マンガの構築 3 【少年ジャンプの裏の現状を把握してみる】

May 12 [Wed], 2010, 19:47

マンガの構築 2 【とりあえず少年ジャンプの表向きの現状を把握してみる】の続きです。

予告通り、ジャンプの裏の現状について詳しく見ていきたいと思います。


と、その前に


「前回から一体何やってんの?」と思われてる方がいるやもしれません。


現在行っていることは、ジャンプの現状の把握です。



なんでマンガを作るのにそんなことをせにゃあならんのか。





そうしないとマンガを描いても通らないからです。


マンガ誌の現状は、まさにそのマンガ誌が現在どのようなマンガを欲しているかを表しています。

これを把握しないで自己満足マンガを投稿しても通るはずがありません。

テスト問題をよく読まないで回答しているようなものです。

ただがむしゃらに描いても連載が続かないのは、最近のジャンプ購読者の方なら先刻承知済みのはずです。




ということで、そろそろ本題に入ります。


前回ジャンプの現状を概観した上で、3つの問題点を指摘しました。



少年誌ダントツのトップ。
看板マンガの数が少ない。
優秀な新人の不足。



これら諸問題の原因を我々読者は直接見ることができません。

今回はそういったジャンプの「裏」 影の部分を見て、これらの問題の原因を考えていこうと思います。



【問題点の負の連鎖】


これら三つの問題の中で最も深刻なのは

優秀な人材・作品の不足です。

これは誌全体のつまらなさに直結します。

前回マンガ作品数の人気別の割合を見てみましたが、およそ半分が不人気マンガでしたよね。

皆さんは周りにこんなことを言ってる人いませんか? または自分でこんな経験したことないですか?


「ペラペラペラ〜…(つまらなそうな後ろの作品を飛ばす)。 あ〜つまんねー 最近のジャンプ○○と○○しか読むもんねえ」


優秀な人材・作品が不足すると必然的にこうなります。


では優秀な人材の不足は一体どうして起こるのでしょうか? 新たな人材が世にうたわれる「ゆとり」だからでしょうか?


実はこの問題は、残り二つの問題「マンガ誌ダントツのトップ」と「看板マンガの不足」と関連しています。


わかりやすくするために、ジャンプがこの大きな問題を抱えていく流れを考えてみます。


看板マンガ・大人気マンガを多数かかえて連載 どんどん売り上げを伸ばす。
 ▼
それらの看板マンガ・大人気マンガを読んで新人が育つ。
 ▼
大人気マンガが続々と連載を終了し、看板マンガが減る
 ▼
売り上げを落としたくないので残った大人気マンガの連載を編集が無理矢理延ばす。
 ▼
大人気マンガを読んで育った新人が似たような作品を発表する。
が、連載延長の看板マンガがまだ誌面にいるため、二番煎じのようになり、ヒットしずらい。
 ▼
連載延長の看板マンガがマンネリ化しクオリティーが減退していく。
 ▼
だがそれでも他のマンガ誌がしょぼいので一番人気の雑誌であり続ける。
 ▼
そういった最高水準の低い看板作品を読んでまた新人が育つ。(しかも看板マンガの数は減っているので、影響を受ける作品はみんな一緒)
 ▼
そしていざ連載しようとしても同じような先人達で誌面があふれているので、新人が連載できない。


新人作家さんは少なからず自分が読んだ頃のジャンプで人気だった作品の影響を受けます。

看板マンガが減るということは、影響を受ける作品幅が減り、

次に新人さんが描いてくる作品がみんな同じようなものになるということです。

そして、その数少ない看板マンガがずーっと連載を続けているということは、

その後に出てくる新人さん達もその作品から影響を受けた作品を描いて送ってくるということです。

しかもそういった長期連載のストーリーマンガは、ほとんどの場合おもしろさが減退していくので、

新人さんのレベルはどんどん下がっていきます。


最近 ジャンプのマンガ賞の講評でこんなコメントをよく見ませんか?



「どこかで見たような作品ばかり」って。





【アンケートの弱点】

「じゃあなんでもっと早く対処しなかったんだよ」と、どこかで声がかかれば

「アンケートを過信しすぎていたからでは?」と自分はお答えします。


たしかに看板マンガのクオリティーが下がっていると言っても、看板マンガの人気はトップです。

けれど間違わないでください。この人気はあくまでジャンプ誌面上だけでの話です。




現在のアンケートの方式は 最も面白かったマンガを面白かった順に3つ書けというものです。

一見なんの問題もなさそうに見えますが、ここに大きな落とし穴があります。



仮にある読者が「今週はひとつも面白くなかったな」と感じていたけれども、欲しい商品があったとします。

ではこの読者はどうするか? 全部面白くなかったからといってはがきを出さないでしょうか?

