菜飯は上海脳内再生ツールなり

December 11 [Tue], 2007, 16:03
さて…。
咸肉といえば、まず菜飯です。

といっても、塩漬け大根葉などを刻んで混ぜ込む日本の菜飯(なめし)とはちょいと違って、上海のそれは、ラードで炒めた青菜(多くはチンゲンサイを使う)を炊き込んだものです。でもって、咸肉はダシになり風味づけになり、といった役割を果たします。人によっては中国のあの甘いソーセージを使うんですが、甘味がどうも邪魔になって私はいまいち好みじゃないのです。なので菜飯には咸肉は欠かせないもの、というわけ。

ところでこの菜飯、上海以外の地域ではあまりつくられないんじゃないかなと思います。蘇州や寧波などの、江南文化圏ではもしかしたらつくられているのかもしれませんが、菜飯を嬉々として喰らうのはやっぱり上海人。ラードでてかてかの中にくたっとした菜っ葉がまじる外見は、お世辞にも上品な一品とは言い難く、この「喰らう」という表現がぴったりな「めし」なのであります。フランス租界の西のほうにある邸宅よりも、くすんだレンガに囲まれた里弄(横丁)や、旧市街の南市あたりの風景が良く似合う、そんなヤツです。
だから組み合わせるおかずも、濃油赤醤(脂っこくて醤油で真っ黒)な庶民の上海味が似あう。
というわけで、今回のメニュウはこんな感じにしてみました。

・菜飯
・紅焼大排(豚ロースの甘辛煮)
・黄豆排骨湯(大豆とスペアリブのスープ)
・醤羅卜(大根の醤油漬け)

では、つくり方を紹介してみましょうか。
(本体サイト“大上海糖果號”のレシピとほぼ同じですが…)
菜飯
【材料】
チンゲンサイ 2株
米 1.5合
咸肉 80gくらい
ラード 大さじ2くらい

【つくり方】
1 米は洗ってざるにあげて水を切る。チンゲンサイは2センチくらいのぶつ切りに、咸肉は1センチくらいのサイコロでも、薄く切って拍子木にでもお好みで。
2 中華鍋にラード(このご飯はラードの質で味が決まるので、できるだけ自分で取りましょう。間違っても市販のチューブ入りのなんか使わないよう!)を熱して菜っ葉を入れ、強火で炒める、しんなりしたら米、咸肉を入れ、米が透き通るまで中火で炒める。
3 炊飯器に2をあけて、2.5合くらいのところまで水加減をし、塩2つまみを入れて混ぜたらスイッチオン。お釜で炊いている人は、菜っ葉までかぶるくらいの水加減で。あとは普通に炊いて出来上がり。


…あまりにあっけないんで、他の料理のレシピも。

紅焼大排

【材料】
豚ロースか肩ロース 人数分
小ネギ 5本
生姜 1かけ
片栗粉、醤油(できれば中国のたまり)、砂糖、紹興酒(日本酒でも)、油 適量

【つくり方】
1 肉は包丁の背か肉たたきでタテヨコ1.5倍くらいでかくなるまで丁寧にたたく。生姜はつぶして、ネギは仕上げ分は小口切り、残りは10センチくらいに切る。
2 肉の両面に醤油、酒各少量をなすりつけ、なじんだところで薄く片栗粉をはたく。
3 中華鍋に多めの油を熱し、充分熱くなったところに2の肉を入れ、両面軽く焼き色がつくまで焼いて取り出す。揚げ焼きくらいの感覚で、油は多めに。
4 油を少々残してあとはあけ、砂糖を加え、よくかき混ぜながらカラメルにする(ここ重要!)
5 ネギ生姜を入れてさっとあおったら醤油酒を加え、肉を戻し、からめながら火を通す。水気が足りないようならほんの少々の水を加える(肉にはすぐ火が通るから入れ過ぎて煮物みたいになっちゃダメ。あくまでも煎り煮の感覚)。
6 肉に火が通ったところで盛りつけ、ネギを散らす。

