2013年、1月〜5月の鑑賞映画

June 04 [Tue], 2013, 19:25

2013年 1月の映画
■ファ−ストステップ
■桃(タオ)さんのしあわせ
■ソハの地下水道
■その夜の侍
■ライフ・オブ・パイ
■チキンとプラム
■恋のロンドン狂奏曲
■東京家族
■みなさん、さようなら

桃(タオ)さんのしあわせ、ライフ・オブ・パイ、恋のロンドン狂奏曲の3本がオススメ

2月の映画
■高地戦
■ホビット
■ムーンライズ・キングダム
■映画と恋とウディ・アレン
■ドラゴン・ゲート
■ゼロ・ダーク・サーティー
■アルバート氏の人生

待ちに待ったホビット、ムーンライズ・キングダムの奇妙な味わい。映画と恋とウディアレン、尊敬と愛を込めて。

3月の映画
■フライト
■パーカー
■遺体
■命をつなぐバイオリン
■奪命金
■燃えよ、じじぃドラゴン
■人生、ブラボー!
■マーゴールドホテルで会いましょう
■ジャンゴ

人生、ブラボー! これが実話とは。ジャンゴ、タランティーノの本領発揮!

4月の映画

■偽りなき者
■ザ・マスター
■舟を編む
■ブルーノの幸せガイド
■コズモポリス
■野蛮な奴ら
■塀の中のシェイクスピア
■明日の空の向こうに

偽りなき者、北欧映画らしい辛辣なラスト。舟を編む。この監督さんはこの若さでこんな作品を撮っていいのだろうか。素晴らし過ぎる。

5月の映画

■孤独な天使たち
■愛・アムール
■死霊のはらわた
■図書館戦争
■LA・ギャングストーリー
■キャビン
■世界にひとつのプレイブック
■私が靴を愛するワケ
■探偵はBARにいる
■プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命
■君と歩く世界
■きっとうまくいく
■隣人 ネクストドア
■チャイルド・コール

豊作の5月

死霊のはらわた、キャビン、ホラー映画の素晴らしさ。特にキャビンの意表を突いたアイデアにビックリ。ラストの出て来た大物女優に更にビックリ。
世界にひとつのプレイブック。苦手なラブストーリーもこういう作風ならイケル。
隣人、チャイルド・コール。まましても北欧映画の救いようのない痛さと暗さ。でもそれが癖になる。


2012年ベストテン

January 31 [Thu], 2013, 2:17

2012年の映画鑑賞数113本。洋画75本、邦画38本。忙しくて観られない月もあるのだけれど案外観れていたんだなあ。

邦画ベストテン

1 夢売るふたり
2 桐島部活やめるってよ
3 苦役列車
4 ふがいない僕は空を見た
5 かぞくのくに
6 わが母の記
7 鍵泥棒のメソッド
8 僕達急行A列車で行こう
9 SR3サイタマのラッパー
10 希望の国

豊作の洋画と違って邦画はとても悩みました。一応観てはいるのだけれどどうもコレという目玉がなく小粒な印象が否めませんでした。うんうん唸ってなんとか絞り出したというのが現状です。
そんな中ではやはり西川監督の『夢売るふたり』。この作品が一番後を引いたのがベストワンにした理由。松たか子の真っ黒な大きな瞳は観る者を不安にさせる迫力あり。
『桐島〜』『苦役〜』『ふがいない〜』の3作品は監督の若さあふれる才能に惹かれて。
『かぞくのくに』は邦画のくくりに入れるべきなのかと悩んだ末ここへ。(悩むことが作品の主題を体現してると思います。)『希望の国』映画的な面白さでは私の中ではベストテン圏外。ただこうした作品の意義に重きを置くならばどうしても入れなくてはと思いこの位置へ。『わが母〜』『鍵泥棒〜』『僕達急行〜』手練れ監督のそれぞれの作品世界に敬意を表して。



1 裏切りのサーカス
2 ファミリーツリー
3 アルゴ
4 灼熱の魂
5 おとなのけんか
6 ダークナイトライジング
7 人生はビギナーズ
8 永遠の僕たち
9 ポエトリーアグネスの詩
10 ハローゴースト!


