田中。後編 

December 11 [Sun], 2005, 11:44
ざ はーですと しーんぐ あぶ えば だーん いず きーぷ びりーびん♪


自動ドアが開く。

田中は飛び出した。

腹の底から、声の限りに叫びながら。
愛する者の名を。
小島美和子の名を。

一斉に焚かれるフラッシュ。
どうやらマスコミも到着していたらしい。
好都合だ。
届け、全国区に、俺の想い。

周囲を見渡す。
居る筈の無い想い人の姿を探す。
しかし無情にもその目に映ったのは警官隊と報道関係者、そして野次馬共。

愚図共め。

貴様らなどに、俺の愛を享受する資格は無い。
そう、世界は、俺と美和子の為だけに有る。

それ以外は、排除されるべき塵芥。

歪んだ妄想が、田中の脳に澄明に響く。
彼は、至福の恍惚の中に居た。


「ハスタ・ラ・ビスタ・ベイベー(地獄で会おうぜ、ベイベー)」。


カリフォルニア州知事よろしく右手に構えたショットガンを構える。
こいつらを薙ぎ払い、美和子を迎えに行く。
そして、二人だけの世界に。


あい のー あい にー とぅ びー いん らー♪

あい のー あい うぇいすてっ とぅー まっち たーい♪


風景がスローモーションに変わる。

息を呑む人々。

身構える機動隊。

脱糞するみのる。


果たして、引き金は引かれた。


パーン・・・


中から出てきたのは、紙吹雪と一枚の紙切れ。



あ。

そういえば、本物、とし夫に持たせたマシンガンだけだったっけ。


ターン。

タターン。




そして、乾いた銃声。




ヒラヒラと舞い落ちた紙切れは、印鑑の一つ足りない婚姻届だった。

全ては、3分29秒の内の出来事。

田中。中編 

August 17 [Wed], 2005, 1:28
世界で一番罪深い行為とは何か。

それは裏切りである。

そして、卑劣な行為には、相応の報復を。
報恩と報復、我が道に欠かさざる二カ条。

途方も無く身勝手且つ理不尽な言い分だが、それは田中の中で正当化されていた。
愛は人を盲目にさせる。

数週間に及ぶ綿密なシュミレーションをへ、近所の公園で充分なトレーニングを積み、遂にこの日、田中の一世一代の復讐劇は幕を開けた。

愚かな後輩、とし夫を誑かし片棒を担がせ、遂に踏み込んだコンビニ店内。
しかし、肝心の小島さんがいない。

馬鹿な。
シフト表も盗んだのに。
強面で屈強そうな色黒の店員がいない日も確認したのに。

「なんでいねえんだよ、小島さん・・・!」

それもその筈、彼がシフト表を盗んだのは今月初め。
その後、小島美和子はシフトを変更していた。
強面で屈強そうな色黒の同僚、木下鉄夫と、二泊三日で温泉旅行に行く為に。
そう、彼らは、既に抜き差しならない関係になっていたのだ。

そんな事は露ほども知らない田中。

そして一人の男が糞尿塗れで粉微塵になり、一人の娘が失禁し、警官隊が店を取り囲み、まさに田中も抜き差しならない状態になっていた。

小島さんさえいればそれで良かった。
彼女に己の罪を認めさせ、それを償い、自分の愛を受け入れてさえくれれば。
しかし、彼女はいない。
強面色黒屈強と抜いたり挿したりしているのだ。

そして、警官隊のスピーカーから大音量で降伏勧告が流される。

このまま・・・
このまま終われるか!!