黄豆排骨湯
【材料】
大豆 適量
スペアリブ 適量
みそ、生姜、紹興酒、塩 各適量

【つくり方】
1 大豆は前日から水に浸けてもどしておく。
2 スペアリブは4センチくらいに切り、湯通ししてさっと洗い、たっぷりの水と生姜で最初強火、煮立ってきたらアクをすくって弱火で35分程煮てスープをとる。
3 2のスープに大豆を加え、紹興酒を加えてことことと1時間ほど煮る。
4 みそ(赤みそ推奨)と塩で味を整え、さらに15分ほど煮る。みその量は日本のみそ汁みたく濃くしないで、あくまでもスープ感覚で。

醤羅卜
【材料】
大根 適量
中国たまり(なければ普通の醤油)、砂糖、ごま油、酢、花椒 適量

【つくり方】
1 大根は皮ごと拍子木切りにし、3日ほど日なたにて干す。
2 1をさっと洗って調味料と軽く炒った花椒を合わせ、大根に味がしみるまで冷蔵庫に放置する。
3 大体3〜5日で美味しく食べられる。





菜飯はご飯茶わんなんて言わずにどんぶりにたっぷりと。大排は砂糖のツヤと醤油でつやつや、黒々。だけど中国たまりを使ったのでしょっぱくて困るなんてこともありません(普通の醤油でここまで色付けするとエライことになります注意)。スープは普通なら塩味でつくるところだけど、上海料理の老舗、徳興館で食べたみそ味が珍しく、しかも美味しかったので、それをまねてみました。

まずは菜飯をひとくち。と、たちまちふわーっと上海の香り! あの湿っぽい空気、石庫門の黒いレンガ、弄堂に漂う夕餉のにおいが一気に脳内によみがえります。ついで大排。大きくてかぶりつけないって?んな上品なことを言ってては困ります。菜飯にどかんと乗せて、ガブッと行くんです! 

あとは夢中で喰らうのみ。
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ぱんだ隊長さま

そうそう、私もこの前やってしまいましたよ途中送信。
しかしこのブログ、パスワード設定できないから削除できないんですよね。ご不便をかけてすみません。お互い気をつけましょう(笑)。

確かにパン粉と共にカリッとした食感を出そうと思うと、缶詰めじゃあダメですねえ。サバ缶でソースのようなベースをつくってパスタに和えて、仕上げに別に仕込んだパン粉をふりかける、って感じになっちゃうでしょうか。

日本に寧波料理屋って少なくありませんか?私はお茶の水の徳陽楼っていったか、孫文も来たという老舗で食べたきりです。この時は常連さんが特別に注文してくださった宴席だったんで、結構いいものがいただけましたが。

私もこうして話していると、やたらと懐かしくなってきます。
面筋、もちろん大好きですよ。でもこいつは中国食材屋で最近は売ってるので、自分でひき肉詰めてスープにしたりしてます。
こんなローカルなものが食べられるのも、中国人の人口が増えたおかげですね。

by 王華 January 18 [Fri], 2008, 14:38

王華さま

キャー、変なところで送信してしまいました、すみませんm(_ _)m
改めて、返来ありがとうございます。
サバ缶とは私も気付きませんでしたが、食感的にカリッとはならないでしょうが、味としては美味しくできそうですよね、きっと。

寧波・・・観光させてもらう暇がいつもなくて、史跡とかよく知らないんですよね^^;でも、料理は現地の人が自慢するだけあって美味しかったです。(日本の寧波料理屋で食べるとイマイチですけどね^^;)

中国の話をしていると、現地で食べたものが懐かしくていろいろ食べたくなります。王華さんはベース上海なら、「面筋」とか懐かしいのではないでしょうか。私も時々無性に食べたくなって困ってます・・・。

by ぱんだ隊長 January 17 [Thu], 2008, 10:56

返来、ありがとうございました^^

by ぱんだ隊長 January 17 [Thu], 2008, 10:52

ぱんだ隊長さま

寧波、20年前に行きましたが、いいとこですよねー。
(って今は恐ろしく変貌してるのは確かだけど)
上海よりも古くに建てられた天主堂があったり、寧波料理も結構好きです。私は連絡船で普陀山に行きましたが、ここでは雨にたたられたので、一日中ホテルで布団にくるまって(暖房きかない)ドラマ観てました。で、食事の時におもむろに起き出しそのへんの食堂で、新鮮な魚介を見繕って料理してもらい・・・。のんびりとした、いい時代でしたわ。