今年の洋画のベストテン選出は本当に悩みました。良い作品が多すぎる!その中でも『裏切りのサーカス』の英国俳優陣が醸し出す濃厚な英国の香りに痺れました。
『ファミリーツリー』G・クルーニーの新境地。DVDは絶対小山さんに吹き替えしてほしかった!『アルゴ』の巧みさとエンタテイメント。Jグッドマンはまさにアメリカーン。『灼熱の魂』驚きのラスト。『おとなのけんか』脚本の素晴らしさと俳優陣の丁々発止のやりとり。『ダークナイトライジング』バットマンをここまで深く描き切るとは。見事なラスト。『人生はビギナーズ』ほろ苦く豊かな人生。ユアンの繊細さとトラップ大佐(ぷっ)の演技の深み。『永遠の僕たち』ガスヴァンサントの独特な世界。
『ポエトリー〜』『ハローゴースト!』両極端な韓国作品の面白さ。
他にも『ミッドナイトインパリ』『アイアンスカイ』『ミレニアム ドラゴンタトゥの女』『007』も良かった!『ホビット』は三部作分をまとめて評価したいです。個人的にはベストテン入り!!!


7月・8月の映画

September 26 [Wed], 2012, 4:05

この夏は異常な暑さと予想外の忙しさに振り回された月でした。特に7月は最悪の状況で、映画も4本しか観られず。8月も半ば過ぎからようやく映画を観られる状態に戻りましたがまだまだ先行きは読めず・・・。
結果的に7月は不作。その反動で8月の映画の充実っぷり、特に邦画に心が踊らされる作品が続きました。

7月の映画

■『崖っぷちの男』
■『青い塩』
■『きっとここが帰る場所』
■『RODE TO NINJA−NARUTO THE MOVIE』


以下ネタバレがありますのでご注意!




この中で一番面白かったのは『崖っぷちの男』。これはアイデア勝負で実に小気味よく、観終った後、気持ちよく映画館を出ることができたカタルシスのある作品でした。
自殺志願者のような素振りを見せるある男の行動を淡々と追うオープニング。いったい彼は何者でどういう意図をもってホテルに泊まり、窓の外へと身をのりだしたのか。多くの何故をまず観客側に抱かせます。やがて謎解きをするように、その男の過去が刻々と描かれ始めます。男の背景には大きな陰謀が渦巻いており、自らに着せられた無実の罪を証明するため、一芝居打って自殺騒動を起こしたのでした。心地よい緊張感とエッジの効いたスリルを最後まで存分に楽しみました。『アバター』のサム・ワーシントン。『リトルダンサー』のジェイミー・ベルという配役も嬉しい。特にジェイミー・ベルの活躍ぶりには子役出身だけあって近所のおばちゃんみたいに見守りの視線を向けてしまいますよ。

『青い塩』はトンデモ・ラストにどでかい肩すかしを喰らい、『きっとここが帰る場所』は私の好きなショーン・ペン主演といえどもいまいち精彩を欠いたような。『RODE TO NINJA−NARUTO THE MOVIE』は既に別格の域。



8月の映画

■『おおかみこどもの雨と雪』
■『ダークナイト ライジング』
■『苦役列車』
■『メリダとおそろしの森』
■『桐島、部活やめるってよ』
■『アベンジャーズ』
■『プロメテウス』(先行上映)
■『トガニ 幼き瞳の告発』
■『ヴァージニア』
■『ビッグボーイズ 幸せの鳥を探して』
■『るろうに剣心』
■『闇金 うしじまくん』
■『デンジャラスラン』(試写会)
■『THE GREY 凍えた太陽』


8月は14本。先行上映や試写会のハガキをいただいたりと一足早い鑑賞作品も。それぞれに味のある作品が揃い、映画を観たぞーっ!!という気分にさせてもらいました。


以下ネタバレがありますのでご注意!




