梅のさかりになりましたね。料理好き(というか保存食好き?)にとっては、梅干し、梅酒はもちろんのこと、梅シロップから梅ジャム、はては梅肉エキスまで、「梅仕事」に心奪われる季節だと思います。
気温が上がり、湿度も高くなるこれからの季節、梅にはこの時期に見合った薬効があるとされてます。
食欲増進、殺菌なんかがよく言われてるとこですね。薬膳などという難しいことを考えなくても、旬のものを摂ることが身体にいい…。夏野菜のキュウリにしても茄子にしても、身体を冷やす作用がありますから、自然のサイクルにしたがって生活するだけで、健康的な生活を送れるということを、人工物に囲まれて暮らす現代の私たちはもっと意識したほうがいいのかもしれません。
しかし梅って元々中国から伝わったもの。当然中国にも梅を使った料理がたくさんあると思いがちですが、意外に少ないんですよね。ぱっと思い浮かぶのは話梅(梅干しをさらにカラカラに干したようなもの)と蜜餞(蜜漬け)くらいなもんでしょうか。いずれも薬効を意識した加工品というよりも、単にお茶請けとしての存在。梅の季節に市場で生の梅を見かけるなんてこともありません。
ならば梅の薬効は全く無視されているのか、というと、そんなことはありません。
中薬店に行くと必ずあるのが、「烏梅」(ウーメイ:日本語ではウバイ)と呼ばれる、梅の実の薫製。これは健胃、下痢止め、せき止め、虫下し、疲労回復に効果ありとされてます。
中国を旅した人、特に長期滞在した人で、酸梅湯(南方では烏梅汁と呼ぶ)好きは少なくないようです。夏になると登場する琥珀色の飲み物で、中国版梅ジュースと言えばわかりやすいでしょうか。烏梅が主原料で、甘酸っぱい中にほのかな薫製の香りが独特な飲み物です。中薬を使ってるだけあって、暑気払い、のどの渇き、胃腸増強に効果があるとされてる健康飲料で、特に北京あたりで好んで飲まれています。北京の食品店には大抵インスタントの袋入り顆粒が置かれていて、私も北京に住んでた頃は、各メーカーの飲み比べが楽しみでした。
ところがこれ、80年代の上海では全く見られませんでした。上海では夏の飲み物と言えば昔っから塩汽水という、炭酸入りポカリみたいな味の塩入りサイダー(一時期すたれてたけど、21世紀になってから復活した模様)が大活躍。地方差というやつですね。ところが90年代になると上海でも烏梅汁の名前でペットボトル入り炭酸飲料がデビューし、夏のジューススタンドにもちらほら現れはじめました。
この烏梅汁、私にとっては炎天下の街歩きに欠かせない飲み物でした。40度に達しようという暑さとスチームサウナのような湿気にへろへろになりながら、脱水症状寸前までガマンした末飲む、キリリと冷えた烏梅汁の爽やかなことといったら、コーラの比ではありません。
(ただのドMです決してまねしないでください)
…ドMはおいといて、この酸梅湯、意外と知られてないのがそのつくりかたです。日本でも、中華街でビン入りの濃縮が売られてるので、好きな人はそれを買ってるのかもしれません。試しにググってみたんですが、酸梅湯レシピとして紹介されててもただの梅ジュースだったりしてます。
そもそも烏梅が日本じゃ入手不可能なんじゃ?と思われるかもしれませんが、実は日本の漢方薬局でも入手可能です。というわけで、日本でも酸梅湯は充分手作り可能。せっかく梅の季節なんだから、生梅使って梅ジュースをつくりたくなるのは人情かもしれないけど、薬効も期待しつつ、今年の冷蔵庫の中には酸梅湯、を常備、なんていかがなもんでしょうか。では続きでレシピを紹介します。