いえいえ、彼はきっと作品を3つ書いて送るでしょう。そう、最もつまらなくなかった作品を。



そうなんです。このシステムだと、どんなにある作品がつまらなくても、他の作品がそれ以上につまらなければ

人気マンガとして票が入ってしまうんです。



でも単行本は売れています。これは何故か?


単純に今のジャンプ世代は、これ以上つまらなくないマンガを知らないからです。


どんなにジャンプがつまらなくなっても、現在これ以上つまらなくない雑誌は無いわけですから。

トロを知らない子供がマグロを食べて「一番おいしい」と言っているようなものです。




【まとめ】

さて、一度このあたりで切り上げたいと思います。

とは言ってもまだまだ目に見えないジャンプの裏はたくさんあるので次回に持ち越し。

ということで、今回分をまとめます。



ジャンプの連載の流れをよく見ると

大人気作品の連載を無理に引き延ばしたために、後発の作品全てに悪影響が及び、

諸問題の負の連鎖が始まったことがわかり、

アンケートシステムのせいで表向きはよくわからないようになっているが、それらの諸問題の影響で

面白さの最高水準がどんどん下がっている。

というのが今回の内容でした。



具体的な例と数字でおさらいすると


看板マンガが1本に減る
   ▼
残った看板マンガ1本の連載が延ばされる
   ▼
マンネリ化してクオリティーが下がる
   ▼
クオリティーの下がったマンガたった1本をみんながこぞって読んで影響を受ける
   ▼
新人はみんなその1本の作品の影響を受け、みんなクオリティーの低い似たような作品を作ってくる


こんな感じです。




今のジャンプに新人が不作な理由がだんだんとはっきりしてきましたね。
ではまた。ノシ












マンガの構築 2 【とりあえず少年ジャンプの表向きの現状を把握してみる】

May 11 [Tue], 2010, 22:27
さて、何をするにしてもまず敵のことを知らねばなりません。


今回は少年マンガの構築についてまとめていくので

現在少年マンガ誌で最も人気のある「週刊少年ジャンプ」に的を絞ります。


とりあえず現在の少年ジャンプがとりあえずどうなっているのか

今回は(一般人の)目に見えるジャンプの表の部分 の様子を詳しく見てみることにします。




下の画像 【上】が現在のジャンプ 【下】が所謂「黄金期」と呼ばれる頃のジャンプです。



     


ジャンプの人気

日本雑誌協会 JMPA の少年向けコミック誌発行部数データ(09.9.30)によると

週刊少年ジャンプ    2,809,362部

週刊少年マガジン    1,650,205部

(コロコロコミック   911,667部)

月刊少年マガジン    904,084部

週刊少年サンデー    773,062部

週刊少年チャンピオン  500,000部



と、このようになっており、さらに現在ジャンプは2010年に入って発行部数を300万台に戻したので、

少年誌ではダントツの人気を誇り、他の追随を許さない もはや敵なしの天狗コミック誌となっているようです。



【現在(最新)の布陣】

ONEPIECE 
NARUTO     
HUNTER×HUNTER         
BREACH       
トリコ
銀魂
家庭教師ヒットマン REBORN!
SKETDANCE
ぬらりひょんの孫
PSYREN
べるぜバブ
バクマン。
黒子のバスケ
めだかボックス
保健室の死神
詭弁学派 四谷先輩の怪談。
こちら葛飾区亀有公園前派出所
いぬまるだしっ
ピューっと吹く!ジャガー


【看板マンガ】


現状、今のジャンプを支えているマンガ すなわち「看板」と呼ばれる作品は

いずれも90年代から連載の続く言わずと知れた大人気マンガ

ONEPIECE」「NARUTO」の2作品のみです。

「え?これだけ?」と思われた方が少なからずおられると思いますが、現在はこれだけです。

看板マンガと言われるマンガはそれこそ誌の象徴とも言える作品ですので

ほぼ掲載順=人気順となっているジャンプの中でも常にトップに居座り続ける不動の存在でなくてはなりません。

ですので、締め切りに遅れるなどの特別な理由がない限り、トップ5から絶対に落ちない作品が

看板マンガの必須条件です。

これら以外のマンガは現在トップ5の中でも頻繁に掲載順が入れ替わり、(看板マンガと呼ぶほどには)人気が安定していないのが現状です。

かつて看板漫画候補だった作品の人気低下を見てとることができます。


つまり現在のジャンプの構成を見てみると、以下のように概観できると思います。


 ■イベント (連載〜回記念や祝〜化、人気の急上昇などによる巻頭カラー)

 看板マンガ

 人気マンガ

 中堅マンガ

 いぬまるだしっ

 不人気マンガ

 ジャガーさん


それぞれの作品数の割合を表すとこんな感じ

看板マンガ
看板マンガ
人気マンガ
人気マンガ
人気マンガ
人気マンガ
中堅マンガ
中堅マンガ
中堅マンガ
中堅マンガ
中堅マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ
不人気マンガ