■『おおかみこどもの雨と雪』
実は私的には細田監督とは相性が悪いのです。『時をかける少女』の違和感。(大林監督に慣れ親しんできたのでまったく受け入れることができず。)続いて『サマー・ウォーズ』では、映像には酔いしれたけれど、おばあちゃんの人物造形に『んなことあるかいな』という感想を抱いてしまったため入り込めず。田舎の『実はこんなにすごいんだぞ大家族』へのノスタルジー的な暑苦しさにも引いてしまったのでした。

てな前哨戦があり、そんなリスクをわざわざ冒してまで観ようとしたのは『愛した人は狼でした』という映画の惹句に心動かされたためでした。私自身、狼に対してある種の憧憬といいますか、なんだかわからないけれど心惹かれるという癖(へき)がありまして。特にこの映画が公開される数か月前にNHKBSでもって放映された『見狼記』という狼にとりつかれたある男の姿をとらえたドキュメンタリーにいたく感動したため、今回はもしかして見逃せないかもと思ったのでした。

観て本当に良かったと思いました。自分にとって前作2本のようなどうにも引っかかってしょうがないという部分がすっきり抜けおち、なんとも風通しが良くなってすんなり受け入れることができたのでした。それもこれも子育てという身近な主題にもよったのかもしれません。狼であれ人間であれ、子供を独り立ちさせる子別れという儀式が、雄大な自然と共に丁寧に描かれ、見応えがありました。主人公の女性が自ら生き方を決めたように、子供たちも懸命に各々の進むべき道を選んでゆくストーリーに胸が熱くなりました。
自然と人と狼とが織りなす叙情豊かな脚本が素晴らしい映像とでもって描かれ、この夏の猛暑を一時だけでも忘れさせてくれるものとなりました。またカーテンのシーンなどはこれまで観てきたどのラブシーンより初々しく切なく純粋でとても美しく感じました。苦手な監督だと毛嫌いせず観てよかった作品でした。


■『ダークナイト ライジング』
ノーラン版『バットマン』三部作のラストを飾るにふさわしい厚みとコクの深さを感じさせる作品で大満足でした。毎回思うのはクリストファー・ノーラン監督の俳優陣を選ぶ審美眼の確かさ! どの配役も素晴らしい上、おじいちゃん俳優からぴちぴちの若手から彩りを添える美女まで本当にセクシーで魅力的なんですよね。
とにかく出演してる俳優さんたちがみんな私好み。嗜好が近いってのはやはり得点が高くなりますよね。

ノーラン作品内では描かれませんが、ストーリー的にはこの後、ロビンとしてバットマンの相棒になる俳優のジョゼフ・ゴードン・レヴィッド(ジョン・ウレイク)がもう良くて良くて。つい最近公開された『50/50 フィフティ・フィフティ』や『500日のサマー』で見せていた柔らかで人のよさそうな青年像とはまた違った役柄でしたが、私的好みでしたら断然こっちのほうがイイ!!
過去のシーンでバットマンとの出会いがほんのわずかなショットで捉えられてるんですが、たった一瞬の出会いに「ああ、ここなのか!」と膝を打つ展開にやられましたね。そうか、そうだったんだ! 彼が後のロビンになるんだ!という驚きに映画的な嬉しさと喜びを感じました。

バットマンとロビンという組み合わせはなにやら意味深なものがありますし、長年執事として仕えてきたアルフレッド役のマイケル・ケインにも独特の雰囲気が漂います。その他、ベインやキャットウーマン等々、キャラクターたちの解釈も深みがありより一層魅力を輝かせていました。
これまでのただただ明るいアメコミ『バットマン』に新解釈を与え、それを見事に描ききった三部作のラストを飾る作品に大満足でした。

■『苦役列車』
森山未来くんってここまで凄かったんだと唸らされた作品。昔からいい俳優さんだなあと思ってきましたが今回の役の入れ込み加減もすごかった。
こんな男が間近にいたら絶対不愉快になること間違いなしの造形っぷりにまず目を見張りました。お近づきになんて絶対なりたくないのに、どうしてこれほどまでに魅力的に映るんだろう。心底嫌いになれないんですよね。滑稽なほど哀しくてなんだか愛おしく思えてきたりして。でもそんな風に思われることこそ彼にとっては不愉快極まりないことなんだろうな。そういう人物像を作りあげた未来くんってやっぱすごいよ。
とにかくそんな酷いヤツなのになんだか魅力的に映るのは、ひとえにこの主人公が文学にだけは真っ正直で、誠実で息を吐くように文章を綴っているからかもしれない。彼の饐えた身体からたった一本生えた希望の木こそが文学であり小説だったんだろうか。だからこそラストに見せる粗末な机に噛り付くようにしている少々贅肉のついた丸くなった背中をそっと押してあげたい感情に囚われるんだろうな。
このキャラクターを作り上げた瞬間、この作品は成功してるのかもしれない。たとえ原作者にダメだしされようともね。(笑)

