ドール・ハウス1-12 

2006年03月08日(水) 21時44分
怪訝な表情で問い返すヴィローシャに、ジルベルトはこくりと頷く。
明らかに周りに立つ他の五人は動揺している。

「でも、私は何も知らないんです。それに何かを言いに着たワケでもなくって。急に着たカインに、私の本姓はシルバリィで、ここの主人にならなきゃいけないって」

たどたどしく。けれどジルベルトは自分の身の上を、そして自分の意思を懸命に伝える。

「…でも私の父親はアスティン・ウェンバーただ一人です。だからここの主人になんて、なれません。そのことを言いに来たんです」

ジルベルトは一気に言い立てまくると、途端萎んだ風船のように小さくなった。やりすぎたか、と顔も心持ち赤らんでいる。

「え、とあのそれで私はどうなるんですか?」

ただおとなしく話を聞いているヴィローシャに尋ねた。恐る恐る、といった言葉がかなり相応しい。

そんな彼女に、ヴィローシャは固めていた表情を途端緩めた。さらには破顔して、声までだして笑いだす。
「あ〜、君可笑しいね!」
「は?」

いきなり笑い飛ばされ、ジルベルトは目をぱちくりさせる。
見ると周りの5人もそれぞれに笑みを浮かべていた。
「この広大な領地、屋敷を欲しいとは思わないのかい?」

「え…そりゃ、すごいとは思いますけど…」


カインに連れられて見ただけでも凄いことは判った。
でも、欲しいとは思わなかった。欲が無いわけではない、ただ必要ないからだ。
「僕らはそういう主人を待っていたんだ」

ヴィローシャの言葉に、彼を含む5人は膝まついた。当然予想していなかった展開に、声もでない。

「あなたはまさしく、この白銀灰の館の主人」

どくどくと心臓が高鳴った。頭は未だ現状には着いていけない。理解出来ないでいる。
だが、体は、心は、本能というのか。
知らず知らず、ジルベルトは彼ら6人と会えたことに喜びを感じていた。

「私どものマスター、ジルベルト!」



これも追加分(笑

ドールハウス2-3 

2006年03月08日(水) 17時56分

不機嫌を張りつけたような、リンの表情にキャロライナが諫めようと手をのばす。が、すかさずヴィローシャが止めた。

「俺はリンドブルム・スカイルーツ、貴方を守るための存在」

未だ表情は陰っている。けれど、声は澄み渡りジルベルトの心に染み渡っていく。

「この生涯を、貴方に」

クラウツの取った手とは反対の、右手の甲に誓いを立てた。


そのあとが大変だった。
まずリンドブルムの不満顔に、キャロライナが教育的指導をたたき込む。そしてヴィローシャが二人の行なった手の甲にキス、が気に食わなかったのか黒い笑みを浮かべて手招き。
「クラウツとリンはあとで僕の部屋に」

青ざめる二人を余所に、ジルベルトはミンディアに館の案内をしてもらうことになった。
見かけから十分に広いことは判っていたが、実際に歩くと本当に広すぎた。
とりあえずよく使う部屋だけ、そういってはいたがよく使う部屋だけでも20は回った。第一会議室から第三会議室。第一談話室から第三ホール迄。
図書室に食堂、宝物庫。


〜かなり久々になってしまいました(^-^;。

本当、ようやく決算も終わって落ち着いた次第です。
書きたいものはあるけど表現出来ないもどかしさ…もっと本を読む時間や、映画を観たりしたいです。

ドール・ハウス1-11 

2006年03月02日(木) 21時42分
「よーこそっ!お嬢さん」
両開きの扉が重々しい音を立てて口を開けた先には、三人の男女が並んでいた。
内一人は、一歩前に出てジルベルトに軽く会釈してみせる。おそらくこの場にいる者の中で最年長であろう。鮮やかな緑のジャケットは金銀の華美な刺繍が施されている。
すらりとした体格ではあるが、背丈はジルベルトより頭一つ大きい。にこにこ愛想のより表情で一礼した。
「初めまして、この館の執事長を務めるヴィローシャと申します」
「は、初めまして…ジルベルトと申します」

やりにくいなぁ、と心内で毒ついた。こんな絢爛な場所は自分には似合わない。そう考えているジルベルトは居心地悪げに視線を泳がした。
きらきらと瞬く室内。見上げると空のように澄んだ青で塗装された天井は高く20メートルはゆうにある。垂れ下がるシャンデリアは星のように煌めき、柱は深い緑青に白い筋を纏っている。おそらく大理石で出来ているのだろう。