と、昔話はさておいて、印度飛餅ってやっぱりナンみたいのだったんですね。なんか拝見する限りでは何となく油餅に似たものを感じるんだけどなあ。わざわざ印度飛餅って名前をつけるってことは、どっか違うんでしょうね。

ところでブログ、拝見しました。
青魚のブカティーニ、作ってみたくなりました。
でも手抜き大好きな私はついつい「サバ缶でつくれば楽そう」とか考えちゃうんですよね(汗)。

by 王華 January 16 [Wed], 2008, 23:43

こんばんは。
前回、ハンドルネーム入れ忘れました。失礼しましたm(_ _)m

私が仕事で行っていたのは、上海郊外というよりはるかに田舎の方で、寧波と、江蘇省のすごく揚子江寄りの小さな町の2箇所です。上海へもしばしば行ってはいましたが、この2都市の方が滞在期間が長く、料理もそちらで覚えた味が殆どで・・・上海とは大分違う気がします^^;

印度飛餅は、葱餅をもっと油っぽくしたようなもので、クルクル巻かずに薄くピザのように広げ(この広げる際のやり方が、ナンを伸ばすのに似ているのが由来だと思います)、油で揚げ焼きみたいにしています。食感がパリパリしていて、つい食べ過ぎてしまうんですよね。
私が食べたのは江蘇省の片田舎ですが、その街の料理人が南京で食べたのを持ち帰ったと聞きました。南京名物という訳ではないと思うんですが、どこ料理なのかな^^;また食べたいなぁ・・・。

by ぱんだ隊長 January 15 [Tue], 2008, 22:26

はじめまして。レシピ参考にしていただき嬉しいです。
菜飯、最近は何だか腸詰のが多いですよね。私も外で食べてあらあらと思うことがしばしばです。上海家庭料理の店「上海人家」のはちゃんと咸肉で、しかも炒った大豆が入っていたりして、なかなかポイント高かったです。あちこちに支店があるので、試してみてください。
お仕事でいかれていたという、上海郊外の味に興味津々です。
今の上海中心部の味はいろんな地方の味がミクストされているので、かえってそういった郊外のほうが本来の上海味が残ってるようですよ。

印度飛餅ですか・・・。全く聞いたことないなあ。
印度ってことはインド?ナンみたいなものでしょうか。これも郊外で食べられたんですか?もしそうだとしたら、租界があった頃インド人も多かったんで、彼らの食べてたものが普及して定着し、そのまま残ってしまった・・・なんてことも考えられます。
面白いなあ。

by 王華 January 14 [Mon], 2008, 10:37

中国で食べた菜飯を作りたくて、キーワード検索で辿り着きました。
レシピがすごくわかりやすくて、塩漬け肉の作り方も判明してすごく嬉しいです!!

上海の菜飯、私も何度か食べたことありますが、甘い腸詰のヤツでした・・・^^;それはそれで好きなんですが、上海っ子の友人には「あれは邪道」と言われました(笑)
私が仕事で行っていたのは相当な田舎なので、菜飯も本当に田舎っぽ〜い「菜っ葉+里芋」の塩味の、雑炊に近いものでした。ずいぶん探しても情報が見当たらないところをみると、おそらくは田舎料理なんだろうな。

ところで、王華さんは「印度飛餅」ってご存知ですか??
これも現地でよく食べて、できれば作ってみたいと思ってるんですがなかなか情報がなく・・・。もしご存知でしたら、取り上げて頂けると嬉しいです。

by はじめまして^^ January 12 [Sat], 2008, 15:26

タコ待ったさま
菜飯もいいけど紅焼排骨、ちょっと日本の中華屋さんでは食べられない味なんで、ぜひ試してみてくださいまし。よくよくたたいたお肉は思いの外柔らかなんで、ホントにそのままかぶりつけますよん。色目からしつこそうに感じるかもだけど、美味いんだな、これが。

by 王華 December 12 [Wed], 2007, 17:40

おー!食卓が中国!
しかも詳しいレシピ付き!さすがですー。
このご飯は、ピラフみたいに炒めてから炊くんですね。
肉のお陰で難しい調味も必要ないし、失敗なさそうです!!
そういえば最近チンゲン菜って食べてなかった…。早速作ってみます。

あ、肉から作ります。花椒もまた買ってきます(笑)

by タコ待った December 12 [Wed], 2007, 10:47
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上海バカ歴20余年。
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