余談ですが。
たまたま偶然一緒にこの映画をお知り合いの派遣会社の社長さんと観ましてね。この映画を観た感想をいろいろ言い合った時の言葉が印象に残っています。
『彼のように文学があった者は幸いだよ。なにもない者のほうが圧倒的に多いんだからさ』という言葉に今の社会の現実の重みを感じました。

■『桐島、部活やめるってよ』
痛みととげとげとした自意識とが絡み合った等身大の高校生たちの群像映画。突然部活をやめた桐島なる人物がキーマンとなり振り回される高校生たちの数日間の物語。
多くの登場人物たちをユニークな手法でもって生き生きと描きだした手腕に酔いしれる。ラストに向かって一気に流れだす高校生たちの本音と本音のぶつかり合いは見事なカタルシスとなり観客を翻弄して去っていきました。すべての嵐が過ぎさった時現われるあの静かなるラストに観客側も呆然と立ちすくんでしまいました。今年の邦画作品の中でも忘れられない一本です。

■『ビッグボーイズ しあわせの鳥を探して』
ジャック・ブラック、スティーブ・マーティン、オーウェン・ウィルソンというコメディ畑の三大俳優たちの共演するバードウォッチングコメディ。これは文句なしに好き好き映画です。というのも私自身もバードウォッチング趣味があるため彼らの気持ちが多少なりともわかるんですよね。

全北米大陸をまたがって行われる「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれるコンテストにとりつかれた三人の男たちの物語。
「ザ・ビッグイヤー」にルールらしいルールはなく、審判もいない。参加者たちは希少種が現れたと聞くや、全米を旅して鳥を追いかける。どれだけ多くの鳥を見たかを競うただそれだけの単純な競技です。
そのあまりに大人げない稚気ともいえるものに一年をかける情熱は、はた目から見るとなんでそこまで入れ込むのかと思えるのですがなんだか羨ましい気もするのです。自分もいつかそんな一年が過ごせたらいいなあという、人生の豊かさをちょっとだけ味わうことができました。

ラストはそれぞれの登場人物たちにとっての最高のモノを得ることになります。苦みもあるし喜びもある。それぞれ味わい深い人生の喜びをもって素敵なエンドロールへと繋がります。とにかく鳥好きにはこのエンドロールこそが最高かもしれない。(笑)最後まで絶対席を立たないでくださいと言いたくなる作品でした。



6月の映画

July 05 [Thu], 2012, 20:33


6月は計14本の鑑賞。ウディ・アレン、ペドロ・アルモドバルというベテラン監督の作品から、今回初めてメガホンをとったという新人監督のユニークな作品も公開されてそれが実にイイのです! 新旧それぞれ味のある作品に恵まれた月でした。
それにしても今回のラインナップは邦画、洋画問わず、内容がまったくバラッバラで統一性のまったくないチョイスだな。


■『マシンガン・プリーチャー』
■『私が、生きる肌』
■『サニー 永遠の仲間たち』
■『王朝の陰謀』
■『幸せへのキセキ』
■『ソウル・サーファー』
■『ミッドナイト・イン・パリ』
■『外事警察』
■『ハロー!? ゴースト』
■『ベルセルク』
■『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
■『アタック・ザ・ブロック』
■『星の旅人たち』
■『神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴りやまない』


ここから先はネタバレも含まれています。
『私が、生きる肌』『ミッドナイト・イン・パリ』『ハロー!? ゴースト』『アタック・ザ・ブロック』を未見の方でこれから観る予定のある方は飛ばしてください。よろしくお願いします。