 
【新連載作品の現状】
 
連載経験ゼロの作家さん 所謂「新人作家」の作品は不作だと言われています。

新連載が始まっても12週で打ち切られることなんて最早当たり前になりつつあります。

現在安定してジャンプでの連載を守り続けている新人作家さんの作品は

SKETDANCE べるぜバブ ぬらりひょんの孫 

の三作品のみとなっています。(椎橋先生アニメ化おめでとうございます)


【現状のまとめ】

これらのデータを見た方がどのようなことを思われたか是非伺いたいものですが

とりあえず問題点をまとめます。


結論

ジャンプのこの状態はお世辞にも好ましいとは言えません。


まず一つ目


これはどんなことにも言えることですが

少年誌ダントツのトップというのは絶対に良くない。


最高の作品というものは、常に競争の中で生まれるものです。

だというのに、二位の週刊マガジンとの間にはなんと40万部近くの差がある!

現在の天狗状態は、ジャンプになんらかのマイナス作用を絶対に及ぼしています。

まあこれはジャンプの責任ではありませんが…


二つ目

300万部という数字やコミック誌一位という人気の高さに対して

看板マンガの数が少ない。

これはジャンプを支える看板マンガの作家さんに相当のプレッシャーを強いているのではないかと思います。

一人当たりの背負う負担が必然的に大きくなりますから。

そして週刊誌という環境では、それは当然 クオリティーの劣化に直結します。

だらだらと連載は伸び、やがてマンネリ化していき、ネタがつきていく…
なのに相変わらず時間はなく、今まで通り読者の期待にこたえなければならない…

こんな状態でモチーベーションが続くわけがないし、いい作品ができるはずがありません。


三つ目

優秀な新人の不足。

これはどの雑誌もそうでしょうが、連載雑誌にとって致命的な要素と言えます。


当たり前ですが、作家さんは人間です。作品と共に年老いていきます。

そしてこの世に連載の終わらない漫画はありません。

どんなコミック誌にも、常に次の世代を担う新しい人材が必要です。


そもそも少年向けのコミック(特にストーリー漫画)というものは、本来長期の連載にあまり向いていません。

なぜなら 子供は必ず大人になるからです。


加えてマンガには必ず 終了適齢期 というものがあります。

マンガや作品のジャンルによってそれぞれ違いますが、これを超えたマンガは慢性的なマンネリに陥り、

作品のクオリティーが著しく低下する傾向があります。

そう、作家の意図に反して連載が伸びるといった状況は、本来最も避けるべきなのです。


ですが新人の不作という現状は、連載の長期化を人気マンガ家に必然的に強いることになります。

そして看板マンガのクオリティーが下がることは、雑誌全体のクオリティーが下がることに繋がるのです。







さて、とりあえずは一通りジャンプの現状について見ることができました。

でもまあ、こんなことはネット上のあちこちで言われていることで

根気よくネットサーフィンすれば同じことを言っている人は何人もいるし、

そんなことをしなくても、既に上記の問題を耳にした方、実際に感じている方が多数おられると思います。


今回はこれで終わりになりますが

次回は我々読者の目には直接見えない

ジャンプ、強いては少年マンガ界全体の裏の現状について詳しく見ていきたいと思います。


訪問ありがとうございました。でわノシ












 

 
 
 
 










マンガの構築 1

May 11 [Tue], 2010, 21:42
さて、今年もストキンが開催されましたね。




だからというわけじゃないけども、ふと思い出した。



↑で審査員を務めていらっしゃる

村田雄介先生

が現在少年ジャンプで連載されている

ヘタッピマンガ研究所R」に今話題の冨樫義博大先生がご出演なされた回で

冨樫大先生のマンガ理論の結集 虎の巻 「とがシート」なるものの存在が明らかにされましたよね。(読みたい


てなわけで突然ですが、思いついたが吉日

あれと似たようなモノを作りたいと思います。


まあそうは言っても自分はプロでもなんでもないし、ストーリーの構築に自信があるわけでもない。

じゃあ何をするのか。


これからまとめていくのは自分が思い描く理想のマンガの構築理論です。

理想っつーぐらいだから、多少は自分の嗜好や主観が入りますが、

基本的には 

こうすれば読者が楽しんでくれるんじゃないか? 読者はこんなマンガを求めてるのではないか?

この二つを大前提にまとめていくので、自分と他者の意見を総合した

それなりに客観的なものにはなると思います。


なんてえらそーに言ってますが完全に口だけの理論(にすらなってない)ですので、

閲覧される方は「おっ そうかも」と思えるところだけ参考になさってください。

「は? 意味不(^ω^)」と思われた方はどうぞ華麗にスルーしてやってください。


てなわけで早速次の記事からスタート。







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