「貴方はどうしてここへいらしたのですか?」

「私は…カインに連れられて…」

「カイン…カイン・クロウ?」


追加追加〜

ドール・ハウス1-10 

2006年03月01日(水) 21時41分
ジルベルトはこの日ある初体験をした。

何度も痛切に気を失いたい、と強く願った。だがそんなご都合主義は中々叶うこともなく、つつがなくご体験したのだ。


「き、キモチ悪い…胃の中ひっくり反りそう」

「あちゃー、やっぱクラウツに運ばせたのはマズかったかなぁ」
「ごめんなっ、オレあーんまし人担いだことなかったもんだからさ〜まぁ無事これたから問題ないっしょ」
地道に歩くより早く行く方法。
それは道の両際に並んだ木々を華麗に飛び移っていくという荒業である。
鍛え上げられた脚力、腕力ならびに握力。更にはバランス感覚やら必要なのでは、とはっきりいって常人には考え付かない手段である。

それをこの三人は平然とやってのけたのだ。くらくらとシェイクされる脳はムササビやら、モモンガやら猿を思い起こしながら早く下りることだけを願っていた。

「は、やっぱりな。クラウツのタコに任せるからだ」
「たこー!?聞き捨てなんねーっしょ!この鬼っ」

五十歩百歩な低レベルの言い争いを開始する二人を尻目に、『ユーリ』はジルベルトを助け起こした。
この三人の中なら一番マシな雰囲気があるので、ジルベルトも素直に手をとる。頭を起こせば、件の館が荘厳に聳えていた。

「白銀灰の…館」

「そう、オレたちのウチ」
にっこりと、柔らかな笑みを浮かべる。誇らしげな表情は、心からの自信が伺えた。
日の光を浴びて銀色に輝くそれは、まるで一塊の鉱石のような。芸術的、という言葉が相応しい。ジルベルトは震える足並みで進みだした。




なんかの手違いで抜けてた分追加(笑

ドール・ハウス2-2 

2006年02月21日(火) 6時28分

率直な質問に、ヴィローシャは若干狼狽えたが、ジルベルトには判らなかった。
「はい、まず貴女に絶対的服従を誓っていること」

何だか居心地悪いような答えだ。ジルベルトはそう、態度で示すように俯く。ヴィローシャが肩を竦めた。
「マスター、そう辛そうな顔をしないで。僕らの存在意義なんだ。貴女の為に在れ、そう育った」

切なる声に、ジルベルトは頭を起こす。まだ納得がいかない、といった顔つきだがヴィローシャは話を再開した。

「他には身体力が断然高まっている。特に守護を主にするドールは、その反対に政策をサポートするドールは頭がいい」

ぴん、と自身を指差し軽く会釈する。恭しい流れる所作はまるでダンスの誘いのよう。

「改めて申し上げます。私めは今代の当主、ジルベルト様のドール代表、ヴィローシャ・ウッドローズにございます」

濃い緑の縁がついた楕円の眼鏡。そこからジルベルトを見つめる瞳は深緑と同じ色をしていた。

「マスター」

凛とした女性の声。ヴィローシャの左斜め後方に立っていた褐色の肌を持つ逞しい肢体。

「キャロライナ・ムーンリバーと申します。貴女の護衛責任者の任を請け負わせて戴いております」

忠誠を誓う騎士のごとく、片膝を付きジルベルトに頭を垂れた。
同じ女性であるのに、何だか頬が紅潮してしまう。

次に進み出てきたのは、出迎えに現れた一人。黒に近い紫のスーツをソツなく着こなした男。そしてその男の肩までしか背丈の無い華奢な少女。
「第二秘書のユーリ・ディープマリンにございます、マイ・マスター」
「マスター・ジルベルト、お初にお目にかかり光栄です。私、給仕頭兼第三秘書のミンディア・ウッドローズです」

どちらも丁寧に頭を下げる。そして真摯な眼差しでジルベルトを見つめた。
そして最後に歩み寄ってきたのは赤い髪のクラウツ、リンである。
クラウツはその秀麗な面に、微笑を称えながら。だが同じく美しく整った顔立ちのリンは、何だか不躾な膨れっ面をしていた。

「クラウツ・ルージュと申します。ジルベルト、貴方がマスターであることを誇りに思います」

惚けるジルベルトの垂れた左手を取る。そして、クラウツは柔らかくその手のひらを包むと口元に引き寄せ誓いをたてた。

「貴方の盾になれること、至上の喜びであります」

声もなく、ジルベルトは顔を赤面させて目をちかちかさせる。

「ジルベルト」



お久しぶりです。腕を怪我して...

一週間違い 

2006年01月29日(日) 10時35分
寒い〜。

今日は祖父の一周忌のため、お墓参りに行く予定でした。
あんまりでかいことをしたくないって常日頃言ってた祖父の意を汲んで身内だけでひっそりだったのですが。


家の前にて、父の弟の迎えを待つこと15分。


一向に来やしない!

で、待ちくたびれて電話したところ。


「兄貴、それ来週やで」


…、


今からイヴ・サンローランのコスメショーに行くであります。

新作っ。新作〜!