『私が、生きる肌』
ペドロ・アルモドバル監督の『私が、生きる肌』はなんとも荒唐無稽なストーリー。でも、違和感をまったく感じずぐいぐい映画の中に引きこまれてしまいました。やはり監督の力量の凄さなんでしょうね。この作品はある男が描き出した夢、現代の生ける『ピグマリオン』なのかもしれません。

天才的な外科医、ロベルは妻を失った時から精神のバランスを崩し、愛する妻を求めて神をも恐れない実験に手を染めます。そんな折、精神的な病を抱える娘がある人物から暴行を受けたことから自殺してしまう。復讐の意味も込めペドロは恐ろしい計画を実行に移すのですが……。
一歩間違えばホラーモノになりかねないんだけれど、この監督はやはり一筋縄ではいきません。目がくらむような色彩豊かな美術を随所に入れこみながら、謎多き女性の一日から映画は始まります。どうやら彼女はどこかの部屋に幽閉されているようです。不可思議なボディストッキングを全身にまとったまま優雅ともいえる生活を送っていますが監禁は監禁。でも逃げる素振りさえ見せずこの状態を当然のごとく受け入れています。監視するためのマジックミラーの向こうにいるロベルの視線を受け止めるかのように真っ直ぐ画面に向かって熱い目線を送ってくるほどです。鏡一枚挟んでの恋人同士のようにも見える二人のなんとも奇妙な関係。いったいどういう経緯でここに至ったのか。彼と彼女との過去が交錯しながら徐々に謎が明かされてゆきます。

ストーリーが進むごとに、「え、そんなんアリ???」という展開を見せていい意味で面食らいます。
この監督特有のフェティシズムは更に磨きがかかりそういう趣味のある者にとっては心が蕩けそうになるほど美味なシーンが繰り広げられられます。その辺のところが好悪の別れるところだとは思いますが、私は大好きです。全身タイツという悪趣味なまでの肌質感にも心底参りました!! 下手すると完全なコントに見えちゃいますからね。そのぎりぎりの見極めのところが素晴らしい。 
最後まで先の見えない展開に圧倒されつつ、彼と彼女は果たしてどういう着地点に降り立つのか。やがて明かされる衝撃的な事実に驚かされ、アルモドバル監督の手腕に踊らされて観客は最後の一瞬までスクリーンに釘付けになってしまうのでした。


『ミッドナイト・イン・パリ』
ウディ・アレン監督の見せる魔法の時間。それはパリだけが持つロマンティックな夢のような夜。
アメリカ人のギルは脚本家。婚約中の彼女とパリを訪れるのですが、そこで不思議な体験をします。なんと黄金時代(ゴールデンエイジ)の1920年代のパリにタイムスリップしてしまうのです。導かれるようにして入ったサロンにはヘミングウェイやフィッツジェラルド、ピカソにダリ等々がいて、綺羅星のごとき芸術家たちとのめくるめくような交流の花が開きます。
そこでピカソの愛人である一人の女性と出会います。やがて彼女に恋するようになるギルは、自分が本当に求めていた真の人生に気づき、ある選択をするのでした。

ウディ・アレンらしい知的で華やかで煌びやか、それでいて皮肉も随所にピリリと効いていていつものアレン節である実に楽しい時間を堪能しました。また作中で使用されている音楽の素晴らしいこと。平均点以上の作品を年に一本ずつ作り上げるそのバイタリティに感服します。これからもずっと追い続けていきたい監督さんの一人なのでした。


『ハロー!? ゴースト』
前、二作品がベテラン監督のものならばこの『ハロー〜』はメガホンをとって一本目、処女作というのは韓国のキム・ヨンタク監督。
この作品をチョイスしたのはほんの気まぐれ。時間がたまたまあいてたのでなにか珍しいモノでもないかなあと思ってチケットを購入したのでした。
いや、ホント、己の選球眼を今度ばかりは褒めたいと思いましたね。自分の勘も満更じゃないね。とにかくこんな大当たりを引いたのは久々です。まったく期待していなかったゆえ感動はさらに大きなものとなりました。ハリウッドですぐにリメイクが決まった上、韓国で大ヒットを飛ばしたというのも頷けました。ただ日本での扱いは驚くほど小さく、どうしてこんなに素晴らしい作品をプッシュしないのかとやきもきしてしまいました。これは観ないと絶対に損すると思って皆にメールやミクシィでもって宣伝しちゃいましたよ。その甲斐あって次々と観てくれる人が出てきて感謝のメールをいっぱいいただいちゃいました。
(自分の手柄みたいにすいません。でも、本当にイイ映画なのよ。それほど入れ込める作品です。)