田中は意を決した。

田中。前編 

May 06 [Fri], 2005, 1:51
主犯の田中は苛ついていた。

「なんでいねえんだよ?小島さん・・・」

大学生の田中はこのコンビニの常連客であった。

飯はいつもここで買っていた。
資料をコピーするのもここ。

でも別に家に近い訳じゃない。安いわけでもない。
ただ、レジの小島さんに会いたい一心だった。

小島美和子さん。
初めて見た時からびびっときた。
グラビアアイドルも真っツァオの美貌の持ち主。
真っ赤なルージュを引いた唇。
透き通るような白い肌。
腰まで伸びたストレートの黒髪。
華奢な肩。
そしてその肩ではさぞ重いであろうたわわな両胸。

ああ、小島さんと結婚を前提におつきあいしたい。
彼女を降りかかる火の粉から守ってあげたい。

そんな田中の淡い恋心は、ある出来事をきっかけに醜くゆがんでしまった。


その日、いつものように小島さんに会いたい一心で田中はレジに向かった。
マルボロを頼む。
「300円です」
小島さんのハスキーヴォイスが田中の鼓膜を打つ。
この瞬間がまさに至福。
田中はにやつきながら千円札を出す。

「700円のおかえしです。」
おつりを手渡す小島さんの右手の指が、俺の手に触れた。
糞しても洗わない、汚い俺の手に・・・。
いつも変なモノを握ってる、汚い俺の手に・・・。

おぞましい妄想にニタニタしながら田中は店を出ようとした。
その時、何気なく振り返った田中は見てしまったのだ。
小島さんが、右手を大急ぎで洗う姿を・・・。

君の夢を駆け抜けて 〜後編〜 

May 04 [Wed], 2005, 21:30
!?

みのるは我が目を疑った。
カーブの向こうに見えたもの。
それは数台のパトカーと夥しい数の群集であった。

そう、彼にとって最大の不運は、彼の家が「あの」コンビニの向こうにあったことだった。

普段は平和なこの街。
故に、一度事件が起こると、人びとは並々ならぬ野次馬根性を発揮する。

「ど、どいてくれっ!!」

流石のみのるも焦る。
無理も無い、計算が完全に狂ってしまったのだ。
止むを得ずみのるは群集の中に飛び込む。

今更回り道をしては到底間に合わない。
それに、先程の驚きで、先っぽが出てしまった。
懐かしい熱さを肛門の辺りに感じながら、無我夢中で人びとに分け入るみのる。

だが、進めど進めど人だかりは途絶えない。

絶望の二文字が、みのるの心を侵食する。

『もう・・・無理っす・・・』




ブバッ、ブバババババッ・・・

泣いた。
みのるは、泣いた。

いや、俺は笑っているのか?

どうでも良かった。
何か、大事なものを失くした気がした。


怒りがあった。
そして、その怒りを何にぶつけるべきかも、みのるには明白だった。

みのるの復讐が始まり、物語はここに始まる。

                                完

君の夢を駆け抜けて 〜前編〜 

May 02 [Mon], 2005, 20:41
その頃、この物語の主人公・吉田みのるは全力疾走していた。

みのるの家は貧しかった。
両親は厳しかったが、それでも最大限の愛を我が子に注いだ。
そしてみのるもその愛に応え、すくすくと成長した。
曲がったことが大嫌い。弱きを助け、強きを挫く。
いつも笑顔で誰からも好かれる。
近所の子供からは『兄貴』と慕われる好青年。

その彼が、鬼のような形相で街を駆け抜けていた。

便所に向かって。

そう、彼は今、激烈な便意と己の尊厳を賭けて死闘を繰り広げていた。

間違いない、昨日後輩から貰って食ったコンビニ弁当だ。

みのるは途切れ途切れになる意識の中、そう確信していた。
体の丈夫さが何よりの自慢のみのるは、生まれてこの方ここまでの便意に襲われた事はなかった。
当然これが普通のものではないという事にはすぐ気付いた。

だが、原因が判明したところで、この恐怖は拭えなかった。
実はみのるは重度の閉所恐怖症だった。
車や電車に乗っても気分が悪くなる。当然トイレのような密室は大の苦手だ。
だから、彼はいつも自分の家のトイレで、扉を開けたまま用を足していた。
そうしなければ出るものも出ないから。
しかし、今はその心配は無かった。
出したくなくても、腹の中のモノは猛りながら彼の肛門を攻めまくっていた。

どこかでトイレを借りるのがこの状況下、最良の選択肢であることはみのるにも判っていた。
だが、これまで他所でトイレを借りたことのないみのるにとって、その選択は余りにハードルが高すぎた。
小学生が学校でトイレに行くのを極度に恥ずかしがるのと同じ様に。

