社会的勢力との癒着が厳しく糾弾された。興行にはヤクザがつきものという考えもあるが、それは伝統的な任侠を念頭に置いたもので、暴走族やチンピラは有害無益である。

海老蔵事件は六本木に巣食う闇組織の実態を明らかにし、壊滅させるチャンスになる。それに貢献することが海老蔵にできる最大の善行である。【了】

被害届出し渋りで底が見えた海老蔵事件の元暴走族:林田力

2010年12月22日(水) 18時05分
【PJニュース 2010年12月18日】歌舞伎役者・市川海老蔵の暴行事件で、海老蔵と一緒にいたとされる関東連合系の元暴走族リーダーは被害届を提出しない意向であると2010年12月17日に報道された。海老蔵への反撃とされた記者会見の延期に続いての尻すぼみである。記者会見のヤルヤル詐欺に加え、被害届を出す出す詐欺のようなもので、元暴走族の底が見えた展開である。

そもそも代理人の藤本勝也弁護士(藤本法律会計事務所)が「被害届を持っている」と説明すること自体がおかしい。持っているならば警察に提出すればよい。被害届は寝かせておくような性質の文書ではない。事件を有耶無耶にし、あわよくば海老蔵から示談金を巻き上げるための脅しと見られても、仕方がない。

荒木飛呂彦のマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』ではギャングの名台詞に「『ブッ殺した』なら、使ってもいい」というものがある。本物のギャングの世界では「ブッ殺す」という言葉を使うことはない。何故ならば「ブッ殺す」と思った時は既に行動が終わっているためである。この点で元暴走族の言動はギャングの風上にも置けないものである。

そもそも元暴走族が闇世界の住人ならば、酔い潰れて、歌舞伎役者に好きなようにされたこと自体が恥である。泥酔した素人に負傷までさせられたならば、闇世界の笑い者である。その被害届を警察に提出するならば、闇世界の住人から総スカンを食らうことになる。

結局のところ、強硬姿勢は示談を求めるシグナルに過ぎないとされるが、海老蔵には示談に応じるメリットはない。暴走族出身の金崎浩之弁護士(弁護士法人アヴァンセ)は「示談は海老蔵にもメリット」とコメントするが、暴走族側の思惑の代弁にしか見えない(林田力「市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(下)」PJニュース2010年12月17日)。

そもそも海老蔵が相手の土俵に乗らなければならない理由はない。日本では相手の強硬姿勢の中に隠されたシグナルを読み取ることが交渉巧者とする愚かしい発想があるが、威張る人間を付け上がらせるだけである。むしろ強硬姿勢に対しては額面通り受け止めて硬直的な対応で返すことが正当である。

冷静に考えれば、海老蔵にとって被害届提出は恐れることではない。叩けばホコリが出る体は海老蔵ではなく、元暴走族である。被害者を主張すれば当事者としてクローズアップされる。海老蔵側にとっては逆襲のチャンスである。

海老蔵の酒癖の悪さは周知のことであり、これまでも様々な人が見聞きしている。だからこそ海老蔵へのバッシングが大きくなった。示談で元暴走族を口止めして済む問題ではない。海老蔵としては芸で勝負すると開き直るか、反省して態度を改めるかしかない。暴走族との取引は無意味である。【了】

弁護士の不適切な削除要求で被害拡大(4・終)

2010年09月16日(木) 7時51分
【PJニュース 2010年9月14日】仮処分は危機に瀕している権利を保全するために暫定的・仮定的に行われる処分である。たとえば名誉を著しく毀損する書き込みに対し、削除を求める権利がある。しかし、裁判で権利が認められるまでには時間がかかる。その間に問題の書き込みは多くの人の目に触れる可能性がある。そこで仮処分によって暫定的に権利を保全する。

仮処分が認められるためには疎明(一応確からしいとの推測を得られる状態)で足りる(民事保全法第13条)。これに対して裁判では証明(合理的な疑いを差し挟まない程度に真実と言える状態)が求められる。この差は仮処分が緊急の暫定措置であることから正当化される。

一方で疎明だけで仮処分が出るということは後日、訴訟で権利が存在しない(問題の書き込みは名誉毀損には該当しない)と認定される可能性も十分にある。この場合は既に仮処分が執行されたことによって、仮処分の相手方(債務者)は大きな被害を受ける。この損害を填補するために仮処分では通常、一定の担保を立てることを条件とする。このように仮処分はバランスのとれた制度構築がされている。

ところが「2ちゃんねる」では「削除ガイドライン」上、仮処分決定があれば削除できるようになっている。「2ちゃんねる」は匿名で無責任な書き込みがなされる場というイメージが強い。しかし、実際には精緻な「削除ガイドライン」を定めて自主的な運用が行われている。そして仮処分だけで削除できる点は削除ガイドラインの抜け道となっている。

「削除ガイドライン」の「9. 裁判所の決定・判決」では「裁判所より削除の判断が出た書き込みは削除対象になります。」と定める。問題は「裁判所の決定・判決」の具体例が「判決・仮処分の決定など」とされ、仮処分決定が判決と同列に挙げられていることである。このため、本訴を前提とした仮の処分であるのに仮処分決定だけで削除される。私はB氏に会ったが、訴訟を提起する予定も意思もないと断言していた。

この削除方法には2点の問題がある。

第1に仮処分を最終的な解決策にしてしまうことである。仮処分は訴訟とは異なり、十分な判断の上でなされるものではない。仮処分を得たからといって権利が認められた訳ではない。

仮処分自体が担保提供を条件とする場合は担保を提供しなければ効力を発生せず、担保を提供し続けなければ効力を維持できない。しかも、仮処分決定は仮に削除するだけであり、本訴で権利が否定されれば書き込みを復活させることもできる。その程度の仮処分で自己の主張を確定的に認めさせ、都合の悪い書き込みを未来永劫削除させようとすることは虫が良すぎる。

第2に仮処分制度が本来予定しない形で利用されることである。仮処分は訴訟の結果を待っていたら手遅れになる場合の仮の制度であり、本訴を前提とする。本訴を予定していないのに仮処分を申し立て、仮処分だけで自己の権利実現を図ることは制度の趣旨から外れる。簡便な削除方法として仮処分制度が悪用されることを懸念する。

問題の書き込み削除後もB氏の名前は新たに書き込まれ、被害は解消しなかった。セキュアトラスト法律事務所・中島賢悟弁護士の削除の進め方がユーザー(2ちゃんねらー)の反感を呼び、被害を拡大させた事例である。【了】
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