ストーリーはというと。
生きる希望を失った青年サンマンはある日自殺を決行します。けれど死にきれず気が付いた時にはなんと幽霊が彼にとりついていました。それもなぜか四人も。
うっとおしい彼ら幽霊に離れてもらって今度こそ死にたいと願うのですが、どうやらそれには幽霊たちの望みを叶えるしかないようです。そこでサンマンは不本意ながら幽霊たちの望みをひとつひとつ叶えるため奔走しはじめます。
最初は、軽いコメディだよな、でも嫌いじゃない、いや、むしろかなり好きだ、という段階を徐々に踏んでいって、最後の最後に驚きのオチが!!!! これがもう最高に素晴らしい。こうしたオチが衝撃的な映画って、有名なところでは『シックス・センス』とか近々の作品では『リメンバー・ミー』等が思い浮かびます。
そこに至るまで何気なく見ていた数々のエピソードがそれぞれに深い意味のある伏線だと気づいた時のあの驚きと感動と涙、また涙。

生きることは辛くて切ないことばかりだけれど人間はやっぱり一人じゃ生きられないんだよね、とこの映画は教えてくれます。それも声高にじゃありませんよ。まるで寄り添うようにそっと囁いてくれるかのようです。
人間喜劇としてこれほど素晴らしい作品には近年出会えたことはありませんでした。
韓国映画、侮りがたし!! 韓国映画の素晴らしさは鈍器映画にアリと言い切っていましたが、それは偏見でした。お詫びをして撤回しなくてはいけませんね。
大切にしまっておきたい素敵な作品となりました。


『アタック・ザ・ブロック』
これもまた初監督であるジョー・コーニッシュの作品。製作は『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン』のファミリー。それだけでもこの作品のユニークさに期待がかかりますが、まさに期待通りでした。ローバジェットながらアイデア一本でもって英国団地版『エイリアン』を製作してしまったんですからね。不良キッズたちが自分たちのテリトリーを守るためエイリアンたちと対決するというストーリーはB級テイストながら、素晴らしい脚本と子供たちの演技と相まって本当に楽しい(けれど残虐といえば残虐)作品となっていました。



5月の映画

May 30 [Wed], 2012, 21:50

GWには、もはや恒例の東京行。新たな映画館詣でとしてヒューマントラストシネマ有楽町、丸の内TOEIの二館に行ってきました。どちらも音響、スクリーンの彩度などとても観やすい映画館だと思いました。観た作品は『孤島の王』『捜査官X』。

27日には静岡市で開催されたSIZUOKA×CANNEウィークへ。市内のいろんな会場でいろんな映画が上映された三日間。静岡市とカンヌ市が姉妹都市だとはまったく知りませんでした。ちょうどカンヌ映画祭が開催されてるのと同時に日本でも映画祭を開催するとのことで興味があって覗いてきましたよ。
某館主さんから、市長さんが芸術に理解のある方で市をあげてこの映画祭をバックアップされてることをお聞きしました。カンヌと姉妹都市だけあってか(?)とてもおしゃれで、映画と芸術、食との様々なコラボがありましたが、映画好きにはちょっとだけ物足りない感じ。
映画祭としての作品は主に夜限定の上映でしたので、予告編映画祭と冠した会場に主に出向いたのですが、実際はこれから上映される映画の予告編が多い上、MCの方々の映画知識の足りなさにがっかり。スポンサー上の関係なのか、えっ!この作品の予告編をやるの? という興ざめも。おまけに会場のすぐ外で映画の予告編の音にかぶさるように音楽が流れていてそれも残念でした。
第一回目ということでいろいろ反省点も出てくるでしょうし改善されてゆくことを願っていますが、来年はもう行く必要はないかなあ、というのが正直な感想です。
たださまざまな映画祭があって、それぞれの個性があるのはとても興味深かったです。実際に行ってみなくちゃ雰囲気はわからないですしね。