だから彼は走った。
既に意識は朦朧としている。
限界なんて、とっくに過ぎている。
それでも漏らさず居れたのは、彼の主人公たる素養であろう。
みのるは、ひたすら走った。

見えた!
あの角を曲がれば、我が家はもうすぐそこだ。
みのるは愛しの便器に跨る自分の姿を想像しうっとりした。
しかし、ここで気を抜いてはいけない。
便器に放つその瞬間まで。
油断、即死。

最大速度でカーブを曲がる。
新聞配達で鍛えた大腿二頭筋が最大限に膨張する。
その姿は草原を駆ける肉食動物の様にしなやかな躍動感に溢れていた。
狙う獲物は、便所。

最大の難所を、みのるは乗り越えた!
                                    〜後編へ続く〜

太陽に吠えろ 

May 02 [Mon], 2005, 2:01
歯軋署の刑事山本隆夫・通称ゴリ夫は定年を3日後に控えていた。
「コンビニで立て篭もり事件発生」の一報を受け、ゴリ夫は思う。
「これが生涯最後の事件か・・・。」

ゴリ夫は常に現場に向かう前にトイレに篭る。

今日も年不相応の見事な一本糞をしたその直後、事態は急変した。


「か、紙が・・・・」


ゴリ夫は和式便器にまたがったまま焦った。
トイレのどこを見渡してもトイレットペーパーが、無い。

補充しておけよ・・・!

「くぅ」
声にならない悲鳴を漏らす。

やばい、凶悪事件が発生しているのに、尻が拭けなくて現場に行けない。
このままだと、「ベテラン刑事・尻が拭けず遅刻」とスポーツ紙を飾る羽目にもなりかねない。

どうする?署内で強面で通しているのに、まさか婦警に糞まみれの尻を向けたまま「紙くれ」なんて言える訳が無い。
このままズボンをあげる訳にもいかん。今晩は久々に別居中の妻との逢瀬だ。いっちょうらのブリーフを履いている。糞で汚すのは忍びない。

上着のポケットをまさぐる。
「テ、テッシュ」
焦るあまりうわずる声を抑えられない。

あ。


拳銃もってたっけ。

ゴリ夫はやむなくニューナンブで尻をぬぐう。
銃口で、糞をすくい取るようにするんだ。

よしよし、上手くとれてきた。汚れた銃口を便器の水でじゃぶじゃぶと洗う。
よし、もうちょっとだ。
再び銃口を肛門にあてたその時だ。

あ、親指がトリガーに・・・
そう思った瞬間、乾いた銃声が狭いトイレにこだました。


山本隆夫・通称ゴリ夫は計らずも、定年を三日後に控え署内トイレにて謎の拳銃自殺を遂げてしまった。

飛び出せ青春! 

May 02 [Mon], 2005, 1:19
「緊急指令、緊急指令。市内にてコンビニ強盗発生。署員は直ちに現場へ急行せよ」

春の交通安全週間も終わり、また一時の平穏を過ごしていた歯軋署に緊張が走る。

事件だ。

即座によしおは走りだした。

刑事になってニ年目。
初の重大犯罪の発生だ。
不謹慎だが、よしおの胸は高鳴った。

こんで手柄さ立ててやる。そんで田舎のおっかあに報告すんだ。

事件発生から1分、署から100mほどの現場に到着。
まさかこんな近くでこんな事件を起こすとは。
犯人はよほどの馬鹿か、さもなくばよほどの豪胆の持ち主だ。

どちらにせよ気を引き締めてかからなくては。

よしおの顔に一筋の汗が伝う。

途端、よしおの腹に猛烈な便意が襲いかかった。
まただ。
昔からこうだ。
大事なときに限って、お腹が痛くなる。
緊張するといつもこうだ。
初恋のみっちゃんに告白した時もこうだった。
あの時は告白の途中で我慢できなくなりトイレにへ走った。勿論ふられた。
センター試験の時もそうだった。
ギリギリまで我慢したが、三科目めの英語。
patientの意味がどうしても分からず悶えている途中限界が訪れ、会場は阿鼻叫喚に包まれた。勿論落ちた。

いかん、こんな事を考えている場合ではない。
事件は現場で起こっているのだ。
集中しろ。集中こそ、この苦境を打開する唯一の手段だ。
集中集中集中・・・
そういえば今日ガスの元栓閉めてきたっけ?
あ、家賃まだ振り込んでない!

