≪ 奇跡の予感 (2)≫
2003年、夏・・・
愛さんは、娘さんとバンクーバーの友達のKさん、日本からのもう一人の友人Sさんと、
4人で我が家に、やってきた。
そして、この日は、どういう訳か、幸いにも、いつも出かけることが多い主人も家にいた。
そのおかげで、一生に、一度しか体験できないような奇跡を、彼も、目にすることとなった。
夜の9時過ぎ頃、食事も終わる頃、Kさんが、突然、話の話題を、変えた。
「そういえば、愛さん、今日当たり、お天気いいし、星が、出てくるんじゃないの?
丁度、眺めもいいし、愛さん呼んでみたら?」
私は、「呼ぶって何を?」って、意味がつかめず、聞き返した。
彼女が、星を、呼ぶと言う話は、以前聞いてたが、この時まで、すっかり忘れていた。
「そうね〜、待ってね。呼んでみる。」
このとき、主人は、まったく会話の意味を、掴むことが、できずに、無言だった。
すると、愛さんは、ダイニングから外へ出て、バルコニーから、東の空に向けて、何やら言葉を、
かけ始めた。
そうして数分後、彼女は、うきうきした様子で、ダイニングに戻ってきた。
「うん、大丈夫。来てくれるって。あの山の少し、上の辺りを、見ていて!」って・・・?
「???」私は、何が、起こるのか、まったく見当もつかず、彼女が、指さす方角を、
みんなと一緒に窓越しに見つめていた。
すると、1分くらいたっただろうか。
突然、東の低い空の位置に、光輝く球体が、出現した!
一番最初に、声を出したのは、主人。
「あれ、飛行機だろ?」
Kさん、曰く、「飛行機だったら、動いてるはず。静止してるよ!」
「たんなる星だろぉおー。」主人は、この辺りまで、落ち着いた声で、言い放っていた。
「星が、何故、突然出てくるの?」と、わたし。
「おおおーだんだん、光が大きくなってきた!」と主人。
そうしているうちに、その光輝く球体は、だんだんと普通の星の
20倍の大きさのサイズに、変わっていった。
皆、えええ〜?すご〜〜い!綺麗〜!と、大声を、上げ始めた。
咄嗟に、主人は、「双眼鏡、双眼鏡〜〜!!!」
丁度、ダイニングの食器棚の上に、乗せていた双眼鏡を、手にとり、再度、確認した。
「うおぉおおお〜〜!なんだ、これは〜!虹色の光が、輝いてる!
これは、すごい!窓みたいなものも、見えるぞ?」
そのあと、友達のKさん、Sさん、娘さんも皆、双眼鏡を、通じて見ながら、
それぞれ、奇声を、あげていた。
下を、向いてる愛子さんが、感で「いい?よく見てて、今度は、緑が、出るよ、
あっ、今度は、赤、次は、ブルーね!」
と、言うと、そのままの光の帯が、輝く球体の窓みたいな所から、発射された。
「わぁ〜〜!きれ〜い〜〜!」と、初めて母親の奇跡を、目の当たりにした娘さんも、興奮して、叫んだ。
私は、どう見ても、彼女とその星の交信が無ければ、そうやって彼女が、
言った通りの光の色を、その球体から、発射することは、無理だと、感じていた。
なぜかというと彼女は、まったく球体のほうは、見ていなかったからだ。
当然、チャネリングで、送られてくるサインで、色を、識別しているに違いない、そう考えてた。
それにしても、綺麗な輝きだった。私は、言葉を、なくしてた。
私は、双眼鏡を、通じて、見る光が、美しい虹彩を、放ちながら、輝いているシーンに、
ただ感動していた。
そして私は、どうして?どこから?この光は、やってきたんだろう?と思った瞬間、
キャッチした愛さんが、答えた。言葉も、出してないのに・・・・
「あの光は、2500光年の先から、やってきた光で、そこに存在してるのではなく、
投影されてるものだから。」
みんな「?????・・・」、返事もなく、黙っている。
そうして、すーっと、光が、小さくなっていき、薄グレーの空に、消えていった。
しばらく、消えた星の空を、窓越しに、見つめながら、皆、沈黙だった。
「しかし、あれは、凄い!愛さん、いつもそうやって呼べるの?」と、主人が、第一声を、あげた。
「うん、だいたい呼んだときは、来てくれる・・・でも今日は、意味があって来てくれたのね。」
すると、何でも、確認しないと気がすまない主人は、
「ああ〜愛さん、悪いけど、もう一度、呼べる?」
私は、その要求が、内心彼らしいと思いながらも、こういうことは、一度限りだろうと、思っていた。
ところが、愛さんは、その彼の二度目の要求に、すんなりと、
「うん、いいよ。聞いてみるね!」と言って、子供のように、うなずきながら、無邪気な態度で、
星を、呼ぶためにバルコニーに、出て行った。
私は、彼女の後姿を、見つめながら、自分が、今、体験してることは、夢ではないと心で、つぶやいていた。
戻って来た彼女は、言った。
「良かった。今度は、アルファーが、来てくれるって!」
・・・・・つづく