さて、今月観た作品ですが。邦画では数々のインディーズモノが、また洋画ではまさにこれぞ映画の神髄!という作品群に恵まれて映画好き冥利につきる一月でした。



『孤島の王』
『捜査官X』
『テルマエ・ロマエ』
『宇宙兄弟』
『ももへの手紙』
『わが母の記』
『ほかいびと』
『SR2 サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』 
『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
『監督失格』
『ファミリーツリー』
『おとなのけんか』
『KOTOKO』


以下、ネタバレをしている部分がありますのでこれから作品を観る予定のある方は飛ばしてください。
よろしくお願いいたします。


『サイタマノラッパー』シリーズは以下参照。
まさにこれぞインディーズの魂とばかりの強烈な個性を放つ作品たちでした。


『監督失格』
平野勝之監督作品。
2005年6月。AVやピンク映画の女優であった林由美香が急逝しました。彼女の第一発見者であり、元恋人であった監督が彼女との16年間を綴ったドキュメンタリー作品。
前半の北海道サイクリング旅行での濃密で激しい二人のやりとりと、後半別れてからも続いていた二人の関係の二部構成。
2005年のその日、監督はビデオカメラを持って彼女の自宅を訪ねたのだけれど……。

衝撃が強すぎて今もずっと後を引いています。この作品を世に発表するには6年間という長い長い時間が必要だったのもわかります。
あまりに激しい、監督の由美香さんへの愛に打たれます。これは監督の由美香さんへの変種のラブレターに他ならないのですね。そして彼女が口癖のように言っていた『監督失格』という言葉は彼女から監督へ向けられた愛の言葉だったんでしょう。
もしかしたらこの監督はこれ以上の作品はもう作れないんじゃないかと思います。生涯に一本の作品を作ってしまった後、いったいなにが作れるんでしょうか。監督にこんな作品を作らせてしまった林由美香という女性はこうしてスクリーンの中に永遠に生き続けるんですね。そう考えたら映画ってまるで墓碑みたいな気がしてきました。スクリーンの中の彼女に囚われてしまった監督はおそらく一生彼女から逃れられないのかもしれません。
ラスト、あんなにも慟哭したのはこの作品を編集し終わって、公開することによって彼女との別れが現実となってしまうのが辛いからだと告白した監督。自転車を必死に走らせながら叫びビデオを撮り続ける監督の想いに涙があふれて止まりませんでした。
昨年、観た友人たちが軒並み高評価し、ベストテンに入れていた理由がわかりました。わたしも昨年観ていたら絶対にベストテンに入れていた作品でした。


『ファミリーツリー』
邦画のインディーズが荒削りでエネルギッシュな作品だとしたら、こちらはまさに映画に精通したプロフェッショナルな仕事ぶりを堪能しました。
ほろ苦い人生の喜びと哀しみを軽やかなユーモアで包みこんだ、実に後味の良い作品を作り上げたのはアレクサンダー・ペイン監督。
仕事にかまけて家庭を顧みなかった主人公のマット・キング(G・クルーニー)。妻が事故でこん睡状態に陥って改めてこれまでの自分の人生を振り返ります。妻の浮気を初めて知ったり、子供たちとは心の交流も少なく戸惑ったり、とにかく問題山積の毎日。それでも必死で看病や子育てをしながら先祖代々受け継がれてきた土地の問題も受け入れ、少しずつ少しずつ家族の結束を固めて行きます。
様々な苦難やアクシデントを織り交ぜながらも、ユーモアを忘れない。バックでずっと流れるハワイアンの心地よさがより一層効果を上げていました。
哀しみ、驚き、戸惑い、失望する。散々苦しんだ後、ふと現われてくる人生への喜びや許し希望、等々。やがてもっともっと大きな境地に辿りつくマットの心の旅に拍手を贈りたいと思いました。
それぞれの登場人物たちの台詞や行動のすべてに説得力があり、人間観察の豊かな脚本が実にすばらしい。どの登場人物も本当に魅力的なのです。監督の温かな視線を感じてとても心地よい時間を過ごせました。
アカデミー賞、主演男優賞を獲得できなかったのがおかしいほどこの作品でのG・クルーニーは素晴らしかったです。こんなにカッコ悪いクルーニーは初めてです。でもそこがより一層ステキなのです!!
今年のベスト2,3あたりに間違いなしです。(一位は今のところあの作品と決めているのです)