ドール・ハウス2-1 

2006年01月13日(金) 7時11分
第二話
マスター・ジルベルト


連れられた部屋はこの館で一番絢爛で、そして一番美しく町並みが見下ろせる場所だった。

「マスター、ここが貴女様のお部屋になります」

ゆるやかなウェーブを、二つ高い位置で結わえている。真っ白なフリルがふんだんにあしらわれたヘッドドレスと同系統のデザインをしているエプロンドレス。
典型的なお屋敷に仕えるメイドさんだった。

「ありがとう、えー…とミンディアさん?」

「さん、は余計ですよ。ミンディで構いませんわ、マスター」

にこりと愛らしい笑みを浮かべる少女。
ジルベルトから見ても少女は可憐な人形のように完璧な容姿である。彼女もこの館に仕える使用人、ドールの一人だった。


「マスター、我々はこの館に仕える『ドール』と申します」
「ドール?」

訝しげに問い返す若い主人に、ヴィローシャは苦笑を交えながら説明した。

「代々のシルバリィ当主には、通常の使用人の他に6人のドールと呼ばれる使用人が付きます」

「他と何が違うんですか?」


〜ようやく二章に突入。
ミンディアのイメージはゴスロリチックなメイドさんです。

最近仕事で担当店換えしました。
かなり嫌です゛(>_<)(>_<)"
ありえん酷さなんでプチショック中ですよ。

ドール・ハウス1-9 

2006年01月08日(日) 21時50分
ぎゅっ

逞しい両腕に包まれるジルベルト。目の前の男とは頭二個分ほど背に差があるので、すっぽりと隠れてしまう。

「ゆ、ゆゆーり!てめぇ!!」
「あー、マジだわ。女の子じゃん〜!」

『リン』の絶叫を余所に、『ユーリ』はジルベルトを離して軽く会釈を見せた。未だ
話が掴めないジルベルトは口をぱくぱくさせている。

「な、なにするんですかっ!」
「いやはや、失礼したね。コイツ腕はいいんだけど性格ひんまがってるからさ〜」

にこにこと愛想の良い笑顔を作りながら、明後日の方角を向いてる『リン』を示す。

「クラウツ、お嬢さんを抱えて差し上げて」

赤い髪の彼は心得た、と言わんばかりに勇んでジルベルトに近づく。
一体何が、と口を開く前に体が地面から離れた。

「え、あ、ちょっと!」
「しっかり掴まっててよ。落っこちるっしょ」

軽がると腕に抱えあげられる。所謂お姫さま抱っこ、等という扱いに慣れてるはずもないジルベルトは顔を真っ赤にして『クラウツ』に抗議した。

「あ、あの!立てますし歩けます!」
「だろねー。でも普通に歩いてたら時間かかるっしょ。だから、任せてねー」

どうもジルベルトの主張は通りそうにない。ここでヘタに騒ぐよりは流された方が得策か、と判断し体の力を若干緩める。
それに満足したか、男は両足を力一杯動かし始めた。


ユーリは紳士です。クラウツも割と紳士ですが、ちょいエロい紳士です(笑)

リンちゃんは…、照れ屋さんですから。

ドール・ハウス1-8 

2006年01月04日(水) 7時05分
「あーらら、リンちゃんお客さま泣かしちゃダメっしょ」

「リンちゃん顔こぇーからなぁ」

赤い髪とそれよりやや暗い褐色の髪。どちらも男性だが、褐色の髪の方が体格はがっちりとしていて上背があった。
またでてきた見知らぬ存在に、ジルベルトは頭が追い付かない。一体どうなるのか、と不安もあるがそれ以上にこの目の前の彼らが何なのか気になった。

「恐かったっしょ?もう大丈夫だかんなー」

赤い髪の男が膝を曲げて目線を合わせてきた。
一番年令が近そうな、それくらい屈託ない笑顔で話かけてくる。お陰で大分落ち着きを取り戻し、頷いて見せた。

「ったくー、やっぱオレたち着て正解だったな」
「っせーな!コイツが勝手に泣きだしたんだ!」
「何言ってんだかー、リンがキツイからっしょ。女の子泣かすなんてサイテーなやつっしょ」

さらりと最後の言葉に、ジルベルトと言った当人以外が凍り付く。
赤い髪の彼は、紳士的にジルベルトを助けて立たせた。だが言い当てられたジルベルトも、感心した面持ちで彼を見る。

「な、うそっマジかよ!」
褐色の髪の男は、未だ茫然としている『リン』を放ってジルベルトに詰め寄った。
頭のてっぺんから爪先まで。二度三度と見やる。そして。

「ちょい失礼」
「は?」





リンリンは女の子に免疫がありません、マジメで武士だからです(笑)


それにしても長いなー。早い事一話おわらないかなー。

あけおめです!! 

2006年01月03日(火) 22時54分
おくればせながら、新年明けましておめでとうございます!!
相変わらずの亀更新でかなりもうしわけないです。
が、今年こそはがんばりたいです。まずはTOPイラスト・・・描けてるのにまだアップしていないという体たらく・・・。今週末には時間が取れるはずなので頑張ってあげます。

それにしても…ちまちまは小説あげてるのにぜんぜんページあげてないのはイタイコですよね。

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