パラララララララララララララ・・・

突如響く銃声。

ブババババババッババババ・・・

そして、溢れ出すうんこ。しかも、今日のはかなり柔らかい。

これに名を与えよう。
下痢。
それ以上相応しい名はない。

青すぎる空の下―――ゴールデンウィークは間近だ。

いーはあ 

May 01 [Sun], 2005, 18:03
俺は一体何をしてるんだろう?なんでこんなところにいるんだろう?

とし夫は足元に広がる血と肉とウンコ(丁寧にちぎったやつ)を見下ろしながら思った。

先輩が合コンあるっつうからコンビニで待ち合わせして、そしたら先輩が「コレ」って覆面とマシンガンをくれたんだ。

「今からドッキリ大作戦」

先輩は確かにそういった。
先輩についていって、強盗ごっこして、変なヤツがウンコもってわめきながら出てきたから面白半分に撃って、

そんで、あれ〜・・・?おもちゃと思ってたマシンガンで人、死んじゃった〜・・・。

あ、これも演出なのかなあ?
きっとそうだ!

あ〜あ、女の人がおもらししちゃったよ。ちょっとやりすぎちゃったかなあ??
そろそろ「ドッキリテレビ」って看板持ったレポーターが出てきてもいいんじゃないの?


あ、外は警察と野次馬でいっぱいだ〜。
これもドッキリ?


とし夫は自分が脱糞していることに気付いていなかった。

芽生える愛 

May 01 [Sun], 2005, 0:49
なんでこんな事になったのだろう。

銀行員、よし子は心の底から後悔していた。
トイレを借りに入っただけのコンビニで、どうして私は人質にされているのだろう。

ああ、おしっこ漏れそう。

先程から我慢の限界が近付いている。
せめて用を済ませてから押し入って欲しかった。間の悪い強盗だ。

強盗に、間の良い悪いもないか。
自分自身の考えに、よし子は思わずニヒルな笑みを浮かべた。
こんな時に何を考えているのだろう。
いや、こんな時だからこそ、なんとか気を紛らわせなければ。

終末の時は近い。

強盗もこのコンビニもどうでもよかった。
心配なのは、今日おろしたばかりのシルクのパンツが小水まみれになることだけだった。

こんな時、昔読んだ漫画みたいに白馬に乗った王子様が現れて助けてくれないかしら。
思考回路がおかしくなってきている。破裂までのカウントダウンは、残りわずか。

と、突然トイレのドアが勢いよく開けられた。

「テメエラおとなしくお縄を頂戴しろ!!!」

現れたのは王子様だった。少なくともその時のよし子にはそう映った。
両手一杯に黒い何かを持った王子様は、その数瞬後帰らぬ人となった。

両手一杯のうんこをぶちまけて。

それを全身に浴びながら、よし子の膀胱はこれまでの人生にない開放感を得ていた。

これが本当の自由だ。よし子はそう思った。

奥さん米屋です 

May 01 [Sun], 2005, 0:41
なんてブツを俺は産み落としてしまったのだろう?


亀太郎は便器の中からウンコをすくい取った。


これならヤツラを倒せるかもしれない。

でも強盗は少なくとも2人はいる。ウンコ1個じゃ2人は殺れない。


亀太郎は丁寧にウンコをちぎっていく。


「これがほんとのシットガンだぜ!」

今ならフリーザにも勝てる気がする。

亀太郎は勢いよくトイレの戸を蹴破った。

「テメエラおとなしくお縄を頂戴しろ!!!」




パラララララララララララララ・・・


強盗のマシンガンが火を噴き、瞬く間に亀太郎は血と肉とウンコ(丁寧にちぎったやつ)に成りはてた。
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