『おとなのけんか』
こっちも『ファミリーツリー』にまさるとも劣らない映画巧者の作品。昨年『ゴーストライター』で様々な賞を獲得したロマン・ポランスキー監督の作品ですよ。
子供のけんかに大人がしゃしゃり出た約80分の室内劇を映画にしたのがこの作品。登場人物は二組の夫婦のみ。オープニグとエンディングの遠景に子供たちが出ているのが見もの。実にセンスがいい!!
監督はリアルタイム進行で撮影していったとか。その緊張感とリズム。四人の俳優たちに実に見事なアンサンブルに最初から最後まで心地よい緊張感を保てたし、ところどころ声を出して笑ってしまいました。
時々、敵、味方がそれぞれ入れ替わったり、元に戻ったり、複雑な絡み合い方をするのですが、見事な捌き方で采配を振るう監督の手腕に見惚れてしまいました。特にケイト・ウインンスレットの例のシーンはかなり念入りにリハーサルされたんじゃないかというタイミングの妙。
観れば観るほど味の出る室内劇だと思いました。本当に面白かった!!
最後に。
子供ってああいう生き物ですよね。(笑)というオチも完璧!!
ああ、楽しかったあ!!


『SRサイタマノラッパー  ロードサイドの逃亡者』

May 21 [Mon], 2012, 15:58

※この記事には映画のネタバレが含まれています。
ご注意の上、ご覧下さい。






時々、すごく自虐的な気分に苛まれて、ダークな映画に身をどっぷり浸ることをしてみたりします。
不思議なことなんですけど、そうすると身体の底から沸々と生きる意欲や希望みたいなものが湧き上がってくるのを感じます。もちろんすべての映画に当てはまるわけではなく、ダークはダークでも質が良く、エネルギーと疾走感のある映画に限ります。これは一種の荒療治かもしれないと思っていますけれど。

で、です。この映画なのです。『ダメな人ほど愛しいの』の典型のような底辺を這いつくばって必死にもがいて生きてる男、マイティを描いたシリーズ三作目。入江監督の最新作です。
この映画は私にとって生きる意欲みたいなものを与えてくれる最良のダーク映画の典型でした。マグマが湧き上がってくるような爆発する圧倒的なエネルギーを感じました。

この一本前に観た『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が女たちの本音、本音、本音のぶつかり合いの映画なら、今回のものはそれと対になるような作品。ラップの頂点を目指して東京へ出たのはいいけれど結局夢破れ犯罪の片棒を担ぐまで堕ちてしまった男、マイティ。ラップはきっぱり諦めたのに、最後の最後はラップの元へと戻ってきてしまう。それほどラップは自分の血肉になってて、昔、捨ててきた仲間とはラップでしか語りあえない己を悟るのです。

罪を犯し逃れ疾走する男の実にカッコ悪い、でもだからこそ生きることへの必死さが血反吐と共に吐きだされた作品。その圧倒的な熱量はラップの迫力と相まって身体の中がぐちゃぐちゃに荒れ狂う感じがします。
自分へのいら立ちや仲間に顔向けできない情けなさ、恨みやつらみ様々な感情がくすぶり続けているけれど発散することができないマイティ。それを仲間たちが挑発しラップさせることによりガス抜きをさせるくだりは少々のあざとさももあるけれどこの作品の胆ともいえるシーン。こんなことあるわけないと思いながらも面会室のガラス越しのラップに心を激しく揺さぶられました。


P R
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映画好き。生涯のベスト1、洋画「アラビアのロレンス」、邦画「七人の侍」
落語も好き。古今亭志ん朝、立川談春
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