蚊が鳴くような小さい声

October 07 [Mon], 2013, 2:53
太田君はおびえた口調で語る。
「セミナーが終った数日後、慶子さんから電話がきたんですよ。言っていることが支離滅裂でおかしいと思ったら、精神病院に入院しているそうなんです。僕に結婚してほしいと、一時間半も変なことばかりしゃべっていました」
慶子さんといえば、参加者の中では最年少で、
線の細い印象を持つ人である。
自己紹介するとき、視線を下に向けて、
蚊が鳴くような小さい声で話していたのを覚えている。
太田君に結婚を求める
というのは、
統合失調症における妄想型の急性陽性反応ではないかと思われる。
律子自身も統合失調症だが、
セミナーを客観的に取材しなければならない立場上、
精神力でなんとか持ちこたえることができた。
職業的な使命感がないままセミナーに参加していたら、
慶子さん以上のひどい症状に見舞われたことはほぼ間違いないだろう。
それにしても大金を払ったにもかかわらず、
生涯治る可能性の少ない精神病になったとは、
踏んだり蹴ったりの人生である。
後日、佐野から二冊目の執筆を指名されたが、きっぱり断った。
次に、T出版から振ってきたセミナーは「神通力開発コース
よりさらに輪を掛けた怪しいセミナーである。
セミナーにじゅうぶん懲りたはずの律子が、
再びセミナーの取材をするに至ったのには訳がある。
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